民主“内戦”激化! 小沢“逆襲戦略”衝撃秘策とは

(夕刊フジ2010年7月3日17時0分配信)   http://p.tl/3ndF


 参院選「7・11」が終盤戦に突入する中、民主党内の“内戦”が激化している。菅直人首相(63)の消費税10%発言や政権公約の修正をめぐり、参院選後の復権をもくろむ「一兵卒」小沢一郎前幹事長(68)が執行部批判を連発。対する枝野幸男幹事長(46)ら菅執行部が一斉に“逆批判”し、党内に亀裂が生じているのだ。「身内の足を引っぱる」(民主中堅)小沢氏の真意はどこに-。

 小沢氏は1日、地方遊説先の兵庫県朝来市で、また吠えた。

 「無駄な経費は何兆円も省ける。財源はある」と首相の消費税増税発言をけん制した上で、参院選の勝敗ラインを「現有54議席プラスアルファ」と低めに設定し、予防線を張る首相に対してこう言い放った。

 「本気で何かをしようとする時には、過半数を持っていないと何もできない」

 幹事長時代、複数区に2人の公認候補を強行擁立した小沢氏にすれば、あくまで民主党単独で過半数に達する60議席を目指すべきとの考えなのだ。

 小沢氏は公示日の24日、盟友の輿石東参院議員会長の応援で訪れた山梨を皮切りに、1日までに青森、香川、宮城など8府県で遊説。そのたびに、(1)首相の消費税10%発言(2)参院選の獲得議席(3)政権公約の修正-の3点を酷評。とりわけ、子ども手当の満額支給断念など政権公約修正について、「これでは国民にウソをついたことになる」と口をとがらせる。

 これに対し、反小沢氏の面々がそろう菅執行部も一歩も譲らない。

 枝野幹事長は政権公約修正について、「税収の大幅な落ち込みにあわせ、やむを得ない場合には国民に理解を求める。硬直的、形式的に物事をすすめ、かえって国民に迷惑をかけるのは無責任な大衆迎合だ」と反論。

 小沢氏が幹事長時代に、昨年末の予算編成でガソリン税の暫定税率廃止を見直した「剛腕」ぶりも引き合いに、「手直ししたことをもうお忘れか」と強烈に皮肉った。

 さらに、玄葉光一郎政調会長も「いまはチーム一丸となって戦うべき」といえば、野田佳彦財務相は参院選の政権公約作りには小沢氏も参画したことに触れ、「いまさら何を言うのか」と言わんばかりの表情で、小沢氏の姿勢に首をかしげる。

 当の首相も1日夜、小沢氏が消費税発言を批判していることについて、「影響力が大きいのは分かるが、気にしすぎだ。『静かにしていただいた方がいい』と言ったので、これ以上言うのは失礼にあたる」と不快感をにじませた。

 ただ、肝心の民主党候補は「消費税増税は争点ではない」などと正面から取り上げようとせず、むしろ「引き上げません」と訴える候補も。関東地方の民主党系地方議員も「地方は疲弊しきったまま。増税なんてトンデモナイ。首相は高い内閣支持率に浮かれ、見通しを誤ったのでは…」と吐き捨てる。

 では、公示日から一貫して菅執行部を批判する小沢氏の狙いはどこにあるのか。

 小沢氏周辺は「せっかくオレがやめて党勢がV字回復したのに、消費税増税なんて…『あいつらは選挙のイロハも知らない』とうんざりしているはずだ」と強調。

 そのうえで、「首相に『静かにして』と言われたが、小沢氏が主導して擁立した複数区の2人目候補が消費税発言で落選危機にさらされているだけに、静かにしているわけにもいかなくなったのだろう」と打ち明ける。

 また、小沢氏に近い民主中堅は、昨年末に大訪中団を引率した小沢氏が胡錦濤国家主席に、「私は人民解放軍の野戦軍司令官として頑張る」と参院選への意気込みを語ったことを想起。「すでに一兵卒から『野戦軍司令官』気取りになりつつあるのでは…」と、小沢氏復権に期待感をにじませた。

 こうした期待感の背景にあるのは、参院選後をにらんだ「逆襲戦略」だ。

 永田町有力筋の1人は「仮に民主単独か与党かで過半数をとってしまえば、小沢氏の出番はなくなる。むしろ過半数割れの方が小沢氏にとって出番が増える。自ら数合わせに汗をかけば求心力も高まるわけで、自分の生き残りのためにやっている」と指摘。

 政治評論家の浅川博忠氏も「小沢氏の執行部批判は首相への不満と参院選後も自らの優位性を保つのが動機」としたうえで、「過半数に達しなければ、9月の党代表選でリベンジしやすくなる。退陣で1歩後退したが、代表選で2歩前進というわけだ」とみる。

 ただ、小沢氏には「検察審査会」というトゲが刺さっているのも事実。

 「7月中にも出るとみられる審査結果が『起訴相当』となり強制起訴になれば、すべてが水の泡になる」と浅川氏。「2歩前進」どころか、後退したまま政界から退場という事態が起きる可能性もある。

 それだけに、民主党内には「菅執行部はこれを見据えて強気になっているだけ」(中堅)との見方もあるが…。