ロートル、窓際官僚の救済を閣議決定 仙谷官房長官の裏切り

(日刊ゲンダイ2010/6/23)

「天下り」「ムダ遣い」の根絶に次々逆行
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また、民主党の改革路線が大きく後退した。菅政権は、きのう(22日)官僚の再就職や出向の指針などを盛り込んだ「退職管理基本方針」を閣議決定した。方針の中身は、出世コースを外れ、仕事のなくなった“窓際ロートル官僚”救済策のオンパレード。ゴーサインを出したのは、仙谷官房長官とみて間違いない。
今回の閣議決定は、各府省庁の人事担当者が一丸となって仕掛けたものだ。基本方針の内容を見れば、官僚ペースは一目瞭然。①次官や局長レースに敗れたロートル官僚の受け皿として、年収千数百万円の高給を保証する「専門スタッフ職」なるポストの新設、②独立行政法人の役員ポストに窓際官僚を出向させ、そのまま法人職員とする“天下りの先取り”を容認――など「天下りあっせん禁止」で行き場を失った官僚の救済策が、目白押しとなった。
これでは、高給の窓際族が居座り続け、マニフェストに掲げた「総人件費の2割カット」構想も水の泡だ。公務員制度改革を担当した元経産官僚の原英史氏(現・政策研究大学院客員准教授)は、こう言った。
「官僚主導で閣議決定を急いだのは、7月の定例人事に間に合わせるため。恐らく、選挙戦の間隙を縫って、“天下りの先取り”人事が横行することになります。菅政権は官僚の“焼け太り”を許しているのです」
問題は、政権内で官僚の救済策に手を貸した人物だ。原氏も「方針の中身を理解した上で、容認した閣僚が必ずいます」と指摘した。
鳩山政権時代に、基本方針の取りまとめに当たったのは、原口総務相と仙谷国家戦略相(当時)だが、怪しいのは後者である。
「閣議の進行係は、仙谷官房長官です。仙谷さんは4月末に、マニフェストの『総人件費2割カット』について、『結論だけ声高に押しつけてもムリ』と発言し、官僚を喜ばせていた。最近も、『残る税金のムダ遣いは、せいぜい2兆円』と発言。マニフェストの『ムダ削減で約16・8兆円を捻出』を反(ほ)故(ご)にしてしまった。一連の官僚にスリ寄る姿勢から、彼が手を貸したとしか考えられません」(政界関係者)
仙谷の裏切りで、有権者が政権交代に期待をかけた「天下り根絶」と「ムダ遣い排除」は風前のともしびだ。誰か、仙谷の舌の根をひっこ抜くやつはいないのか。