昨日の沖縄県知事選、各市長選の結果を見て、思うことがいくつかありました。沖縄県民が出した意思には感慨深いものがあります。今回は10万票差。投票数70万票に対し、前那覇市長翁長さんの得票率51%、仲井前県知事37%ですから、大差とは言え、辺野古移設反対の対抗馬としての布陣として適正だったかという疑問が残ります。

同日に行われた那覇市長選挙も辺野古移設反対を謳った城間さんが大勝したので、米軍基地移転について沖縄の大半の民意は表明されたと言えます。安倍政権は前知事との合意を基に移転計画を粛々と進める意向を表明していますが、悩ましいですねぇ。

いずれにしても、「民意」。その他市長選において、当選した新市長はいずれも市民の声を反映する行政を推進するとコメントしていました。それほど今までは市民の声を無視していたのかと思うばかり。

しかし、政治の真骨頂は、そうした住民の声を反映しつつ、それを超えるあるべき市民社会の展望を示し、実現すること。決してポピュリズムに陥ってはいけないと思うのです。

どうも最近では市民目線がブームのようです。しかし、一般市民では対応しきれない諸問題に、それを処してもらうために市民は政治家に委ねるのです。それが同じ市民目線でしか対応できないのなら政治家はいらないのです。その方面は民間企業の守備範囲です。

そして、今日メディアで報じられた、7～9月のGDPの伸び率マイナス成長の話題。メディアでは声を揃えるようにその数値に驚きを見せていますが、これはひとえにメディアの取材力不足を露見したものです。当該機関の報告を受けるだけの報道。

メディアがちゃんと取材をしていれば、7～8月のデータは一月前にわかっている訳ですから、ここをちゃんとつかんでいれば9月のデータはある程度推測できます。政府・与党はここをつかんでいるのであって、安倍さんが起こした「解散風」は準備周到の上に仕掛けられたシナリオであることは普通に考えてわかることでしょう。

本来のメディアの、ジャーナリズムの役割にはほど遠い仕事ぶりと言わざるを得ません。記者クラブという護送船団方式の中でゆで蛙になっているのが彼らの現状です。民意、多数決の論理は結構ですが、あるべき姿を示せない野党政治家、ジャーナリズムは最早組織疲労を起こしていると言わざるをえません。

沖縄基地問題、原発問題、消費税問題。政治家もジャーナリストも羅針盤を失っているような気がしてなりません。景気は「気」、防衛は国家の「義」、エネルギー問題は「技」。そこに総論賛成、各論反対のせめぎ合いがあります。何が本質なのか。自分で自分なりの結論を導き出すことは難しくありません。

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