阿蘇観光で絶対外せないのが草千里ヶ浜(単に草千里とも)です。
阿蘇中岳火口から3kmほど離れたところに位置しますが、火口周辺の溶岩や岩石が剥き出しになっている荒々しい風景とは対照的に、草原に覆われた優しい別世界が広がっています。
とても爽やかで、牧歌的な雰囲気があり、何と言っても標高1140mのこの地は涼しいです!
草千里ヶ浜は約3万年前に噴火した直径1km程の広く浅い二重の火口跡です。
中央の小高い丘を挟んで、両側に窪地が存在し、雨水が溜まると池になります。
下の写真の中央は烏帽子岳です。
風が吹き渡る草原を散策すると、何となくそれだけで「幸せ」を感じてしまいます。
かつては草千里ヶ浜には多くの牛馬が放牧されていたのですが、最近はあまり見かけなくなりました。もしかしたら、インバウンドの観光客とのトラブルを避けるためかもしれません。
今も昔も変わらないのは乗馬体験のアトラクションがあることです。
阿蘇駅から草千里ヶ浜に向かう通称「阿蘇パノラマライン」沿いでは、牛や馬の放牧を見ることができます。
草千里ヶ浜には阿蘇火山博物館があり、阿蘇の成り立ちや火山活動全般について学ぶことができます。
レストランやお土産屋さんもあります。
阿蘇はユネスコ・ジオパークに登録されており、予約すれば認定されたガイドさんによるツアーに参加できます。
私も何人かのガイドさんと会話したことがあるのですが、多くのガイドさんは他県からの移住者で、阿蘇の魅力を少しでも多くの人に伝えたいという熱い想いを持っている方々ばかりです。
阿蘇市、南阿蘇村、高森町など阿蘇周辺の市町村合同で世界遺産暫定一覧表追加資産に係る提案書「阿蘇・火山との共生とその文化的景観」を平成19年に文化庁へ提出しました。
世界遺産登録には相当な時間と労力が必要だと思われますが、それにしても既に17年が経過しており、日本の他の候補地に比べると遅れをとっていると言わざるを得ません。
もちろん、住民との合意形成、開発と自然保護のバランス、火山という自然災害のリスクにどう対処するかなど課題はあります。
特に今は阿蘇周辺でメガソーラーをはじめ自然再生エネルギー施設の問題が取り沙汰されています。
農業の担い手不足から牧野や農地の荒廃が進んでいるなか、全国的な再生可能エネルギー推進政策の流れにより、未利用地への太陽光発電施設の導入が進められようとしています。
また経済的利点として、土地を有効活用すると固定資産税収が増え、自治体への財政貢献も大きくなるという理屈も分からないではないです。
外野から「自然は保護すべき!」と一方的に叫ぶだけでは無責任かもしれませんが、それにしても阿蘇の大自然と景観はやはり守って行くべきです。
古代からカルデラのなかで自然と人間の営みが共生しているというユニークな点で阿蘇は唯一無二であり、世界遺産になれる資格を充分に備えているからです。