小沢出馬が市場のターニングポイント [潮流を読む]

(日刊ゲンダイ2010/8/31)

小沢前幹事長が民主党代表選に立候補すると表明した。道義的な問題はさておき、今の日本の窮状を打破するには、小沢氏のような強力なリーダーシップを持つ剛腕政治家が必要だ。円売り介入や日銀に対する追加金融緩和の要請にしても、小沢氏ならもっと素早く決断できたろう。「円買い・株売り」を仕掛けているヘッジファンドにしても、小沢氏を相手に戦うのは嫌なはず。菅総理や野田財務大臣が相手なら負ける気がしないが、小沢氏が相手だと何をするか分からないから恐怖心がわく。小泉元総理もそういう迫力があった。実際、小泉政権時代には1年間で35兆円もの円売り介入をしたことがある。これはミスター円こと榊原英資・元財務官が在任中に行った介入額の4倍に当たる。
小沢氏が総理になれば、1ドル=120円くらいになるまで介入しても不思議はない。
「窮鼠猫を噛む」ではないが、小沢氏の出馬表明で尻に火がついた菅総理は、予定よりも早く経済対策の取りまとめを決断した。また、一度も円売り介入することなく超円高を許したら、史上最悪の総理として歴史に名を残す恐れがある。このままでは総理として何ひとつ重要なことをせずに政治生命が終わりかねない。
この点で、菅総理も大規模な円売り介入に踏み切る可能性が出てきた。円売り介入せずに代表選に臨めば、それだけで相当数の票を落とすかもしれない。円売り介入は総理の立場を生かして最後のアピールをするチャンスでもある。こう読むと、小沢氏の代表選立候補が日本株と円相場のターニングポイントになった可能性がある。
(経済ジャーナリスト・山本伸)