民主党 これが参院選マニフェスト案 (日刊ゲンダイ2010/6/10)


「イクメン」「カジメン」で女性票獲得 返済義務のない奨学金制度の創設
菅政権が勝負をかける参院選マニフェストが明らかになってきた。
菅執行部が教育政策の目玉に据えるのが、希望する大学生全員に「奨学金」を支給する制度。しかも“給付型”とし、返済の義務はない。国際比較で日本の学生の学力低下がいわれて久しいが、学生が勉強に専念するきっかけになるかもしれない。
家計への支援では、従来の「母子」に加えて「父子」家庭にも児童扶養手当を支給する。新たに配偶者控除の廃止を盛り込んで、主婦の働く意欲と家計の収入増を図る。雇用重視の観点から「雇用保険をすべての労働者に適用する」という項目を盛り込む。これには3000億円の予算をつける予定だ。賃金に関して最低賃金を現行の時給800円から1000円に引き上げることも明記する。
税制では、富裕層の不満が多い累進課税の見直し、揮発油税の廃止と環境対策税導入だ。さらにスポーツ基本法をつくり、地域スポーツの普及や指導者の地位向上を図る政策を打ち出そうとしている。懸案である取り調べ中の全面可視化に90億円の予算をつける――。
「イクメン」「カジメン」ができる男をつくる政策も盛り込まれる。イクメンは“育児”ができる男であり、カジメンは“家事”をする男だ。こうした男がカッコいいという価値観を広げていく方針だ。いやな顔をするダンナは多いかもしれないが、奥さんは大歓迎だろう。女性票を増やす上で大いに効果がありそうだ。
国民目線を標榜(ひょうぼう)する民主党政権らしさが出た内容だが、菅総理は財政再建論者である。巨額な出費を伴うこれら政策をすんなり認めるのか。むしろ、「消費税を含む増税をマニフェストに明記する可能性が大きい」(民主党関係者)という指摘もある。マニフェストへの関心は1年前よりずっと高い。菅政権の踏み絵となるだけに、そのデキが選挙を左右する。