[民主党代表選]「菅」リードと流したマスコミ情勢調査に「大本営発表」「実際は違う」の声
(日刊ゲンダイ2010/9/6)

これで態度未定議員を釣ろうとは姑息

この週末、大手メディアは一斉に民主党代表選の情勢調査を流した。結果は、「菅氏が優勢」か「菅氏、小沢氏 拮抗」というものだった。国会議員票では小沢氏がややリードしているが、地方議員や党員・サポーター票は菅首相が大きく先行――。そんな内容だった。

これには党内から「大本営発表だね」の失笑が漏れている。あるベテラン職員が言う。
「一般世論はともかく、党内では菅首相の人気は低い。それで仙谷官房長官や枝野幹事長の執行部は、菅首相有利の“流れ”をつくろうと必死。勝ち馬に乗ろうと様子見の議員やサポーター票を引き込みたいのです。マスコミも小沢さんに勝たせたくないから、そこはアウンの呼吸なのでしょう」
そもそも党員・サポーターは、今年5月までに小沢グループが必死に掘り起こしてきたから34万票に膨らんだ。「菅氏が7割」なんてマスコミ報道のようなことはあり得ないのだ。
「小沢陣営は、支持を確約した議員にも気をつかって、“マスコミから問い合わせがあったら、適当に答えておいていいよ”とアドバイスしている。マスコミ調査と実情はかなりかけ離れていますよ」(前出の職員)

実際の票読みは、どう見ればいいのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう話す。
「私の取材では、小沢さんで堅い国会議員票は162、菅さんは120。態度未定の浮動票が残り130ですが、選挙が始まる前までは小沢60、菅70と見ていました。しかし、今は小沢70、菅60に逆転した。小沢さんの方が主張、理念がしっかりしているので、政策で決めたいと話していた中間派の1年生が小沢さんに傾いてきています。それに加え、菅さん自身が電話をかけ、人事をエサに露骨に票集めをしようとしたり、閣僚が前面に出すぎたり、その選挙手法に嫌悪感を抱き始めた1年生が結構出てきた。合計で小沢232、菅180と見ています」

地方議員票については、一般世論に敏感なだけに、鈴木氏は「菅6割、小沢4割」と見る。
動向判断が難しいのは党員・サポーター票だ。菅陣営は「菅と小沢の比率は2対1」と強気だが、週末の演説会を受けて空気は変わってきた。
鈴木氏は党員・サポーター票は「小沢陣営も激しい獲得戦を展開していて五分五分」と言う。
結果をポイント換算すると、小沢は国会議員464、地方議員40、党員・サポーター150で合計654ポイント。菅は、360、60、150で570ポイント。
現時点でも小沢が80ポイントほどリードだが、この差はどんどん開いていく。焦る官邸や執行部、大マスコミがどんな謀略を始めるか、見ものだ。