鳩山は誰の見方なのか何をしたいのか

(日刊ゲンダイ2010/8/31)

小沢支持から急にトロイカ発言
鳩山前首相の立ち位置がまったく分からなくなってきた。菅支持から小沢支持に回り、今度はトロイカ体制による挙党一致で走っている。
「宇宙人」「八方美人」と呼ばれる鳩山は何をしたいのか。
鳩山・菅・小沢のトロイカ体制を見続けてきた作家の大下英治氏が言う。
「鳩山さんと小沢さんはともに地獄を見た男です。だから2人の絆は並大抵なものではありません。小泉政権時代の02年、民主党の支持率はどんどん下がり、鳩山代表が幹事長に中野寛成氏を指名したことに世間はあきれ、NHKの世論調査で民主党支持率は公明党にも負ける2・9%まで落ちた。それで鳩山さんはオーナーなのに代表を辞めざるを得なくなった。小沢さんとの民由合同を仕掛けた反発もあって、菅さんたちに後ろから撃たれた。一方の小沢さんは当時、自自公連立から離脱したはいいが、二階俊博さんなどに裏切られ、自由党は50人から24人におちぶれ、『小沢一郎は死んだ』といわれた。しかし、その後、民主党に合流し、ついに自民党政権を倒す悲願を達成できた。民由合同の道筋を鳩山さんがつけ、手を差し伸べてくれたからです。小沢さんは鳩山さんの恩を一生忘れない。鳩山さんにしても、小沢さんの合流で民主党の党勢が拡大し、一度は死んだのに、首相になることができた。やはり小沢さんの恩は忘れない。片方が代表を目指すといえば、片方が支援に回るのは当然のこと。菅さんと鳩山さん、菅さんと小沢さんの関係とは全然違うのです」
鳩山の軸足は小沢にある。
となると今回の「トロイカ体制」という発言は、「小沢幹事長復帰」「仙谷官房長官更迭」など、小沢に有利な条件でまとめたとも読める。いずれにしても、2人の長年の関係が続いているのか、亀裂が入ったのかは間もなく分かる。