脱★風俗ライターの上京日記

2006年10月09日 東京上陸


注/マンガ喫茶より週一で更新のため、メッセージ返信等、反応が遅れることがあります。当方の金銭問題上、ご容赦下さい。

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ニートの一分(いちぶん)

食べても食べても痩せていく…。



給料のほぼ8割を食費に投入し、体力づくりにはげんでいるのだが、

まあ正しくは食わなきゃやってられない訳なのだが、

太るどころか見る見る内に痩せていく。そう、ミルミル。



「村くんと言えば頬肉だよね~」なんて友人の声は遥か彼方。



そう、これはアレだ、キムタクだ。

頬の扱け方だけみたら、まさにキムタク。


だが、目元は窪み、身だしなみなんてクソの役にも立たないものを1ヶ月放棄した僕は、

『北の国から87~初恋~』あたりの五郎さんの様な無造作なおヒゲをたくわえているので、

結果、風貌としてはイラン風というのが正しいのではなかろうかと。



おしい。頬はキムタクなのにな。



キムタクといえば話は変わるが、皆さん見ました?

『武士の一分』とかの映画??


なんでもキムタクが目の見えない侍役をやるらしい。

いやいや、きっといつものように破天荒なんだろうなぁ~。


検事やったり、レーサーやったり、パイロットやったりしながらも、

一貫してテーマ破天荒を貫いてきた彼なだけに、

江戸時代真っ只中でも「マジで?」なぁ~んて軽口叩きながら、事件をバッタバッタと解決していくんでしょうね。



僕も頬がキムタクなだけに、その破天荒さだけでも見習わねばと

常日頃から思っていたのですが世間は広い。


思わぬところで破天荒ライバルが出現してきましたよ。




彼の名前は平山さん(仮名)

1月ほど前に知り合った僕の同僚だ。




僕の働く警備会社は、9割が夜逃げしてきたお爺ちゃんだらけなんだけども、中には僕の様な若い人間もいる。

その中の半分はヤンキー出身、

そしてもう半分がニート卒業したてのフレッシュマンなのだが、

まさか僕もフレッシュマンの中から破天荒ライバルが現れようとは思ってもみませんでした。



そう、平山さん(仮名)は限りなくニートよりな人間なのだ。



結構いい大学を出てるんだけども就職活動に失敗。

早くなんとかしないとなぁ~と考えながらも、

実家暮らしなので生活するのに問題はなく、ズルズルと3年間も家に引きこもっていたらしい。



彼曰く、「いや~、なんとなく、さ…」との事。



いいね、「なんとなく」。理由がまたリアル


探究心を果てしなく刺激された僕は、

立て続けに平山さん(仮名)改め「ニト山さん」にインタビューを開始した。



「3年も家にいて親は何も言わないのか?」


「運動能力の低下は如何ほどのものか?」


「君の髪が長いのは君にとってのオシャレなのか??」などなど。



好奇の目で見るのではなく、あくまでスタンスは同種。

彼に警戒心を与えては、何も引き出すこともできずに終わってしまうではないか。

イラン人の様な顔をしながらそんな事を考えインタビューしていたのだが、

イラン人な顔をしているだけに、僕、やれる。

彼の心を引き出せる。


何度使っても無くならないテレホンカードだって、きっと売れる!




そして僕の思惑通り、ニト山さんは頑なな心の内を語りだした。



「う~ん?まぁ、いろんな障害はあるんだけどもぉ~、

 心なしか毛が濃くなったかなぁ~。ここ3年でぇ~





毛が!?




いつもの僕なら「話が急に飛びすぎぃ~(笑)」などのジャブでワンクッション置いてから、

本題の「毛」についてツッコムところなのだが、

彼の口から「毛」という言葉が飛び出た瞬間、僕の目は釘付けになった。


そう、彼の指毛に。いや、指毛どころの騒ぎではない。

手の甲など黒々としたスネ毛レベルの毛達が覆い、しかも、ちょっぴりなびいてしまっているのだ。



描写としては、往年の名作

「風の谷のナウシカ」アレに非常に近い。




「な、何cmくらい…」



言いかけて止めた。

本当ならば、彼の3年前の写真を入手し、彼の毛根の育ち具合をレポートしたかったのだが、

そんなことで彼という魅力的なフレッシュマンを失ってしまう事のほうが悲しい、ここは我慢だ。



だが、見れば見るほど彼の毛根が気になりだして止まらない僕。

見れば眉毛も真一文字に太く、ヒゲも青々としている。

なのに、なんでそんなにロン毛なのだろうと思ってしまうが、

これにバンダナが加わったら果てしないことが出来そうな、

そんな気にさせてくれる彼に僕は首っ丈。




これは商売になる。




僕の様な捻くれた物好き達をターゲットに、

『ニト山さん観察日記』なるホームページを立ち上げよう。



そして、僕渾身の「ニト山さん隠し撮り画像」をアップし、

アフリカかどこかのひたすら爪を長く伸ばす部族の様に、彼の毛根もひたすらロング。


「目指せムック」を合言葉に、一躍ネットアイドルに業界に躍り出よう!!





…そして、そんなビジネスプランが組みあがった本日、

  ニト山さんが傷害事件を起こしました。


事の顛末はこうだ……



道路警備をしていたニト山さん。

             ↓


突如として田中さん(仮名)の目前でトラックを止め、

いかり肩でノシノシ歩いてくるドライバー。

             ↓


ヤバイと感じたニト山さん。

             ↓


ノシノシとドライバー。

             ↓


誘導棒を振りかぶるニト山さん。

そしてドライバーの頭目掛け…





ド~~~ン!!!!





まさに先手必勝。

しかもニト山さん、ご丁寧にも誘導棒をひっくり返し、

電池の入っている持ち手部分でドライバーを一刀両断したらしい。


単1電池が2本も入っているもんだから、もちろんドライバーの頭はパックリ割れ、

ドクドクと血を流しながら崩れ落ちていったそうな。




この瞬間、悔しいかなニト山さんはキムタクを超えた…。


生ける破天荒。キムタク超えの武士の誕生だ。




そしてキムタク超えに一役買った、相手方のドライバーは言いました。



「道を聞きたかっただけなのに…」



YES!ドライバーの一分




もちろん現場はパニックになり工事は中断。

現場監督がドライバーを病院に連れていったり、

トラックの荷物をどうするかなどの問題で、テンヤワンヤだったらしいです。


結果としてニト山さんは、道路工事に出ていたスタッフ全員の労働給、

そしてドライバーが配達する予定だった荷物の遅延に対する罰金等々、

多額の負債を抱える羽目になり、

状況を専務に説明するため事件の5時間後に警備事務所にやってきた。



そして、そこに僕もたまたま居合わせ、事の顛末を盗み聞いたのだ。




専務「何でいきなり殴ることになるんだよ!!!!」




目は泳がせ、顔を青くしながら武士は言った。


「え?や~、なんとなく……」



YES!!!YES!!!





ニト山の一分  ~完~

全盛期の広末並

友人の家での間借り生活も5日目。


そして、その間の一日平均睡眠時間が3時間。


枕が替わると眠れなくなるといったデリケートな一面は一切持たず、平成の野比のび太と誉れ高い僕にとって、この睡眠時間はまさに殺人的。全盛期の広末並の頑張り所が、今、僕を襲っているのである。


話が長い。


僕が寝れない一番の理由、そして唯一の理由が、間借り中の友人の話の長さにある。顛末は以下の通り。




一日中動き回り、クタクタになりながらも20時頃に帰宅。やっとゆっくりできるなぁ~と思ったところから彼のトークがスタートし、僕がブラックアウトする3時過ぎまで戦いは繰り広げられる。


昨日の晩、さすがに体力の限界を感じ初めていた僕は、悪いなと思いつつも藤村俊二ばりの狸寝入りを披露。

だが5分、10分経っても彼のトークは鳴り止まず、「お前に聞かせたいものがある」と言うや否や、ギターを取り出し熱唱。深夜1時の熱唱。

彼、渾身のシャウトにたまらず目を開けた僕は、戸惑いながらも「う、上手くなったんだねぇ」と告げると、

まるで狸寝入りになど気付いてなかったかのごとく「だろ!」と彼。器はすごくデカイ。

しかし、丼の蓋をお茶碗代わりにするような器違い感は否めない。

そして、戦いは僕がブラックアウトし、友人が僕の意識が無くなったことを確認するまで、たぶん続けられているのだと思う。


友人とは仲が悪い訳ではない。感謝もしている。


ただ、「喋り殺し」という新たなスタイルでの殺人手段の存在を感てしまった僕。もう、ここには居られない。


入寮まで後5日を残し、僕はここを出て行くことに致しました。


「心配しないで下さい。」と書いた置手紙と、ありがとうの意味を込めての「もみじ饅頭」を彼の家に残し、

早朝6時に人知れず出立。


とりあえずは、その道の人達が集う「上野公園」へ向かおうと思います。





勤務初日~ロッパちゃん現る~

現場勤務初日、初顔合わせの日。


集合メンバーの平均年齢は65歳でした。


「警備を仕事にするくらいだから、働いている人は体育会系が多いんだろうなぁ~」という、僕の大方の予想は突然に裏切られた訳だが、お爺ちゃんお婆ちゃんだらけっていうのは実際問題どうなの?ねぇ、どうなの??


いやね…、僕だって人に誇れるほど力自慢でもないですし、そんなに俊敏には動けないかもしれない。


でもね、このお爺ちゃん達相手だったら僕一人で10人はいける。いや、20人はヌケちゃう!


そんな事を、まるでひ孫の様な僕に思われていることも露知らず、お爺ちゃん達は颯爽と警備を開始。

僕の教育係りには「ロッパちゃん」と呼ばれるお爺ちゃんが付いた。



ロ「お兄さんは今日で何日目だい?」


村「昨日が研修だったので、実際は今日が初日になりますね。宜しくお願いします!」


ロ「おう!何でも聞いてくれ!!」



という微笑ましいやり取りを2時間おきに4回繰り返した。子供の頃に見た、「志村○ん」と「いしの○うこ」のアレね。


まさか自分が実際にやる日が来るとは…と、震えがくるほど興奮しましたよ僕は。なんて微笑ましい。



実は僕、生まれてこの方お爺ちゃんと会話を楽しむって事をまったく知らないまま育ったんですね。

父方の祖父は、武道を趣味とする「厳格」を絵に描いた様な人でしたし、母方の祖父は遥か遠方に住んでいた為そう会うこともなく…といった感じで。


だからロッパちゃんとの会話は新鮮そのもので、「聞こえないフリ」「心臓麻痺」など自らの死を匂わせる老人ネタを所々に詰め込んでくる彼のトークはまさに会心。なんてリアリティーだ。



仕事の面でも(1時間に1回のフリーズは省いたとしても)、非常にキビキビしており本当にお手本になる。そんなロッパちゃんに、


村「先輩!カッコイイですよ!!」


と声をかけると、クシャクシャになった笑顔で


ロ「おう!何でも聞いてくれ!!」


のいつもの返事。



六本しかない歯が、キラリキラリと輝いていた。




面接~塩豆大福に魅せられて~

上京2日目の朝。


泥のような眠りから覚めた僕は、朝一で外出の為の身支度を始める。


そう、今日は面接の日なのである。


実は前日、とりあえずは住み込みで働けるバイト口を探そう!という事で警備会社に面接の電話を入れておいたのだ。


いくら友人だからといって、就職が決まるまでの少なくとも1ヶ月の間、


寄生虫のように宿ってしまうってのも、やはりちょっと気が引けてしまうではないか。



そんなこんなで面接地に到着!前日の電話では「午前中くらいに○○まで来てねぇ~。」という非常にアバウトなものだったので


なんとなく10時過ぎに来てみた。


村「スイマセ~ン、面接に伺ったものですが…。」



扉を開けると気のよさそうなお爺ちゃんが

       窓際で塩豆大福を頬張っていた。



爺「モゴモガ、ンガゴッコ!」



お爺ちゃん危ない!

あんた、それじゃサザエさんの二の舞だよ!!



難を逃れたお爺ちゃんは、僕を客間に通すと「まだ面接者が帰ってきてない」事を告げ、お茶を出してくれた。


そして根掘り葉掘りいろいろな事を聞いてきたが、僕はエロ本ライターをやっていたとは言えず…


「ファッション誌を作っていました!」と。


嘘ではない。たまに手伝っていたんですもの。ほんの少しだけど…。



そしてしばらくすると面接者は現れ、とんとん拍子に話は進み、「じゃあ、今から研修を始めよう!」ということになった。


内容は延々と警備に関するビデオを4時間ばかし見せられるもの。


眠気まなこで上映会も終了し、帰り際に「寮は16日までには用意しとくから!」


と告げられた。



あと一週間後かぁ。


寮は個室・風呂トイレ付きだっていうし、これは出足上々なのではないか?




明日からは早速、現場勤務らしいので今日は早めに眠るとしよう。


浪漫チック飛行

いよいよ東京上陸の日。


チケットをとったのが前日の為か、朝7時という早朝便になってしまい、寝坊せぬよう前日は徹夜した。


そんなフラフラな体調で空港に到着し、発券カウンターに赴いた訳だが、


そこで、受付嬢と非常に奇怪なやり取りをする。




嬢「お客様の席は翼部分の窓際席になります。

     景色は多少見づらいかもしれませんね。」


村「そうですか。その他に席は空いてないんですか?」


嬢「申し訳ありません。」



僕が残念そうに受付を後にしようとすると…



嬢「あっ!お客様!!」



急な呼びとめにビビる僕。



嬢「お客様の前後のお座席は空いていますが、

          勝手な移動はご容赦願います!!」



え?



嬢「バランスが……崩れますので!!」



ええええええええ!!!!!!



嬢「飛び立つことが……

    出来なくなりますので!!!!」



…圧倒的な低価格がウリの某航空会社。出発口から何故かバスに乗せられ、


到着した飛行機はセスナと見紛うばかりの立派な作りをしていた。


中へ入るとリムジンバスほどの広さ。横に座席が5つしかない…。


不安に恐れおののく僕を乗せ、平成のタイタニックは大空向けて飛び立った!



ガクンガクン!シュゴゴゴゴ~!

ガクン!シュゴゴゴ~!!!!!



と、飛んだぁ~!!奇妙な感動を覚える僕。


飛行も安定期を迎え、ようやく眠りに付くことができる。そんな事を考えながら、ふと右を向いてみた。


そこには小柄なお婆ちゃんが一人座っていた。僕の席のちょうど反対側の窓際席にあたる部分だ。



ちょ…?バ、バランスがっっ!?



怖い。飛行機がこんなにも怖いと思ったのは、これが初めてだ。もちろん熟睡など出来るわけもなく、


先々恐恐としたフライトを終え、飛行機は東京に到着した。



東京上陸


…とにかく疲れた。まずはしばらく厄介になる友人宅へと向かおう。そして飯でも奢ってもらおう。