居直り管、敗北会見のしらじらしさ

(日刊ゲンダイ2010/7/12)

菅首相の敗北会見を聞いて「ダメだこりゃ」とズッコケた国民も多いのではないか。惨敗を謝罪して「私が消費税についてふれたことが、やや唐突な感じをもって国民のみなさんに伝わった」と敗因を分析したまではまだいい。ア然としたのはその次のくだりだ。
「消費税にふれた背景には、直前まで財務大臣を務めておりまして、その半年間に電話会談を含めると10回近いG7の財務相会談を行いました。その大部分はギリシャ問題に対する対応で、ギリシャが財政破綻を引き起こして年金などが大幅にカットされる、さらには仕事も給与もカットされる。そういう実態を見たから、なんとしてもギリシャのような事態に日本を陥らせてはならない、強い思いがありました」 と、この期に及んで、ギリシャ危機の例えを持ち出してきて、増税発言の言い訳を始めたのである。これには経済アナリストの菊池英博氏が呆れてこう指摘する。
「G7で『日本はまるでギリシャだ』なんて言われたことは一度もないし、誰もそんなふうに思っていません。そもそも、日本は対外債権が260兆円もある世界有数の金持ち国です。だから円が買われている。為替だけで毎年10兆~15兆円の運用益を出しているのです。日本とギリシャでは国の規模も条件も全く違う。菅首相は財務大臣時代、官僚やブレーンの学者に『ギリシャは債務残高対GDPが100%で破綻したのに、日本は1・8倍の180%だ』などと間違った知識を詰め込まれて、盲目的に信じてしまったのです」
こんな経済オンチ首相が、「改めてスタートラインに立った気持ちで、責任ある政権運営を今後とも続けていきたい」なんて寝ぼけたことを言っている。民主党支持者もドッチラケだ。