創造都市研究科
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<ポストモダン>とは何だったのか

平成19725

<ポストモダン>とは何だったのか  本上まもる PHP新書

 1983年、浅田彰「構造と力」がベストセラーになりポストモダン思想がもてはやされた。浅田彰26歳の著作である。サラリーマン、ビジネスマンがあたかもファッショングッズのように、この本を携帯していたのを目撃したことがある。まったく、軽薄短小な世相であった。なぜならこの著作の内容は難解で、自分自身未だに通読する自信がないシロモノである。

 さて、浅田氏は今も教授に准じる立場らしいが、天才がただの人になったのだと凡人は考えておけばよいのでしょうか。学生時代の浅田氏に接した記憶があるのですが、彼が早熟の天才であるとはまったく気づきもしませんでした。あぁ、凡人。


平成19年4月19日~20日

1.小豆島 平成19419

 ☆ 新大阪7:46 岡山

岡山駅~新岡山港へは タクシー 約35分 3200円

新岡山港(9:20の高速艇 1400円)~土庄 

土庄~草壁港(土庄高校&小豆島高校)タクシー 6500円程度

昼食は草壁港のさぬきうどん(小豆島No1)

 ☆ 草壁港~高松(12:50発高速艇 13:40着 1140円)

1.高松  平成19420

高松~三本松

三本松駅~高松駅 14,320円

 ☆ 坂出~飯山 往復で 4000円

男女共生(介護について)

近代的性別分業社会を変革するために必要なこと

男女共生社会をめざすために求められる社会政策

 

 山田昌弘著『希望格差社会』を読みました。そして『男女共同参画白書』を参考にしながら、大沢真理著『男女共同参画社会をつくる』を読み、このレポートを作成しております。その他に資料としては、住友金属賃金差別事件の記事・文京区のお受験殺人事件の記事などです。

 まず正直な印象を申し述べます。

1.ジェンダーの意味(定義)を知りませんでした。ほぼ初耳でした。

2.専業主婦は日本国の伝統、おとこの甲斐性であると思い込んでいました。

3.上昇婚ということばも初耳でした。

4.住金の裁判については、原告側にシンパシーを感じます。

5.文京区の事件については、男女の問題を超越したものであり、われわれ人間は一体何を求めて暮らしているのかと疑問を感じました。

 介護ビジネスという巨大マーケットに民間企業が参入し営業活動を行うことは、その企業の営利のためだけではない。それは『介護の社会化』とか『措置から契約へ』などのスローガンの下で行われた大改革であった。私企業が営業力を駆使し介護サービスを家庭にセールスする。そんな活動を日本全国で行う。そうすると『介護が社会化する』、『長男の嫁を無償介護労働から解放する』・・・・こんなことを信じて営業活動が行われていた。近代的性別分業社会を変革する可能性も大きい、社会的実験のような感じもしました。ジェンダーの意味も知りませんでしたが。

 大沢(前掲書、156ページ)は高齢者介護について平成10年度版厚生白書を引用して次のようにまとめている。

「日本の高齢者介護は家族の女性による介護に大きく依存してきたが、(略)家族の『介護疲れ』などの現状が着目されるべきである。(略)、介護が『女性就業の阻害要因』になっているという問題がある。そこで、介護保険制度創設のねらいは、『国民の共同連帯の理念』にもとづき、給付と負担の関係が明確な社会保険方式により『社会全体で介護を支える』新たな仕組みを創設し、利用者の選択により(略)」

 平成13年度版から平成18年度版までの男女共同参画白書により介護する側の状況を時系列に調べてみた。「65歳以上の要介護者の主な介護者は誰か―男か女か―」という観点からその比率をみると次のようであった。

 要介護者の人数と老年人口に占める要介護者の比率は次のように毎年のように伸びてきている。介護保険制度の浸透により同居家族(主に女性たち)が介護労働から解放されてきていることをうかがわせる数字ではないだろうか。

平成15年度版   要介護者275万人  老年人口の12%

平成16年度版   要介護者321万人  老年人口の14%

平成17年度版   要介護者361万人  老年人口の15%

平成18年度版   要介護者393万人  老年人口の16%

 

このことは次の数値からも確認できそうである。要介護者は誰に介護されているのかということである。

平成15年度版  同居家族71.1%  別居家族7.5%   事業者9.3%

平成18年度版  同居家族66.1%  別居家族8.7%  事業者13.6%

 介護事業者の比率が3年間で4.3%ポイントも増加していることは、介護保険制度が定着し介護が社会化してきているという実感を持てる意味で大変喜ばしいところである。

 これらの結果、介護従事者の男女比率は次のようになっている。

平成13年度版  男16.8%  女83.2%

平成18年度版  男23.6%  女76.4%

 この数字が男女で50:50に近似することが男女共生社会をめざすためには必要なことであると思う。

ビジネス・プロセス改革レポート

ビジネス・プロセス改革レポート



トップダウン(経営陣)による改革

 ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のような改革は日本には定着しないだろう。BPRは何かを修正することではなく、最初からやり直すこと、再出発を意味する。このやり方は米国のようなトップダウンの改革に適しているが、日本企業のトップにそれをする能力が必要であるとは限らない。日本の場合、トップは「社員の代表」であったり「創業家の権威」に基づくものである場合もあるのである。

20世紀のキャッチアップモデルにおいては、日本企業のトップによる改革推進は求められていなかった。むしろ改善やTQC運動のように現場中心の改革が行われてきた。部分最適を積み重ねていくとそこに全体最適が待っているという幻想にとらわれていた。そして高度成長期から1980年代にかけてのわが国の繁栄と米国を凌駕した経済力はその成果でもあった。

 ところが1990年代に入って米国の巻き返しが行われた。彼らはITを駆使し、サプライチェーンマネジメント(SCM)による全体最適の追求や高度な数式を用いる金融工学を武器に、米国標準(グローバルスタンダード)をデファクトに育て上げ、見事に日本を再逆転したのである。米国政府の戦略性の水準の高さもあるが、各企業のトップは高額の報酬を高株価を背景に獲得し、それらの水準維持のためにトップダウンの強いリーダーシップのもとで改革を行ってきたようである。

この間、日本は失われた10年を経験することとなった。

 米国による再逆転が行われたこの時期、IT革命が進んだ。ニューエコノミーと呼ばれる経済活況を呈した米国は2000年にITバブル崩壊を経験するものの、ダメッジは大きな広がりを見せなかったようである。

この時期、日本でもトップダウン(経営陣)による改革を成し遂げた企業がある。日産自動車である。この事例はビジネス・プロセス改革の重要性を示すケースとしてふさわしいのではないだろうか。しかし経営者はフランス人であった。

経営陣が本来なすべきことは商品の開発だけではない。企業に長期的な成功をもたらすのは商品ではなく、商品をつくり続けるプロセスである。ヒット商品に恵まれた企業が勝利するのではない。企業組織のビジネス・プロセスを改革した企業がよい商品を生み続けるのである。そしてこの仕事は経営陣こそがなすべき仕事なのである。なぜならばアダム・スミス以来の分業志向に代わり、プロセスを重視して全体最適をはかる役割は経営陣にこそ求められるからである。

 それでは日本人社長によるトップダウン(経営陣)改革はありうるのだろうか。日本に米国流のプロの経営者は存在するのであろうか。米国ではトップダウン型の経営をプロ経営者が四半期決算を睨みながら行うと聞く。彼をアシストするのは彼の部下のこともあるであろうが、多くの場合、経営コンサルタント業者であったりする。プロ経営者があるべき方向へ会社を導いているかはすべてのステークホルダーの関心事となるだろう。そこで彼の活動を監視するのが取締役の仕事である。しかも過半は社外取締役である。

日本のコーポレートガバナンスを見る限り、一部の先端的例外企業を除いて、経営は会長や名誉会長も含めた役付取締役が行っているようであり、平の取締役は彼らの部下のひとりにすぎない状況にある。改革のための戦略はむしろ中堅(ミドル)が作成しているのが現実であるようだ。それでも一部に米国型のコーポレートガバナンスである委員会設置会社を選択する企業(ソニーなど)もあり日本企業も変わりつつあるようだ。しかしソニーの場合CEOは外国人となってしまった。

 最近の事例として王子製紙による北越製紙に対する敵対的TOBが行われようとしている。協調が重視される日本の企業風土では友好的TOBは過去にもあったが、敵対的買収は投資ファンドや新興企業に限られてきた。

欧米では大型M&Aによる企業再編は日常茶飯事であるが、同一業界内の企業同士による買収劇は、これまで日本市場ではタブー視されていたはずだ。

しかし国内産業が成熟化し、グローバル競争が激化する環境の中で製紙業界にも再編の必要性が迫ったようだ。

 M&Aという企業行動は一般的にトップダウンの意思決定により実行に移されると言われている。その意思決定に中堅幹部が参画することもあるだろうが、最終意思決定はトップによる判断が必要である。

 これからの日本企業の経営者は社員のかつぐ神輿に祭り上げられた象徴ではなく、プロのビジネスマンとしての決断力や広い視野を要求されることになるだろう。そして顔の見える経営者が一層必要となるだろう。

情報経済論

情報経済論レポート 平成18726

自分の関心域内の組織問題を情報経済論的に解明しなさい。

 完全競争モデルでは、取引に必要な情報は、すべての主体に平等に無料で与えられることを仮定している。しかし、一般に情報の多くは個々の主体が断片的に保有している。


大学院の場合、学期初めに単位取得のために講義を選択しようとするとき、次のような情報に非対称性がある状況を呈することがありうる。

    講義を行う教員の熱意を学生は知らない。

有能な学生であるか否かの詳細情報を教員は知らない。

この情報の非対称性の原因は、学生側が教員の持っている情報(講義品質)を観察できないことによる隠された情報に基づくものである。そして、その隠された情報は学生側に逆選択を発生させることとなる。

 教員は入学試験や願書の内容、それまでの教員経験から入学する学生の品質(偏差値?)を知っているが、学生側は教員の研究業績や講義の巧拙についての詳細な情報を持たない。契約の当事者間(教員と学生)にこのような情報の非対称性があるとき、科目登録市場では、講義品質が悪いが学生受けのよい教員の講義が選択され、講義品質の高い教員の講義は選択されないという事態が生じうる。良い講義から売れていく完全市場モデルとは正反対のこの事態は逆選択と呼ぶことができる。逆選択が生じる市場を、一般にレモン市場と呼ぶ。

 上記の状況を可能な限り回避し、学生が効果的に講義や演習を選択できるように大学事務局は次のような措置を講じている。

    IT投資を行いホームページにシラバスを公開する。(更新作業は遅延するが・・)

    さらに紙媒体でシラバスを全学生に配布する。

    15週の講義のうち第1週は教員によるオリエンテーションが行われる。

    15週目の講義では学生アンケートをとり次年度の参考とする。

大学側のシグナリングはこのように複数の手段によって多段階に実施される。一方、学生には1週間は5日の平日と1日の土曜日であるという時間の制約もあり、選択する機会は表面的にはあるものの現実には割当てられた時間割表のなかからの部分最適の選択となる。これから講義を受ける(すなわち知識の少ない)科目内容と担当教員の業績を学生がスクリーニングするには、あまりにも甚大なコストが発生することになる。さらに受講科目の選択は、いかに楽をして単位を取得できるかを主眼にスクリーニングが行われることもありうる。教員・学生間市場では、レモンの売行きがよいともいえる。

 

教育もサービスの一つであるので、生産と消費は同時に行われる。15回のサービス提供回数の中で、はじめの2~3回は新鮮さや期待感が市場(教室)に緊張感を醸しだすが、中だるみは教員・学生の双方に現れる。教員のモラルハザードとして、教員と学生の知識の非対称性を前提にして、サービス提供の現場は第三者に監視されていないことを利用して、自己の利益(手抜きの講義)のために学生に損害を及ぼすことがある。逆に学生側は単位さえ取得できればよいとの浅慮がモラルハザードとなり、ここに双方の利害の一致が誕生する。


 また、文科系の学問に属するとされる経済学などの場合には、「この講義では数学を使わない」旨の表明が教員側からなされることも多い。このシグナルは学生にとって極めて重要なメッセージである。しかし、講義の中で教員から「これを微分しますと・・・・」などの発言があると、またたくまに知識がない学生にとってはホールドアップ状態となってしまう。まさに「科目登録市場の失敗」であるといわざるをえない。

 

このような「科目登録市場の失敗」(レモン市場化)は、隠された情報の多さやモラルハザードによって引き起こされる。


それでは「科目登録市場の失敗」というリスクを回避するためにはどのような方法があるのだろうか。

(教員側)

 ◍ 受験生の学歴・職歴というシグナルをしっかりと検討する。

◍ 一定の学問レベルに達しない受験生は入試で不合格とする。

◍ シラバスと講義内容の完全一致をはかる。

◍ テキストをしっかりと指定する。

◍ 質問に答える。

(学生側)

 ◍ 教員の学歴・職歴というシグナルをしっかりと検討する。

 ◍ 先輩のくだした講義評価をしっかりと読む。

 ◍ シラバスに従い予習をする。

◍ テキストをしっかりと読む。

◍ 質問をする。

 なぜ日本の大学(院)は先進国の中で低位のランキングに位置しているのだろうか。多くの視点から検討しなければならないだろう。今回述べた「科目登録市場の失敗」は、実は、日本社会においてはそれほど失敗ではないのかもしれない。日本では大学(院)は企業社会も公認するモラトリアムであり、教員には学生がパラダイスを謳歌することを暖かく見守る役割もあるからである。

インスピーチ社の事例

ビジネス・ソリューション課題


インスピーチ社の事例

平成1873

フォスターはみずからの経営哲学を再考しなければならない!

 インスピーチ社の来歴はどうあれ、この時点では家庭医療介護業界では全米屈指の企業である。また従業員の8割は、ビジネス社会とは縁遠い言語療法士・理学療法士・作業療法士などの療法士と言われる人たちである。こうした療法士などの医療・介護業界のスペシャリストは概して、売上とか利益とかの経営感覚が強いとはいえない傾向にある。



 そのような業界でインスピーチ社は自社の業容拡大のためにM&Aを繰り返し大企業化の道を歩んできたようだ。そもそもインスピーチ社の幹部は、投資会社を起業したフォスター、GEの財務部門にいたテイム、会計事務所でコンサルタントをしていたローズ、ハーバードビジネススクール出身のキーロフなど「ビジネス系」の人間で構成されている。しかし結果としてインスピーチ社が行ったビジネスは「福祉・介護系」分野に属するものであった。



 幹部たちの考える企業は、拡大することを自己目的化する面を内包しており、他の企業を「モノ」と考え売買対象とみなす傾向があるようだ。しかし、本来的に療法士が行うべき仕事内容は要治療・要介護状態にある患者たちをリハビリして社会に復帰させていくという崇高な理念に基づいた聖職なのである。

 

 本件は、ビジネスエリートが中央集権的に考えた自社のみの自己増殖目的のM&Aに対して、医療・介護業界のあるべき姿がそうではないことを市場がつきつけたものであると考えることもできる。

 結論として、この会社は解体して地域密着型の小さな会社に戻すことも考慮に入れるとよいと思う。あるいは、エリアごとに分割したうえで、医療や介護を理解する経営者が地域密着型の経営を行っていくのがよいのではないかと思います。

シアーズの事例

ビジネス・ソリューション課題

平成18528

シアーズの事例

(無難な回答)

ブレナンは、幹部を入れ替え、組織文化の改革に乗り出すべきである。

(より積極的な回答)

ブレナンは、自分をも入れ替えるべきである。

 シアーズは創業以来、扱い商品の品質を重視し最大の顧客満足を保証するという理念の下で発展を遂げてきた。しかし業容拡大の途上、88年にウエスタン・オート・サプライ社を買収した際に導入した「毎日が安売り」という戦略が失敗に帰し、以後、利益率の低下に苦しんだ。これをカバーするために打ち出した一連のリストラ策のひとつに、シアーズ自動車センターの賃金支払い制度の変更があった。

 具体的には、自動車整備工には「出来高賃金制」を導入、さらに自動車サービス・アドバイザーには固定給と歩合給の併用賃金制度が導入された。この結果、かれらは歩合給や出来高賃金を獲得することが興味の中心となる近視眼的な勤務体制をとることとなっていった。そして92年に至って、シアーズは修理費用の顧客への水増し請求で消費者保護局から告発されるという失態を招くこととなった。同時期にフロリダの検事局からの告発の可能性も全米で報道された。まさに創業の精神からは考えられない顧客軽視の業務運営がなされる会社に変貌していた。

 ブレナンは、幹部を入れ替えて組織文化の改革に乗り出すべきである。

シアーズに求められているのは、創業の精神に立ち戻り顧客第一の考え方をグループ全社員に浸透しなおすことにあると考えられる。このことは従業員や投資家を満足させる経営の第1歩にもつながるものである。

 具体的施策として次のようなものが考えられる。

顧客サービス志向

従業員の評価制度の再構築

グループの中核事業であった小売業への回帰

 起業家精神を持った優秀な従業員を中核とした組織文化の改革のためには、ブレナン自身が身を引いたほうがよいかもしれない。

リーバイ・ストラウス

ビジネス・ソリューション ケース研究

リーバイ・ストラウス

平成18430

(勧告)

中国における現地生産に進出すべきではない

(理由)

 「リーバイス」はジーンズを製造販売するという私企業である当社のブランドであるにすぎないが、同時にそれは西欧自由社会・個人主義社会のシンボルでもある。確かに中国市場は10億人以上の消費者を有し、経済成長率も極めて高い商機に満ちあふれた所である。また、人件費は他の先進国に比して格安の状況にもある。ただ、この2つの経済合理性原則だけで中国市場への参入を決することは、高いブランド力を持つ企業としては、企業価値の低下を招きかねないリスクを負うこととなる。

また、中国市場は資本主義化したとはいえ、国家体制は中国共産党一党独裁である現実に変化はない。カントリーリスクも大きいのである。

 中国は知的財産権についてのほう体制を未だ整えていない。そのためコピー商品等が国内で生産されていても取り締まれないという状況にあるようだ。特に、当社の扱うジーンズなどの繊維製品は労働集約的な面が強いので、低廉・良質な労働者を大量に抱える中国の経営者からすると、欧米のブランドを模倣することによる付加価値の獲得を目指すというモラルハザードを内在させていると考えられる。

コンプライアンスの意識は低いであろうし、CSRという考え方も(中小企業)企業経営者には浸透していないであろうと考えられる。

 

 中国の沿岸部の経済成長は目を見張るものがあり、欧米のそれを上回るものであることに疑いはない。しかし、沿岸部と内陸部における経済格差は大きい。さらに南北地域の格差や漢民族と少数民族との格差などの問題を抱えている。さらにイスラム教文化圏に属する西域の分離独立やチベットの独立運動など、政治的な火種がないとは言い切れない状況にある。

 以上の諸状況に鑑み中国国内における製造は見送るものの、当社製品の販売は沿岸部を中心に浸透させ、当社のブランド価値を維持しつつ将来の中国市場進出の好機を探るのが得策であると考える。

新市場開拓論

新市場開拓論 レポート

「同窓会(名簿活用)ネット市場におけるこれからの新たな創業で成功するとしたら、どのようなマーケティング戦略・経営戦略等が考えられるか」


(現状分析①)

 平成17年5月29日付けの読売新聞によると、「同窓会を巡る市場は飲食や宿泊、幹事業務代行などで2兆円を超えるという試算がある」らしい。このブームに便乗し同窓会客専門の飲食店も開店したらしいが、そもそもこのブームの火付け役はインターネットの普及である。記事では、長崎の「この指とまれ!」というサイトがウェブ同窓会として紹介されている。

平成16年7月14日付けの毎日新聞によると、大阪市北区の「同窓会ネット」は、「幹事が一番苦労する名簿作り、案内状発送、出欠名簿作成、会場手配から当日の準備進行、思い出のホームページ作りまでやってくれる」とのことである。

両記事が共通して伝えるところは、団塊の世代を中心とした中高年の利用者が増えてきているということである。


(現状分析②)平成1825日現在

 大阪府立三国ヶ丘高校の同窓会ネットへの登録者数(この指とまれ!より)登録総数1337人 <表は省略>

登録者数という観点からは、「団塊の世代を中心とした中高年の利用者が増えてきている」とは言いがたいのではないだろうか。25歳から35歳の登録人数が一つの山の形をなしているのが現状のようである。しかも、あれだけ声高に個人情報保護が叫ばれているにもかかわらず、これらネットを主催する若い会社に個人情報を登録することにも疑問が感じられる。そこで当社では、高齢者も安心して利用できる同窓会ネット「ひでき、かんれき!」を設立する。

(会社名)

 ひでき、かんれき!株式会社


(差別化)

団塊の世代が一斉に定年を迎え始める07年に向けて、還暦を迎え人生が2巡目に入るシニア専門の同窓会ネットを立ち上げる。

当社の差別化は対象が還暦シニアという点ですが、さらに下記のように次々とドメインを拡大していくことにより、会員の囲い込みをはかっていくことで競争優位を確保します。

1人で同窓会はできません。このことより、このビジネスは外部経済性がよく機能するスケールメリット追求型のビジネスとなります。団塊の世代にはなつかしいキャッチアップ型のビジネスです。

(ドメイン拡大)

 当社「ひでき、かんれき!」は同窓会ネットビジネスを原点としつつ次の方向にドメインを拡大していきます。

1. マクロミル型

  これからの消費を引っ張っていくのは、間違いなく団塊の世代です。かれらの多くを同窓会ネット会員として確保した当社は、シニア向けマーケットリサーチ会社へと脱皮してまいります。当社には○○万人の登録会員がいます、年代構成比は60歳代が70%を占めており、70歳代以上で30%となっています。消費意欲旺盛な元気な高齢者が、リサーチに対しお答えいたします。回答はサンプル数にかかわらず24時間以内です。

2. テイクアンドギブニーズ型

  シニア層が「ありえない!」と叫ぶような同窓会の設定を行います。当社直営の華麗な同窓会場が主要都市にございます。同窓会は、結婚式に匹敵するようなシニア層のイベントとなります。

 3.シニアコミュニケーション型

  60歳以上の還暦シニア向け専用のポータルサイトを運営します。衣食住遊すべてに関する情報交換、掲示板、チャット、ブログ、フォトなどの機能を装備します。また、還暦シニアご用達の厳選されたオークションが実施されています。もちろん、「かんれきマーケット」には多くの気品あふれるお店が出店しています。

 4.オールアバウト型

  当社の「ガイド」があなたの要望にお答えして、あなたが組成したい同窓会(学校、職場、PTA、趣味、スポーツ、その他)をアレンジします。当社の会員数が○○○万人を突破した段階でこのビジネスに参入します。日本最大の会員数というスケールメリットから「平成17年ころ、大阪のGSCCで前田先生のドクターのクラスでともに事業創造を学んだ4人で、前田先生の名誉教授就任お祝いのための同窓会をしたいのですが、音信不通である彼らと至急連絡を取ったうえで同窓会の日程調整などをしていただけますか?」というようなオーダーメイド型の同窓会組成を受注する業務に参入いたします。探偵ナイトスクープ型同窓会と名づけています。

 最後に、今回の現状分析では、大阪府立三国ヶ丘高校の同窓会ネット登録者のみの調査を行いましたが、新聞紙上で言われるほどシニア層に同窓会ネットが浸透していないのかもしれません。逆に、社会人として一定の経験を積み人脈を広げようとする世代である25歳から35歳の世代は、あれだけ個人情報保護が叫ばれているにもかかわらず、さほど信用力もなさそうな冒頭記事の会社に自分の個人属性を登録するようであります。

保守的傾向が強くなるシニア期の人々が利用する同窓会ネットは、やはりそれなりの信用力のある会社のネットワークではないでしょうか。

 今回、わたしは「同窓会ネット」に登録することは見送りました。

事業を起こす場合または遂行する場合において、重要と思われる事柄

ライブドア事件を見るまでもなく、事業を起こす場合も事業を遂行する場合も事業者はフェアな事業活動を行うよう心がけなければならない。法令を遵守(コンプライアンス)すべきことは自明の理であるが、法律に違反しなければ何をしてもよいということにはならない。企業には社会的責任(CSR)というものがある。CSRとは、Corporate Social

Responsibility の略称である。


日本経団連の企業行動憲章によると、「企業は、変化を先取りして、ステークホルダーとの対話を重ねつつ社会的責任を果たすことにより、社会における存在意義を高めていかねばならない。」と社会的責任が冒頭に謳われている。また、「法令遵守が社会的責任の基本である」との記述がありコンプライアンスの重要性が唱えられている。この企業行動憲章は10原則から構成されているが、すべての原則にはCSRの考え方が底流にあり「持続可能な社会の創造に向けて自主的に行動する」ことが述べられている。

日本経団連は日本を牽引する大企業の集まる組織ではあるが、上記憲章の考え方はベンチャー企業にもあてはまる普遍性を持つものであると思われる。

この1年を振り返っても大企業を中心としていくつかの不祥事があった。具体的には、JR西日本・NHK・日本航空・三菱自動車・中央青山監査法人・伊藤ハム・オリエンタルランド・松下電器産業・ライブドアなど枚挙に暇がない状況である。ベンチャー企業も中小企業もこの事実を他山の石として自らの身を律していかなければならない。

 総論的に述べた場合すべてはCSRの範疇に入ることになるが、ここではもう少し個別の論点で事業遂行上の重要と思われる事柄について述べてみたいと思う。

企業は法令を遵守できる能力のある社員を求めています。ひとたび企業の不祥事が発生すると刑事責任や損害賠償などの民事責任はもちろん、社会からも厳しいペナルティーを受けるからです。企業には消費者・取引先企業等、さまざまな利害関係を持つ人々がいます。企業は、これらの人々の立場や利益を無視することは許されません。

具体的には次のような事柄は重要な論点であると思われます。

 まず、自社(株式会社)のガバナンスのあり方についての正しい知識が必要です。これは経営学の知識であるとともに会社法の知識であります。社外取締役のことや委員会等設置会社の仕組みのこと、あるいは監査役のあり方、株主総会の開催要項からM&Aされないための自衛策のとり方に至るまで種々の知識が必要な時代となってきました。弁護士や公認会計士といった社外スタッフとのネットワークが必要となってきています。

 次に、契約締結時における法律知識が必要となります。これからの時代、ひとつひとつの取引におけるスキームも複雑なものとなるでしょう。契約自由の原則は、自己責任の原則と対となってわたしたちの前に姿をあらわしてきます。民法や商法の知識なくして企業の経営管理は行えないのだと思います。また、資金決済のための小切手や手形の知識が必要なことも手形取扱高は減少してきていますが、重要さに変化はありません。

 企業の財産管理もまた重要な要素です。これまでは物権・債権の管理が企業にとって重要なことであり、そのことは今後も変わりません。これからの時代は知的財産権というものが脚光を浴びることとなります。これは著作権・意匠権・営業秘密・特許権などのインタンジブルな財産についての管理であります。

 また、労働に関する若者の考え方に変化が見られます。労働基準法の遵守や就業規則の作成などは当然のことでありますが、労働形態の変化から派遣労働が増加してきておることリストラの一環としてアウトソーシングするなど業務遂行方法の多様化から、新しい形態の労務政策に精通しておく必要があります。従業員を労働者としてみるのではなく人材としてみる場合、労務管理というより人的資源管理とも言われますが、これは経営学の範疇でもあります。

少子高齢でありかつ人口減少の時代を迎えております。これに対処する方法のひとつに女性の雇用増があります。この場合、男女の雇用機会の均等に関する問題やセクハラに関する問題に企業として対処する必要があることは当然のことです。付随して育児・介護休業に関する事柄も重要なことであります。

 この他にも債権の管理や担保のこと、自社がビジネス犯罪を起こすことのないように内部牽制制度を構築するなど多くの要素が考えられます。企業を経営するということは、本来的にリスクテイクなことでありますが、企業目的を貫徹するためにはリスクマネジメントもまた不可欠な要素であるわけです。

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