このお話は10年前、私が大阪支店にいた頃に、
本屋さんの井上部長と雑談したときのこと。
「ところで浜田君、書店ともいうし、本屋とも言うよね。
なんでふたつのの言葉があるんやと思う?」
と聞かれ答えに詰まりました。
これはこの本屋さんが理念としていることでした。
書店は
商いにシステム化された売り場。
店内は広く、たいがいの本はあります。
品切れしても出版社から2日で本が届きます。
店内には検索機もあるので便利です。
とてもクールです。
しかし、「なんか面白い本ない?」という質問には答えられません。
タイトル、出版社名などキーワードが必要です。
オビのキャッチコピーやサブタイトルでは不可です。
本屋は
地元駅前や住宅地に多く、アナログな感じです。
店内は狭く、何となく雑然としています。
システム化などはあまりされていません。
注文しても入荷に3週間程度要します。
店内に検索機はありません。
とても不便に思えます。
しかし、「なんか面白い本ない?」という質問へ答えを持ちます。
「ああ、お客さんの好きそうなの入ったよ。これどう?」
などというやり取りがあります。
井上部長、
「私達は本屋になる道を選びました。」
と言っていました。
書店と本屋。
皆さんにはきっと好き嫌いがあると思います。
「私は書店派かな。」「俺は本屋派だな」…
勿論それでいいと思いますが、
でも街には両方が必要だと思っています。
私は今でも井上部長を尊敬しています。