日本経済再生の起爆剤になるゾ! 国有財産200兆円の証券化

(日刊ゲンダイ2010/9/6)
市場も注目
◆先進国の中で日本政府は異常に"ため込み"すぎ
民主党代表選で小沢前幹事長が言い出した「国有財産の証券化」が市場で注目されている。約600兆円もある国有財産のうち、約200兆円を証券化して、財政再建に役立てるというものだ。
仙谷官房長官は「簡単ではない」と反発、財務省からも「何を対象にしているのか分からない」など批判が相次いでいるが、本当にそうなのか。財務省が抵抗となると、余計に有効に見えてくる。
「こんなやり方や、あんなやり方があると提示した意味はあると思います」(三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジスト)
経済評論家の山崎元氏もこう見る。
「実際にどの部分を証券化するかは別として、政府のバランスシートを圧縮するという観点から見れば、国有財産の証券化は有効です。日本は先進国で比較すると突出して、政府レベルの保有資産が多すぎる。他国に比べおそらく2倍、3倍。財産の証券化、売却は必要なのです」
政府が何でもかんでも抱え込むから、赤字だけ増え、財政を悪化させてしまう。切り離せるものは切り離して、身軽になれば、相対的に借金も減るというのが証券化の狙いだ。
国有財産のうち、ゆうちょ銀や住宅金融支援機構などへの「貸付金」が162兆円、JTや日本政策金融金庫などへの「出資金」が約54兆円。この2つを証券化するだけで200兆円を超える規模になる。これに官舎など政府保有の不動産を加えれば、政府はいくらでもカネ回りがよくなる。赤字国債発行で不毛の議論を繰り返す必要もなくなってくる。
もっといえば、不動産の証券化は官僚の力をそぐことにつながるというのだ。
「例えばどこかの官舎を証券化するとしましょう。民間保有になるわけですから、今のように極端に安い家賃は通用しなくなります。さらに管理などで官僚が采配を振る余地がなくなります。だから国有財産の証券化に、官僚は大慌てだと思いますよ」(山崎元氏)
官民格差の是正には手っ取り早いし、実行してみれば、日本の国債の格付けが上がり、株価なども急騰するかもしれない。座して日本経済の沈没を待つよりは、はるかに刺激的で、日本復活の起爆剤に見えてきた。