今回は【坪単価講座】の一回目。
・・・と言っても、2回程度で理解できるように説明させていただきますので
次がおそらく【坪単価講座】最終回です。
まずは否定的な話をさせていただきます。
最近は減ってきましたが、
『坪単価』という物差しで建築の予算を把握しようとする方がまだいらっしゃいます。
『坪単価』とは、現場が終わってみないと正確な原価が決めれないという個人大工主流の時代、
過去の経験則から造り手がドンブリ勘定で目安にした見積手法が『坪単価』という概念です。
正確に見積をしようとすると、『坪単価』という概念は全く間違っていることがわかります。
それをこれから検証してみましょう。
まずはプラン例1。
真四角の奥行き約4間(7.28m)、間口約5間(9.1m)の1階床面積20.04坪の建物。
次にプラン例2。
ちょっと変形した奥行き最大約4間(7.28m)、間口約5間(9.1m)の1階床面積16.78坪の建物。
ここから少し頭を使っていただきます。
どちらも室内のドアの枚数は同じにしてみました。
次にサッシと玄関ドアの数量。
間取りの関係上、和室左側のサッシサイズをプラン例2の方を小さくしてみましたが、
その他のサッシサイズと数量は全く同じです。
それと外壁の工事面積。
プラン例1は平面上で外壁の施工長さをみると壁の中心から中心の長さで
9.1m+7.28m+9.1m+7.28mで合計32.78m。
プラン例2は
9.1m+5.46m+3.64m+0.455m+1.82m+2.275m+3.64m+7.28mで合計33.67m。
建物の小さいプラン例2の方が長くなっています。
高さやサッシの数は同じだとすれば、
外壁の面積は床面積の小さいプラン例2の方が広いのです。
しかも出隅と呼ばれる建物外部の角がプラン例1は4ヶ所なのに対し、プラン例2は6ヶ所。
出隅コーナー材もプラン例2の方が2ヶ所分多く使用することになります。
つまり外壁工事金額はプラン例2の方がやや高いということ。
これは壁の断熱材面積にも比例しますので、
壁断熱材工事は建物面積の小さいプラン例2の方が工事代が高くなります。
さらに水廻りの設備機器の数も同じです。
同グレードの設備だとすれば、
設備機器代金や設置にかかる工事代金はプラン例1、2共に同じになります。
1階だけの坪数で3.26坪違うそれぞれのプランですが、
コンセントや電灯スイッチ、照明器具の個数などの電気工事が大きく変化するでしょうか?
答えは同等の電気設備機器を選択した場合、
部屋数が同じであれば、電気工事代金はほぼ同じ金額になります。
それぞれのプランが総2階建てだとすると、プラン例1よりプラン例2が金額が安いのは
基礎工事、大工工事(室内間仕切り壁の工事含む)、屋根工事、床・壁の断熱工事、
内装工事(壁紙など)、床仕上材(フローリングなど)、屋根・床・天井の下地材、
そして構造材(梁と大引くらい)等などです。
柱の本数は10本と変わりません。
そろそろ結論です。
それぞれのプランで金額が変わらない部分が約400万円だったとしましょう。
それぞれのプランが総2階であれば、
プラン例1は床面積40.08坪、プラン例2は床面積33.56坪。
共通工事代金の約400万円をそれぞれの床面積で割ってみると
プラン例1は約10万円/坪、プラン例2は約12万円/坪となります。
床面積で変動する工事代はどちらも坪○○万円で変わらないとしたら
2つのプランは単純に坪単価で2万円違うことになります。
「お宅は坪単価いくらですか?」
私たちは一概には言えません。
言えているところはドンブリ勘定やいい加減に答えていますので、
ご注意ください!!