たとえば、女性向けの本というと、

お洒落ピンクライト系の発色のカバーを

思い浮かべる著者の方が多いです。

女性に買ってほしいという想いがあるからです。

が、結果は果たしてそうなのでしょうか。

 

『だから私はメイクする』柏書房

メイクの内容ですから購入層は100%女性と思いきや、

グラフを見てください。男性も10%います。

本書は同人誌が元にもなっており、TV化もあったので

客層は広がりがあります。特殊例です。


グラフは紀伊國屋書店全店の売上データベースです

 

『人は話し方が9割』すばる舎

お次は売行き良好書です。ご存知の方も多いでしょう。

男女比は約半分。女性の方が若干多いです。

これは出版社も想定外だったと思います。

 

 

ではこれではどうでしょう。

『嫌われる勇気』ダイヤモンド社

メッチャ売れました。アドラー心理学ですね。

このタイトル付けで売れた本だと思います。

これも女性客層が勝っています。

 

 

では、これなら男性の方が多い、はず・・・

松下幸之助氏の名著です。

『道をひらく』PHP研究所

と思いきや、男性はわずかに勝っている程度。

発行部数530万部はビジネス書でダントツ1位です。

 

 

 

【書店でどこに並ぶのか】

書店ではカバーも参考にしますが、並べるときは内容も吟味されます。

また、発売後に適性位置に陳列場所を変える場合も結構多いです。

 

『だから私はメイクする』は当初コミック、女性エッセイに並びます。

しかし、男性客の可能性が後ろ髪を引きます。女性客の多い職業と言えば、

美容師、メーク、飲食店の方にも売れそうです。

また、女性スタッフの多い保険会社も男性上司が読むと考えられます。

女性を理解したいという男性も客層です。

 

『人は話し方が9割』と『嫌われる勇気』はビジネス書です。

客層は男女比同じ、年齢層にも幅があります。TVでも紹介本です。

というわけで、入口ワゴンでの展開です。

また、人が集まる中での話し方だったり、つき合い方の本ですから

ビジネス書フェア、新生活応援フェアでも活きます。

 

『道をひらく』は文庫本です。

しかし、内容の読みやすさをもっと広くアピールしたいという、出版社の

意気込みがあって「女性にも読んで欲しい」というパネルつきで店頭展開されて火がつきました。松下幸之助氏と言えば故人ですので、出版社活動が努力して売り伸ばした本と言えます。

 

このような例は他にもいっぱいあります。

真っ黒な表紙を買う女性もありピンク色を買う男性もおられます。

色は個人の好みです。

男女という区分は必要なのかという専門店の書店員さんもいました。

「仕事に男も女もないでしょ。どうしてもその区分けで扱ってほしいと言うのなら、

置き場所はジェンダーコーナーと言うことになりますが」

ごもっともすぎて言葉に詰まりました。

 

本は読まれる方が判断するものです。

我々が決め打ちするものではないのかもしれません。

女性エッセイコーナーに置かれてしまうことで

逆に男性客を退けてしまう可能性もあります。

 

各出版社がまだ結論を出しきれていない部分です。