何なんだ一体。素直な感想。わけがわからない。そのタイミングで病院が「何もなさそうですので」、と言われタクシーを呼び帰宅の途につく
家の近くで降りる。ノンノが心配で勤務先を覗きに行こうとした。その道中。また脳に直接話しかけられた。
「君は監視されている。」
と。神様じゃない。「監視、、会社での藍沢のパワハラか・・?それとも今回の現象のことか?」何か映画の主人公になった気分。わずかに息苦しく頭も重だるい。
ノンノの勤務先のデパート。ちょうど閉店間近だった。客も店員も誰もいない。音楽だけかかっている。すると
「世界の魂を4分の3に減らす。」と告げてきた。
怖さを感じた。「なぜそんなことをボクに話す?」関係ないとは言わないまでも、話がデカすぎる。
「なんで話すって、、、なんで?」と誰かに聞くそぶりをみせる幽体
「何だその会話は」とツッコんでしまう?
「この情報をアナタに落とすことはあなたと皆が望んだことだ。あなたはどう思う?」
「神様も言っていたけど知らないよそんなこと。体調悪い時に俺に聞かれても。」
「、、、健康的ならいいのでは?」と店内を歩きながら返す。「環境負荷を考えれば人口が疫病、テロ戦争などではない形で、健康的に減る分には望ましいことでしょ」と適当に返す
「出生率減ったらGDP減って国力下がりませんか?」と返してきた。
「何なんだこの会話は?幽体?、、いや神様?誰だこの話してる人は?」本当に脳に直接聞こえるこの会話。「なんでこんなことが起こるんだ、、、」少し間をおいて答えてみる。
「ベーシックインカムなら健康的に人口調整できそうでしょ。自殺、病死、事件、事故での死者減らせるでしょ。毎月十何万円もらえるなら。さらに皆が働かなくては、と思える金額ならGDP減らないでしょ。
それを自殺、病死、事件、事故死、GDPの数値を見ながら月々支払う額を4年に1回くらいで毎回調節して政権政党がかわっても止めることなく、法律に明記されてたら皆安心して子供作るでしょ。
市役所行って手続きしなくても自動的に振り込まれる仕組みができれば事件、病死、自殺率も下がるでしょ。」
「財源大丈夫ですか?」
「何この会話は?まだするの?」
そう思いながらビビるような質問を幽体がしてくる。
「財源は年金と生活保護から持ってきたら?」
「月30万以上稼いだら自動的に止めたらいいでしょうよ。25万円稼いだらベーシックインカム12万を5万支払いにする感じにしたらいいんじゃないの?すでに貯金5000万円以上ある人は収入がなくても支払わなくてもいいでしょ。」
前からテレビを見てて思っていたことを話した。
それを言うとスーッと半透明より薄いわずかに知覚できる何かが上に上がっていくのがわかった。
「幽体、、?何だ今のは、、、。
そして何だ今の会話は、、。」スーッと上がっていく何か。どこかで見たことがある気がした。
「そういえば、今、ベーシックインカムについて話す瞬間だけは頭がスッキリとしていたな、、、」
デパートに客も店員も全然いない。歩き回ってようやく彼女を見つける。
「ノンノおつ」
「ユウくん!もう終わるからね。」
普段と変わりない。何もないようで安心した。今日起きたことも特に話すこともなく、店の外で彼女と待ち合わせ、手を繋いで家まで2人で歩いて帰った。
ノンノと過ごす休日。彼女は背の高い、本を読むのが好きなインドアな文化系。学生時代はバレーボール部で性格は穏やかで大人しい子。親御さんが少し体が悪く、経済的に高校生の時からバイトで家に入れていとらしい良い子。
付き合って半年後、コロナ禍で決まっていた就職が延期になり新社会人もストップ。親元離れて来たことと、就職先が新入社員の受け入れを一時停止している。
高校大学とバイトしながら家にお給料を入れて来たことは本人も気づかないうちに疲れていたのだろう。自分や家族に言い訳が出来たのだろう。少し人生に休みが取れたようで良くうちに来ていた。
そんな彼女と付き合って1年。
ただ、コユリや藍沢の幽体には気づいてはいなかった。
この史上稀に見る摩訶不思議な現象。それはまだ始まりでしかなかった。