「ユウト、あれ取れるか?」
カラッポが取れと言ってる物は、ボス部屋との間にある。とりあえず俺が持っていた物は、食料入りの魔法の袋・調理器具・野営道具だ。あとの物は戦闘中だったので、予備としてすぐ渡せるように手に持っていたが吹き飛ばされた時に落としたのだ。
「おう、取れるぞ!!」
俺はカラッポを棒のように使い、手繰(たぐ)り寄せる。
「わしは刀じゃぞ!! 棒の代わりに・・・折れるから!!」
カラッポが折れないよう細心の注意を払う。俺はボスに感知されるが朽ちかけた刀は無視されている。
「こ、これは!! 魔力回復薬ではないか!!」
何を喜んでいるのだろうか? 俺は元々、魔力が無いので意味が無い。
「お前、魔力が切れたから魔力吸収も使えないだろ?」
辺りを物色しながら聞いた話だと、刀自体の力は無効化という力を使って 九の力を束ねる力があるらしい。九の力は伝説の力でなくても いいらしい。
カラッポは解析と、吸収・操(あやつ)るが使えるらしい。さすが元魔神、使える能力を見定め? 力を奪い取って操る・・・外道だな。
「お前は馬鹿か? わしとお前は一心同体と言っておるじゃろ? お前が飲めば回復するのじゃ!!」
前にも思ったが、ちゃんと説明しろよ!!
「これ飲むの? 苦そうだよ?」
「薬とは不味い物じゃ!! 早よ飲め!!」
初めて飲んだ魔力回復薬は、苦くは無かったが不味かった。
「低品質の回復薬じゃのー じゃが、2・3回は操るが使えるな!!」
回復薬を飲んだ瞬間、刀が重くなったような気がした。
「あとは刀身を磨ければ、いいのじゃが・・・」
「俺、刀を研(と)げると思うよ」
俺は荷物運びのほか、料理や魔物の解体などの雑務もするので ナイフを研いだ事がある。ナイフを魔法で操ったり 薪に魔法で火をつけたりは出来ないが、それなりに食べられる物を作れる。
闇営業の時は通常価格の3分の1、正規登録した後も半額で雇われていたのだ。魔法を使えないが荷物持ちなら、お得だろう。
「だ、大丈夫なのか? 折ったりしないよな?」
「まかせろ まかせろ」
砥石を出して、カラッポを研ぐ事にした。魔力が回復したからか、さっきまで朽ちそうだったが 錆を落とすと覇気は感じないが使えそうな刀になった。
「おおー ちゃんと研げるのじゃな。あとは、もう少し魔力が回復すれば大丈夫じゃ!! 九の力が戻れば、復活じゃな!!」
喜んでいるカラッポには悪いのだが、伝説の九の力が簡単に見つかるはずがないと思うのだが・・・
つづく