デレゲーションには、基本的に2種類ある。
それは「使い走りのデレゲーション」と「完全なデレゲーション」である。
使い走りのデレゲーションとは、
「これを取ってこい。
あれを取ってこい。
これをやれ、あれをやれ。
終わったらすぐに知らせろ」
といったやり方である。
ほとんどの生産者は、
使い走りのデレゲーションのパラダイムで仕事をしている。
腱鞘炎は手術なしで治る! ジャングルの中で手斧を使っていた作業者を覚えているだろうか。 彼らは生産者である。 彼らは袖をまくり上げて仕事を実行する。 彼らはたとえ管理職に任命されたとしても、 生産者のパラダイムから脱出することはないだろう。
ほかの人の深い決意を得るために必要な 効果的なデレゲーションの仕組みが、 分かっていないからである。
彼らは仕事の手段や手順を指定して管理をするから、 結果の責任は、彼ら自身が負わなければならない。
以前、家族と湖に出かけた時、 使い走りのデレゲーションをしたことがある。 息子が水上スキーをしている時のことだった。
私はボートの運転をしていたので、 ビデオカメラをパートナーに渡し、 映像を撮ることを任せたのだった。
フィルムが残り少なかったので、 最初、タイミングをよく考えて撮るように指示した。
しかし、パートナーがカメラを使いなれていないことに気がついて、 私はもっと具体的に指示することにした。 在宅ワークぽちぽち
息子が波をジャンプするか、あるいはターンして彼の肘が水に接触する決定的瞬間を、 逆光に気をつけながら待つように指示した。
しかし、限られたフィルムとパートナーのカメラ技術の未熱さを考えれば考えるほど、 私は心配になってきた。 やがて、私は次のように言った。
「僕が撮れと言った時だけ、ボタンを押すんだ。いいかい」
そして、次の数分間、私は叫び続けた。
「撮れ!撮れ!撮るな!撮れ!撮るな!」
指示しなければ正しく撮影できないのではないがと、心配だったのだ。
それは、使い走りのデレゲーションだった。
私は手段を一対一で管理しようとした。
多くの人が、そういう形でデレゲーションを行なおうとする。
しかし、それでいったいどれだけの結果が生まれるだろうか。
相手の行動すべてに関与しなければならないとすれば、 はたして何人の人を管理・指導することができるだろうか。
しかし、もつと効果的にデレゲーションを行な方法がある。
それは、相手の自覚、想像力、良心、自由意志を尊重する パラダイムに基づくデレゲーションである。
澁川良幸の離婚調停成功の法則