※ここから先は 私の独断と偏見で無い知識と文才をいかして好き勝手かいてます
それでも読んでみようかなった方だけ
下へ(笑)
あまふらせたんまいな ~幸福な不幸~
「良かった、、、貯まってる」
竹筒を手に取るとうれしそうに笑む少女 彩
中の水は微かに濁っているもののこれでも濾過されている方なのだろう
ある日村に雨が降らなくなってもう二年がたつ
それでも裕福な家はどこからともなく買っているのだろう
私たちにはとても買えない金額で
「……」
いつもの場所で足が止まる
小さな祠 今となっては誰も奉らなくなった
もう何の神様がいるのかさえわからない祠
中には小さな人形がぽつんと空を見上げている
別に神を信じてるわけでも信仰してるわけでもない
ただ こうしていれば 何処か楽な気がした
「……」
「まだそんな所で祈ってるのかい?」
そう話しかけてきたのは 仕事帰りのおじさんだった
使い込まれたごつごつの手にぼろぼろの着物から埃が舞っている
「意味は無いから」
彩は軽く頭を下げるとその場を走っていった 水がこぼれぬ様大事に抱きしめ
家路についた頃にはだいぶ暗くなっていた 雨などもうだいぶ降らなくて からっとした暑さが喉を圧迫する
指に水滴をつけると 舌にもっていった 足りないのにそれでもだいぶ満たされる気がした
いつ壊れてもおかしくない様な小さなボロ屋 彩はここで母と二人ですんでいる
小さな妹がいたが 暑さで倒れそのまま眼を覚まさなかった
彩は切り替えるように 笑顔を作ると “ただいま”と家に入った
「お母さん お水 喉渇いたでしょ?」
妹が死んで 一気に母は病弱になった
小さな頼りない手に彩は水の入った筒を渡した でも母はそれを飲もうとせず
「貴方が飲みなさい 私はもういいわ…」
「何言ってるの 私はもう飲んだからね」
無理に笑顔を作って 押し返す手を母へ持って行く
「ごめんね ありがとう」
母は少しばかり水を飲むと 眠ってしまった 起きていれば喉が渇く 皆はやく寝てしまう
母の寝顔を横から眺める いっそ 悲しくて 涙でも出れば まだ 潤うのに
妹が死んで以来 ずっと作り笑いばかりしてた 気付けば涙も出なくなった
彩の日課は泥水を汲むこと 此れを砂利を通し 少しでも飲めるものにする 口にしないものは多少濁っていても平気だった(実際口にするのも濁ってた)
彩以外にも何人も来ている 皆 きれいな水など買えない人たち
「なんで ここだけ雨が降らないんかね 神様は不公平さね」
だれかがそんな言葉を口にすると んだんだ と 皆好きに賛同している
彩もとりあえずあわすために 適当に相槌をうった そしてふいに聞こえた声に 笑みをとめた
どうしたの?と心配され慌てて首をふった
泣き声が聞こえた気がした でもこの中で泣いてる人なんて誰もいない
気のせいだろうと 再び作業に戻った
「お水 ある」
いつもの様に筒を回収すると 食べれるものは無いかまだ 生き残っている 森に入った
ここは食べれる木の実や 草が生えている 木の実に手を伸ばし また手をとめた
今度ははっきりとした泣き声が聞こえたからだ
「誰かいるの?」
返事は聞こえてこない
ふいにおくに あの祠と対になっている 祠があることを思い出した
でも 行く気にはなれなかった そこは彩が小さい頃勝手に遊びに言った時
そこには怖い竜神様がいて 勝手に入ったもの食べてしまうと怒られ それ以来 奥には近付かないようにしていた
別に信じてはいないけど 子供心に怖かったからだ
「気のせいだね…うん」
自分に言い聞かせると 森を後にした
「?」
いつもの祠の前まで来て 彩は足をとめた 祠の前を囲むように村人が集まっている
「どうしたんですか? あ…」
輪の中に入り込むと そこには小さな子供が 丸くなって倒れている 息は荒くて 九分九厘死んでいる感じ
「可愛そうに 熱にやられたんだ もう助からんよ」
「こんなに小さいのに」
皆口々に哀れみの言葉をあびせていた もちろん助ける気は無い
「…ぁ 」
子供は微かに意識を戻すと 弱弱しく手をあげる その姿が妹とかぶる
「よし 今楽にしてやるから」
誰かが 子供の首に手をかけ 彩は咄嗟に やめてと叫んでいた
自分がどうこう出来ないのは分っていた でも 止めずにはいられなかった
「私が この子見ます いざという時は私が殺しますから」
彩が 強く 説得すると 他の人たちは関わりたくないのもあって 承諾してくれた
皆 自分の事で精一杯なんだ
家に 帰ると 母は驚き 子供のために 自らは起き上がり布団を用意してくれた
「お飲み」
ゆっくりと口元へ水を運んでやると 必死に喉を動かし水を飲んだ 時々むせこむものの 呼吸が落ち着いていくのが分った
子供は目をぱちぱちさせると 小さく笑みを作った
そうこうしてると 母が木の皮を小さくして濁水で煮込んでいた 何の木だったかな 粘土みたいになってあんまり美味しくないけど
「食べれる?」
母が子供にそれを手渡すと 少し考え込んで でもぱくっと口に入れた
「どう?」
彩が恐る恐る聞くと子供は んーと眉間に皺を寄せ複雑な顔をした その顔が何とも微妙を表現していて つい笑ってしまうと
子供も母もつられて笑っていた
久しぶりに心から笑った気がした
続け(命令形)