小沢・鳩山軍120人“反菅”決起! 分裂含みの死闘へ

(ZAKZAK 2010.08.19) http://p.tl/G77L


. 民主党の鳩山由紀夫前首相(63)グループが19日午後、長野県軽井沢町で恒例の夏季研修会を開催した。9・14代表選をにらみ、前半戦の講演会には、小沢一郎前幹事長(68)に近い議員を含む約120人が参加し、まさに、反菅陣営による決起集会といった様相となった。一方、「影の宰相」仙谷由人官房長官(64)らの後押しを受ける菅直人首相(63)は、「小鳩連合」と徹底抗戦する構えで、民主党は分裂含みの死闘に突入した。

 「菅体制では、この経済動向からみて景気回復にはほど遠い。小沢氏こそ最適だ。ぜひ(代表選に)出ていただきたい。そのための神輿作りをしたい」

 小沢氏に近い三井弁雄国対委員長代理(67)は研修会参加に際し、こう明言した。

 研修会前半は軽井沢のホテルで元外交官で作家の佐藤優氏(50)らによる講演、夕方からは鳩山氏の別荘でバーベキュー懇親会というプログラムになっているが、鳩山グループの議員はもちろん、小沢氏に近い議員が大挙して出席。山岡賢次副代表(67)や小沢氏元秘書の樋高剛衆院議員(44)、小沢氏を支持する若手グループ「一新会」会長の鈴木克昌衆院議員(66)、1回生の会「一新会倶楽部」所属の萩原仁衆院議員(42)らの姿も見られた。

 小鳩系候補として名前があがる海江田万里衆院財務金融委員長(61)や樽床伸二国対委員長(51)も出席した。

 衆参413人の民主党で、小沢グループ(約150人)と、鳩山グループ(約50人)が手を組めば、菅首相の再選構想に黄色信号が点灯しかねない。このため、今後は鳩山グループの動向がカギを握るが、鳩山氏は研修会冒頭のあいさつで、「挙党一致の体制をつくり、原点に返ることがなにより大切だ」と述べ、改めて菅首相を牽制した。

 鳩山氏側近の中山義活前首相補佐官(65)は研修会直前、「(鳩山氏は)最近は条件に重きを置いている。グループとしても(代表選は)白紙だ。バーベキューは、議員の持っている情報が共有され、党内の世論が醸し出される機会だ。小沢さんが出ればまとまるという人がいるということを、菅首相はしっかり考えるべきだ」と述べた。

 実際、「小鳩連合」内には小沢氏に出馬を促す声が高まっているが、小沢氏もバーベキュー懇親会への参加と、自らの出馬の是非を検討する考えを周辺に伝えているという。

 周辺によると、政権交代時の公約見直しを進める菅首相の姿勢に強い不満を漏らし、政権維持に危機感を訴えている。一方で資金問題や世論の不支持を気に掛けているというが、党内の多数派を握る状況になれば出馬に踏み切ることも検討しており、懇親会出席は党内情勢を探る狙いもあるとみられる。

 このように、小鳩が急接近する背景には、菅官邸に対する根強い不信がある。

 鳩山グループ内には「菅官邸が『財務省の傀儡』となり、昨年の衆院選で民主党が掲げた政策を次々とほごにしていることへの不満が強い」(鳩山氏側近)。加えて、小沢グループは菅内閣の経済無策を批判しているが、その裏には、露骨な「反小沢」「脱小沢」人事への恨みもある。

 これに対し、菅官邸は「反小沢」「脱小沢」の姿勢を日に日に強めつつある。

 親しい国会議員に対し、菅首相は「政党の資金を握って、党内に派閥を作るようなことは許されない」と語り、小沢氏が代表や幹事長などを歴任する中で、支持勢力を拡大してきたことを暗に批判。再選されても、小沢氏を要職で起用しない意向を示したという。

 それだけに、小沢氏が主宰する「小沢一郎政治塾」(8月22日~25日)に合わせて、衆参両院の当選1回生157人との意見交換会(23日~25日)を開くなど、小沢チルドレンの切り崩しに躍起だ。

 参院選大敗後、一時沈静化させていた「反小沢」「脱小沢」路線をここに来て激化させた背景には、菅首相の軍師に「反小沢の首領」と呼ばれる仙谷氏が仕えているうえ、「ポスト菅」の有力候補である岡田克也外相(57)や前原誠司国交相(48)、野田佳彦財務相(53)も「菅首相の再選支持」「小沢氏の影響力排除」で一致していることも大きい。

 さらに、菅内閣発足直後、「小沢外し」が国民の支持を得て、60%以上という高支持率を得た成功体験が頭にあるのは間違いない。当時、党内ベテランから「あまり激しくやると、小沢氏らが党を割る可能性がある」と忠告されても、菅首相は「それでも仕方ない」と言い切ったという。

 政治評論家の浅川博忠氏は「両陣営とも、敵対心を強めており、亀裂が深まっている」といい、こう続ける。

 「菅首相が、小沢政治塾に合わせて1回生を囲い込むなど、あまりに露骨だ。ここまで来ると『覆水盆に返らず』で、代表選で負けた方が党を割りかねない。研修会は党分裂の一歩、政界再編の一歩になるのでは」

 これに対し、政治評論家の小林吉弥氏は「現在は、表向きの戦術論を戦わせている段階で、今後、水面下で調整していくはず。世論調査では、菅首相の続投を支持する声が多く、これは無視しにくい。小沢氏本人の要職起用は厳しいが、小沢氏側も納得する人材を起用することで、挙党体制を目指すのでは。鳩山氏が調整役として動くはずだ」と話している。