オトナとガキのケンカ 国交省に丸め込まれてよく言うよ前原大臣
(日刊ゲンダイ 2010/4/26)

小沢「二律批判」のお笑い

◇高速整備と同時に「地方主体」「割引拡充」を求められたのにノータッチ
「道路料金の話は役所の抵抗(の結果)であり、役所を説得できずにこうなった」――こう暗に小バカにされたことが、腹に据えかねたのだろう。前原誠司国交相(47)が、小沢幹事長への不満をぶちまけ、小沢嫌いの大マスコミを喜ばせている。
前原は「道路整備をしろと言っておきながら、『値段が上がってはいかん』というのは、二律背反だ」と口をとがらせながら指摘。大マスコミも、小沢側が昨年末の予算要望で、料金割引に使っていた財源を道路整備に回すよう求めたのが、「混乱の発端」などと前原に追随している。
前原もマスコミも、もっともらしく小沢を攻撃しているように映るが、重要な事実には、あえてフタをしている。
予算要望には①地方が必要とする高速道建設のため、国の支援策を検討、②高速道の無料化について、割引率の順次拡大や統一料金制度の導入など社会実験を実施――と道路行政について触れていた。小沢側は、道路整備と同時に、地方主体の高速道建設と、割引拡充を求めていたのだ。
①については「6月中に政府として成案を得る」とも求めていたが、この件について前原大臣はノータッチ。地方の声に耳を貸そうとしなかった。それでいて、きのう(25日)も大阪府の橋下知事と会談し、いかにも地域主権派のように振る舞っているのだから、ヘドが出そうだ。

「国交省の役人は、小沢側の要望のうち、『道路整備』の部分だけを意図的に抜き出した。割引廃止で浮いた2・6兆円の半分以上という1・4兆円もの巨額財源を道路建設費にあて込むためです」(民主党関係者)
しかも、小沢側の意図は、地方の不採算道路に財源を回すことにあったのに、前原は東京外環道と名古屋環状2号線など、都市部の道路建設まで認めてしまった。
「両路線の建設費は9000億円です。東京都も名古屋市も予算は潤沢。国が巨額の税金を投じることは、『地方主体の道路建設』という要望にも反します。巨額道路をつくる財源があるのなら、値上げ幅を圧縮するのがスジ。前原大臣は完全に国交省の役人に丸め込まれています」(霞が関関係者)
小沢が強気の姿勢で前原を批判したのも納得だ。前原の不甲斐なさ、無定見ぶりを本気で嘆いているのだろう。
百歩譲って、前原が小沢を「二律背反」と批判するなら、要望が出た時点ですべきだった。無能ぶりをさらけ出した後では、“お子ちゃま"がオトナにケンカを売っているに過ぎない。