DREAM13を横浜アリーナで観戦してきました。

会場の埋まり具合は7-8割程度といったところでしょうか。若干空席が目立ちました。

自身はスタンド席の前列で観戦したのですが、とにかく横浜アリーナのスタンドS席は観やすいです。純粋に試合観戦を楽しむのであれば、横浜アリーナではスタンド席がお勧めです。

大会自体は前半非常にテンポ良く進んだのですが、後半でやや失速してしまいました。終わり良ければ全て良しという言葉があるように、大会の前半がイマイチでも、大会の後半に盛り返せれば前半のうっぷんも帳消しになるのですが、始まりよければ終わりも良しとはならないようです。

第一試合のミノワマン選手VSアンブリッツ選手は、ミノワマン選手がお決まりの足関節による一本勝ちを収めました。ミノワマン選手は序盤ではアンブリッツ選手の体格に苦戦していたように感じました。アンブリッツ選手はミノワマン選手と圧倒的なパワー差があったので、後先考えずに殴り続ければ勝てるのでは?と思いました。何かがアンブリッツ選手を躊躇させていたのでしょうか。思い起こせばアンブリッツ選手は一応元KOTCヘビー級王者、いつの間にかキャラ系の選手となってしまいました。

第二試合は注目の菊野選手VS弘中選手。実力の拮抗している両者の対決に固唾をのんで見入っていましたが、弘中選手が様子を見ている間に、菊野選手が三日月蹴りからのパンチで弘中選手をKOしてしまいました。菊野選手は畳み掛けるタイミングを読む力に秀でていると感じます。川尻選手は菊野選手との対戦について100年早いと言っていましたが、両者が対戦する日が来るのもそう遠くはないような気がします。菊野選手は青木選手を倒すことも視野に入れていると思いますが、青木選手との相性は少々悪いような気もします。



第三試合に登場した前田選手はエスコベド選手にハイキックを食らっての衝撃の失神KO負け。エスコベド選手の蹴りは狙ったというよりも、偶発的に顔面を捉えてしまったようなものでしたが、前田選手も勢い余って少々油断して防御が疎かになっていたような感も否めません。やはり横浜アリーナは前田選手にとって鬼門なのでしょうか。



第四試合は日本のリングに久々に登場した長南選手がナカハラ選手を判定で下し、日本復帰戦を白星で飾りました。ナカハラ選手の方が身体能力も打撃の切れも優れていそうなのですが、長南選手の経験がナカハラ選手を飲み込んだ試合だと思います。経験値の差で長南選手が試合をモノにしました。また、ナカハラ選手は極真出身だからなのか、顔面パンチへの対応がやや疎かにも見えました。長南選手のパンチを被弾するシーンも目立ちました。今回の試合ではナカハラ選手のウェルター級転向が良かったのか否かは判断できませんでしたが、依然幻想を抱かせるオーラを持っている選手です。


後半戦初戦の第五試合は日本マット初登場となるKJヌーン選手とアンドレ・ジダ選手の対戦でした。共にパンチを主体とするファイトスタイルからKO決着が期待されましたが、試合は判定までもつれ、ボクシング技術で上回ったKJヌーン選手が判定勝ちを収めました。KJヌーン選手はジダ選手のボディが弱点と見ていたのか、効果的にボディを織り交ぜてジダ選手にプレッシャーを掛けました。一方のジダ選手は普段のような獰猛さは影を潜め、見せ場を作ることが出来ませんでした。ジダ選手のローキックをKJヌーン選手は全くカット出来ていなかったので、もっとローを蹴れば効果的かと思いましたが、どうやらジダ選手は序盤で膝を痛めて思うように蹴りを出せなかったようです。

第六試合にはジョシュ選手が登場、マイティ・モー選手と対戦しました。ジョシュ選手の蹴りがモー選手の金的に入るというアクシデントで試合が一時中断となりました。しかし、試合が再開してジョシュ選手がテイクダウンに成功するとあっさりアームバーで一本勝ちを収めました。モー選手は腰が強いのでジョシュ選手でさえもテイクダウンに苦労していました。モー選手は徹底的にテイクダウンの耐久性を身につければMMAでもそれなりの選手になりうるかもしれません。

第七試合はハンセン選手VSビビアーノ選手のDREAMフェザー級タイトルマッチ。やはり長年日本で戦っているハンセン選手は人気がありました。試合の方はハンセン選手がグラウンドから立ち上がるスキルの高さを見せたり、ビビアーノ選手がテイクダウンの巧さを見せるシーンもありましたが、特に大きな山場もなく判定へともつれました。テイクダウンの差が出たのか、ビビアーノ選手が2-1で僅差の判定勝ちを収めました。


DREAM13は前半が盛り上がったものの、後半では期待する程の盛り上がりは見られませんでした。しかし、その中でメインのヨアキム・ハンセン選手VSビビアーノ・フェルナンデス選手の“煽りV”は目を引きました。何気なく見ていたら、いつの間にか見入ってしまい、何か心に響くものを感じました。このVが流れている間は会場も良い意味で静まり返り、特別な空気が流れました。煽りV終了後には、自然と会場のタイトルマッチに対する期待が高まっているのを感じました。ほんの数分のVで両ファイターの間にストーリーを創り出すことに成功していました。ビビアーノ選手への声援が多くなっていたのも、煽りVによって心を動かされた人が多かったことを象徴していたと思います。今回のこの煽りVには見ていた人の心を揺さぶる程のパワーがあったと思います。久々に心にしみる煽りVを見れたことを嬉しく思います。

DREAM13は期待通りにはならなかった試合もありましたが、佐藤大輔氏の制作したメインの煽りVは素晴らしかったと思います。これからも佐藤大輔氏の手腕に期待し、語り継がれる煽りVが出てくることを楽しみにしています。