みんなの党と組むという枝野幹事長、玄葉政調会長の軽挙妄動

(日刊ゲンダイ 2010/6/30)

小沢路線を完全否定 選挙中なのにスリ寄る奇っ怪

コイツらの軽率な言動に、また小沢前幹事長が怒り出しそうだ。民主党執行部が、「みんなの党」に秋波を送り続けている。
枝野幹事長が27日に、「行政改革や公務員制度改革で、かなりの部分で一致している。一緒にやっていただけると思う」と唐突に連携を呼びかけたかと思えば、きのう(29日)は玄葉政調会長も追随。「(みんなの党は)比較的(民主党と)考え方は似ている」と、枝野に同調してみせた。
民主党のラブコールに、みんなの党の渡辺喜美代表は「みんなの党の支持層の引っぱがし作戦。悪質な選挙妨害だ。顔を洗って出直してこいと言いたい」と猛反発したが、渡辺だって今はそう言うしかないだろう。選挙中なのである。しかも、民主党とみんなの党の考えは似ているように見えて全然違う。少なくとも有権者はそう見ている。
「似ているのは、行政改革や公務員改革だけで、基本政策は“水と油”です。みんなの党の経済成長戦略は、規制緩和と構造改革が中心。小泉・竹中路線の市場原理主義を継承し、さらに徹底させることを標榜しています。逆に民主党は、当時の小沢代表が指揮した3年前の参院選から、『国民生活が第一』と小泉・竹中路線の修正を掲げ、それが政権交代の原動力となりました。理念とビジョンがまったく違う党と手を組もうなんて、発言する政治家の見識を疑います」(明大教授・高木勝氏=現代経済)
みんなの党は消費税増税だけではなく、郵政見直しにも反対だ。民主党が、みんなの党と一緒になれば、連立パートナーの国民新党との関係はグチャグチャになる。

◇ブレを通り越して支離滅裂
枝野らは、現実味を帯び始めた「与党過半数割れ」を意識した駆け引きを演じているつもりかもしれないが、あまりにも軽率だ。
「みんなの党との連携は、小沢路線をかなぐり捨てることを意味します。枝野幹事長らが本気で動けば、さすがに小沢さんも黙ってはいないでしょう。9月の代表選前に政局を仕掛け、場合によっては党を割ることもあり得ますよ」(民主党関係者)
多くの複数区では、民主党とみんなの党が、最後の1議席を争っている。その当事者である千葉景子法相(参院神奈川)は「選挙をまだやっているなかで(発言が)出ると、いささか困惑する」と枝野発言を批判したが、枝野らの軽挙妄動は戦う前に敵に塩を送るようなもの。味方の戦闘中に「一緒にやろう」と敵に呼びかける“司令官”では戦争には勝てない。ますます票を失うだけだ。
枝野は党内での反発を受け、今度はみんなの党の渡辺代表を念頭に「どこかの党首は行政改革担当相を1年半もやっているが、仙谷官房長官と私は合わせて8カ月。業績をきちんと見極めてほしい」とか言い出した。
消費税をめぐる菅首相のブレもひどいが、枝野の発言はブレを通り越して、もはや支離滅裂である。