朝日1面記事 菅の「小沢はずし」に永田町右往左往  (日刊ゲンダイ 2010/8/18)

「“黒幕”は仙谷か鳩山か」

「首相、再選後も脱小沢」
きのう(17日)の朝日新聞1面に、こんな記事が載っていた。
代表選まで1カ月を切り、党内では小沢待望論が台頭してきた。菅首相に近い議員の間からも、小沢を要職に起用して政権基盤の強化を図るべきだという声が上がっている。しかし、菅は9月の代表選で再選された場合、小沢一郎を幹事長に起用しない方針を固めたというのだ。

「代表選を控えた微妙な時期に、ずいぶん強気な発言をするものだと思いましたが、記事をよく読むと、どうも釈然としない。菅首相本人が公に『小沢はずし』を宣言したわけではないのに、伝聞や憶測で、首相の胸の内を忖(そん)度(たく)するような記事内容なのです。誰がどういう意図で情報を流したのか。党内で話題になっています」(民主党関係者)

各社の世論調査で内閣支持率も若干上向き、菅の続投支持が高いことが、強気の背景とされているが、朝日新聞が8月7、8日に行った世論調査も興味深い。「首相は小沢氏と距離をおいた方がいい」との意見が69%、「小沢氏が党内で影響力を強めることは好ましくない」は78%に上ったのだ。 こんな調査をしている新聞の1面に「脱小沢」の文字が躍る。「この“新聞辞令”の黒幕は官房長官に違いない」と、民主党の中堅議員がこう言う。
「官房長官に就任した頃から、仙谷氏は“小沢をブッ潰す”と言ってはばからなくなり、対立姿勢を強めている。“文句があるなら小沢は党を出ていけばいい”と吹聴しているとも聞く。党内の小沢待望論を牽制する目的で情報を流したんじゃないか。今の内閣の実態は“仙谷内閣”だからね」

政権維持しか頭にない菅は、小沢排除の方が延命に有利だと判断すれば、仙谷に乗る。「小沢はずし続行」は、世論の反応を見るための観測気球だというのだ。それには、どうしてもこのタイミングで記事にする必要があった。
「19日に軽井沢で鳩山グループの研修会が行われます。小沢氏は招待されているが、菅首相は招かれていない。


小沢氏が参加すれば、そこで一気に流れができてしまう可能性があります。それだけは阻止しようと、菅首相を支持するグループでは、首相も参加させようという動きがある。一方、鳩山前首相は、(16日の)中国訪問前に菅首相と極秘で会談。その場で『挙党一致・大同団結』を訴えたが、うまくいかなかったという情報もあります。朝日の記事は、この時の2人のやりとりがもとになっているのかもしれません」(政治評論家・有馬晴海氏)
仮に鳩山サイドから流れた情報だとすれば、菅とは袂を分かったというメッセージとみることもできる。多数派の「小鳩連合」が「反菅」でガッチリ手を握り、菅支持グループとの対立を先鋭化。菅は追い込まれたことになる。

19日の研修会に誰が登場し、どんな発言があるのか。目が離せなくなってきた。