日本郵政 検証報告が断罪 やっぱり国民資産を叩き売ろうとしていた! (日刊ゲンダイ2010/5/20)

西川善文執行部のデタラメ次々発覚 なぜ検察は捜査しない

刑事事件の「起訴状」のような内容だった。日本郵政の旧経営陣らによる企業統治(ガバナンス)を検証した、総務省の最終報告書のことだ。鳩山叩きに忙しい大マスコミは詳しく報じていないが、読めば読むほど西川善文前社長らの経営手法がデタラメだったことが分かる。
「業務の公正さ、手続きの適正さに問題がある」――。報告書は、西川らの責任を断罪する文言のオンパレード。中でも「かんぽの宿」の売却や、土地処分に関する「不動産事業」について厳しく批判している。
「日本郵政が保有していた不動産は当時、土地と建物で計約2・8兆円。これは大手不動産をはるかに上回る規模で、郵政民営化の成否は、この不動産事業をいかに活用するかにかかっていました。しかし、旧経営陣は、アドバイザーの外資系証券の忠告を無視して安売りに奔走。『かんぽの宿』は07年8月、3社の不動産鑑定評価会社が約221億円(70施設)と評価したのに、日本郵政側が『買い手が付くのか』とゴネたため、1週間後に約125億円と再評価。それでも日本郵政が納得せず、結局、3回目に当初の半値以下の約97億円と評価しています。売り手が自ら資産価値を下げるなんて、通常の企業活動ではあり得ない話です。会計検査院も今年3月、こうした評価額に対し『本来の価格より相当低く算定され、資産価値を適切に反映していない可能性もある』と指摘しています」(総務省担当記者)

「自らの利害と譲渡先の利害を重視」
上場企業なら間違いなく株主訴訟が起きる。経営者は背任罪で逮捕されてもおかしくない。一体なぜ、こんなメチャクチャをやったのか。
「『かんぽの宿』の売却を主導した宿泊部の関係者の多くが売却後、売却先に移籍する計画だったことが背景にあるでしょう。最終報告書でも『宿泊部の者は、処分方法、譲渡先の選定について、日本郵政の利益よりも自らの利害、譲渡先の利害を重視してもおかしくない立場にあった』と指摘している。


その証拠に『かんぽの宿』の譲渡に関わる新会社の副社長には、宿泊部長の起用方針が示されていました」(経済ジャーナリスト)
検証委員会委員のひとりで、前衆院議員の保坂展人氏がこう言う。
「不動産事業は民営化のハイライトだったにもかかわらず、どのような経営判断に基づいて行われたのかが全く分からない。資料は残っておらず、関わったとみられる社員が一斉に退社しているからです。この抜け落ちた部分を明らかにしなければ郵政問題は終わりません」
西川は検証委の再三の聴取要請にも全く応じず、ダンマリを決め込んだ。しかし、すでに与党の国会議員から「特別背任未遂」などの容疑で告発されている身だ。
検察は一刻も早く捜査するべきだ。