「なめるんじゃねー!!」
俺は気合を入れて、石を投げつけた。現在、ピンチなのだ。
木苺を見つけてから1ヶ月、少し走れるようになったし木苺に飽きた俺は調子に乗って洞窟を少し離れたのが失敗だった。
狼に出会って、絶賛後悔中だ。
運が良かったのは当たった場所が悪かったのか、狼が少し後ろに飛んだくらいかな。狼が警戒して距離をとっている。
遊人!! 言ったよね? ムリゲーだって!! と思っていると・・・
「なんで、こんな所に子供が!? まぁいいか、食料ゲットだな」
そう言うと、男は狼を剣で簡単に倒した。
「ありがとう!!」
俺は男に言った。助けてもらったら素直に感謝するのは礼儀だ。
「坊主、小さいのに喋れるんだな。しかし何故ここに居るのだ?」
男は狼を解体しながら言った。
「たぶん、捨てられたのかな? よくわかんないよ」
「捨てられたかー そういう事もあるよな。坊主一人じゃ この山は危険だし、俺が修行している洞窟に来るか?」
そういう事も あるよなで、片づけるのか? そういう時代・場所なんだな。
「食べる物は、あるの?」
「あるぞ。それに俺といると安全だぜ?」
うーん。知らない人に食べ物があると言われて、ついて行っても いいのだろうか? ヤバイ気がするな。
「誘拐目的とか? まさか、食べちゃうとか・・・ないよね?」
「ぶっ!! 食べるか!! まぁ、一人で修行するのも淋しく感じてきてたからな。無理にとは言わないよ」
「うん。ついて行くよ」
たぶん、この人は嘘を言っていない。話す時に目を離さないし、まばたきの速度も普通だ。目が右上の方に動く事も無かったからね。
「じゃあ、狼の解体が終わったら一緒に行こうな」
男が俺に言った。
狼の解体中に、いろいろな事を話した。いや、話を聞いたというのが正解だな。俺の事は最近捨てられたと思っているみたいだ。
男は敵と戦い勝ったが、内功を失ったので修行に来ているそうだ。ちなみに内功とは、気功やチャクラと言われてる力だな。
修行場所は洞窟だが、内部に地下水が出ていて食料も豊富にあるらしい。周辺には罠を仕掛けてあるので安全という事だ。
今回は、たまたま獲物を探しに来て出会ったらしい。どうせ出会うなら、綺麗な お姉さんが良かったのだが、これも運命だな。
つづく