小学高学年の娘は、好きな男の子や友人に配る為忙しく準備をしていた。

例年は、本命以外の男子には渡さずにいた。一途さを表現したかったらしい。

だが今年は、仲良し4人組の本命以外の男子にも渡すとのこと。


様々な型抜きを使って焼いたクッキー。

ハート、クローバー、ムーミン、ニョロニョロ、スニフ、ムーミンパパ、ミー、お花、、、


ラッピングの際、誰にどの形を渡すかで悩んでいた。


「本命以外の男子にハートはあげたくないわ」

「本命の男子にハートあげたら恥ずかしいわ」

「仲良しの女の子にハートあげるわ」



そこで私は少し安心した。

嬉しかった。



彼女は低学年の頃、向かいの高学年男子ににわかな恋をしていた。

恋というのか、遊びの延長のようだった。

だがその恋心はダダ漏れで、隠す様子もない。

向けた愛情は返されて当然とも思っているよう。


それをひやひやしながら見守っていた。


ある日のこと。

汚い字で紙切れに書いたラブレター。

「けっこんしてください」

律儀に返事が届いていた。

「また遊ぼうね」


また別のある時には、

「○○くーん」と声を掛け、少し腰を落とし両手を開いて満面の笑み。

その姿は、まるでキャッチャーがボールを受け止める構えをしているかのよう。

走り寄って抱きしめ合うものだと、親子の愛を彼に向けていた。

高学年男子はクルッと向きを変え気付いてない振り。

何度も繰り返す娘。

ついに娘を避け始める高学年男子。

残される娘の空しい構えを陰で見守る私。


親としても何とも言えない気持ちになった。


好意は隠す方が良いのかとのお題で何度も娘と話してきた。隠す意味が分からないようだった。

それが今では、良い塩梅が分かってきたよう。


社会性は、周りに揉まれて育つもの。


改めて気付くバレンタインとなった。