小沢 党を割って「最後の奉公」 「自由新党」の名前まで流れる
(日刊ゲンダイ 2010/7/20)
前原グループ主導に嫌気
参院選から1週間余りがたった。菅首相の支持率急落は止まらず、求心力は低下。ねじれ解消のメドも立っていない。頼みの綱は小沢ひとりだが、選挙後は沈黙を貫いている。さて、どう動くのか。
◇現政権下では復権の目なし この3連休、大新聞、テレビは小沢前幹事長を追いかけ回していた。釣り好きの小沢の後を追って八丈島まで飛んだほどだ。
「小沢グループは民主党を割って出るのではないか」
永田町では今、こんな物騒なウワサが流れている。一挙手一投足に注目が集まるのも当然だ。
「民主党の執行部は、菅がダメなら次は前原国交相と考えてます。官房長官の仙谷と政調会長の玄葉が予算編成の中心になる体制づくりを急いでいるのも“小沢外し”とみられている。小沢グループが現政権の下で復権する目はなく、飼い殺しの状態が続くことになります。一方で、グループの新人議員らは仙谷官房長官や枝野幹事長らの切り崩しにあっている。このままでは小沢グループが解体されかねません」(民主党関係者)
一転、小沢グループが民主党を飛び出せば、一気に政界のキャスチングボートを握る可能性が出てくる。
「小沢グループの脱党で民主党は何もできなくなります。一方、小沢グループは民主党と手を組むこともできるし、揺さぶりをかけることもできる。自民、公明と結ぶことも可能。民主党を割って出れば、小沢グループはフリーハンドを得るのです。これは小沢グループにとってもっとも良い選択肢といえます」(政界関係者)
カネも自由だ。幹事長と官房長官を前原グループに押さえられている現状では、政党助成金も機密費も握れないが、自ら党を立ち上げれば、少なくとも助成金は思い通りに使うことができる。
◇衆参合わせて70人以上が同調
切り崩しが続いているとはいえ、「衆参合わせて70人以上の議員は確実に小沢と行動をともにする」(事情通)。官僚支配を終わらせる大改革の実現のためにも、分裂はきわめて現実的な考え方だ。
永田町に詳しいジャーナリストの小林佳樹氏がこう指摘する。
「民主党の連立相手である国民新党が郵政民営化法案で、社民党が普天間基地移転問題で存在感を存分に示しました。小沢グループは両党に比べたらずっと大きい。連立を組めば、小沢グループが目指す政策を堂々と要求して実現できるのです」
菅民主党が小沢新党との連立を拒否しても、自民党に次ぐ勢力として政局のカギを握る存在になる。永田町ではウソかホントか「自由新党」「新自由党」などの政党名まで流れている。
「最後のご奉公」を口にした小沢。八丈島での釣りは決意を固めるためだったか。