それは むかしむかし、、、


遠い遠い海の向こう、、、

鬼のすむ荒れ果てた島がありました、、、


そこに ひとり 誰とも相容れないような 心の優しい鬼がおりました

その 鬼は そこに咲くことは無いだろう小さな 小さなお花を愛でておりました


いつか 自分も このお花の様に 凛として咲き誇りたいと 鬼はそう思うのでした


でも そんな些細な幸せも 長くは続きませんでした


鬼が誰が 強いのか争いを始めたのです


心の優しい 鬼は 花が鬼に踏み潰されぬよう お花を 海が見渡せる丘まで持っていくと

きれいに飢え直し 目に付かぬよう すぐにそこから立ち去りました


彼が鬼である以上 争いから逃げることなど出来ません ですが 心の優しい鬼に

そんな争いから生き残る力はありませんでした 

鬼は 最初から こうなることをわかって 花を せめても生き残れるよう 日の当たる良い場所に連れて行ったのでしょう


風がふき 小さな花は花弁を 揺らめかせ 鬼の帰りを待つかのようでした

鬼は 最後の力を振り絞って それでも引こずる足を ひっぱり その花が咲く丘へと戻ってきました

花が無事とわかると安堵したように鬼は力尽きました


ゆらりゆらり花弁はゆれ ゆるりゆるりと優しい風が吹いて


月日は立ち 花が咲いていた場所に 小さな 芽が顔をだしました

大きく育った その花は 一つの実をみのらせ その実は雫のように 静かに落ちると

風に吹かれて 海へ落ち ゆっくりと波に運ばれていきました





むかーし むかし のお噺です、、、

小さな川を ゆるりゆるりと 大きな実が流れておりました


それはそれは この先のお伽噺


それはそれは 鬼と戦う優しい優しい若者のお伽噺


それはそれはこれから 刻まれていくお伽噺


ゆるりゆるりと風は吹き、、、