はじまりの夢34 | 遊人 World

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この世界の物語はフィクション!! 気分で? 音楽・魚・植物等
(トラブル防止の為、二次使用禁止)

「キャーーー」

 

たまごが女性らしい声で叫ぶ。イノシシが突進してきたのだ。あまいと俺は冷静に避けたのだが、なぜか たまごはイノシシの前を走っていた。

 

「なんで、こっちに来るのー」

 

「たまご、かわせよー」

 

「たまごちゃん、隙(すき)を見て横に飛んで」

 

「えーーー隙なんてないよー」

 

たまごが囮(おとり)になってくれた?おかけで弓で仕留める事が出来た。

 

「たまご、囮役ごくろうさま」

 

「まったく、ほんとにー 助けてくれたらいいのに!!」

 

「今回は頑張ったので たまごの分の肉もあるぞ」

 

たまごが満面の笑みをしている横でイノシシを血抜きする。

 

「イノシシは置いといて、次に行くぞ」

 

「えーーーー取られたらどうするの?」

 

たまごは不服そうだが8月とはいえ日が暮れてきたので時間がない。視野が狭くなるのは危険だからね。

 

しばらく歩いてると、ウリボウを1匹見つけた。あまいとたまごに合図すると、小剣をくわえてウリボウに近づいて行く。

 

うまくウリボウを囲んだ2匹だったが、予想外な事にウリボウが逃げずに反撃してきた。

 

突進攻撃を食らった あまいが吹き飛ばされる。ウリボウは勝てると思ったのか たまごにも突進攻撃をしてきたが食べ物につられて真面目に訓練していた たまごはうまくかわして前足を切った。

 

「あまいちゃん、大丈夫?」

 

「ちょっと、面を食らったけど大丈夫だよ」

 

怒り狂うウリボウは2匹に突進していったが今度は2匹が左右に分かれ息を合わせて前足を1本ずつ切り飛ばし動けなくなったウリボウに2匹でトドメを刺す。

 

「ほめて ほめて」「惚れないでよね」

 

2匹は得意満面だった。

 

「良くやったが油断は禁物だぞ。たまごはいい動きだったが、あまいは訓練不足だな」

 

「やったー」「なんでー」

 

「あれがウリボウではなくイノシシだったら大怪我してるぞ」

 

2匹を褒めながら注意点を教え込む。

 

「さて、帰るとするか」

 

「えーーーーまだ、いけるよ」

 

「・・・・・・」

 

たまごは元気だが警戒を怠(おこた)らず行動していた あまいは疲れていた。たまごに警戒する事を覚えさせねば・・・

 

「肉が腐って食べられなくなってもいいの?」

 

「だめ だめ、帰る」

 

たまごは帰る気になったようだ。ウリボウを血抜きして解体し、イノシシの所まで戻る途中で小動物を見つけた。

 

「あれ、仕留めてくる」

 

「まて まて」

 

調子に乗った たまごは俺の制止も聞かず単独で向かっていった。

 

『ボフッ』

 

「くちゃーい くちゃい、鼻がまがりそうだよー」

 

イタチは放屁し逃げて行った。屁をかまされた たまごは悶絶していた。

 

「だから言ったのにー」

 

「くちゃーい くちゃい」

 

「油断するなと言ってるだろ」

 

あまいはついて行かなくて良かったと顔に出ている。悶絶している たまごを連れてイノシシの所に戻り解体をして拠点に帰ることにした。

 

 

つづく