実に約3ヶ月ぶりの観劇。
行ってきました

「タンスのゆくえ」。

先日、母が観ていたドラマを一緒に観ていたら
明らかに“ソーシャルディスタンス”を意識しているのが分かる演出が、そこかしこに散らばっていた。
俳優同士の間に何かを挟んで会話をしたり、
同じ部屋にいても互いに相手をうまく見合わないようにしながら会話が進んでいったり、
電話を多用したり。
おそらく、それらはソーシャルディスタンスを意識していることをあえて観ている側にも分かるようにコミカルに作られていて、
むしろそれはすごく面白かった。
そして、これから演劇はどうなるんだろう、とぼんやり考えた。
劇場に着いたとき、ドキドキした。
どんなドキドキなのか、よく分からなかった。
でもたぶん、ただ「楽しみ」なだけのドキドキではなかった。
席について、劇場内を見回した。
やっぱりドキドキした。
ちょっと、こわかったんだと思う。
今日観劇したのは、
私が今年の頭に出演したONEOR8「誕生の日」の作・演である田村孝裕さんの作品を、2組の俳優が演じる2本立て。
30分の作品だから、上演時間は全部で1時間だ。
お芝居が始まって、
そこで観たのは、いつも観ていた演劇だった。
私は、俳優同士が互いに距離を保ってお芝居したりするのかなって思ってた。
顔を突き合わせて会話をしたり、叫んだりとかはしないと思ってた。
ドラマみたいに。工夫しながら。
でも、人と人がすぐ近くにいた。
なんなら、お芝居でお互いを追いかけ合ったりしていた。
戸惑った。
そっか、こういう感じだった。
最近は、どこでも、みんなマスクをしている。
なるべく距離をとってる。
物に触らないようにしている。
だから、舞台上で起こる昔の当たり前だった距離感に戸惑った。
たった数ヶ月で、こんなにも常識が変わってしまうなんて。
私は、本当は、演劇も何かが変わっちゃうんじゃないかって思ってた。
マスクがあることで、距離が遠いことで、たぶん絶対失われる“何か”が舞台にはあって、でも今後はそうなっていくんだと思ってた。
しかも、私はそれを仕方ないって思ってて、むしろそうなる方が良いと思う部分もたぶんあって、
だから舞台上の俳優の距離感に戸惑ったし、そうやって変わりつつある自分がこわかった。
だけどお芝居が終わるとき、
私はなんか泣きそうになった。
あの空気であの動きをするから観ているこっちが思わず吹いてしまった瞬間があったし、
あの表情を観れたからあの人の切ない矛盾に気づけたし、
あの距離で怒鳴りあったからこそ生まれた結末があった。
やっぱり、必要だった。
それは、良し悪しとかとは全く別次元の場所に存在するもので、ちゃんと全部必要だった。
お芝居ってこうだった。
だから好きなんだと思った。
劇場へ入る前に、体温を測って、手を消毒した。
観劇中も、マスク。
観客席は広々していて、オンライン配信用のカメラが設置されていた。
(当日パンフレットに田村さんのコメントが載っていて、そこに「生配信をご覧の皆様へ」、「客席では体験できない視点もご用意しています」って書いてあった。なにそれ。すごく気になるそれも観てみたい!)
変わっていくものと、
変わらずに持ち続ける自分の中の熱と、信念と。
バランスを見極めながら
今後もがんばろう。
私もあの人みたいに“何か”を握りしめて、
部屋を飛び出して、
追いかけよう。
そんな勇気をもらえた夜

元気出た

観に行って、本当に良かった。