2月4日(木)、衝撃のニュースが日本を駆け巡りました。

“横綱 朝青龍が引退を発表”

某騒動の中で、引退の可能性もどこかで囁かれていた話でしたが、いざそのニュースを見たときには非常に勿体ないと感じてしまったのが正直なところです。

朝青龍が引退を表明してから2日、世間は少し本件に関して落ち着きを見せてきていますが、その話題性からも改めて大きなものを失ってしまったと感じています。

自身はあまり相撲に関して精通している訳ではないので、ここで今回の件に言及するのは少々はばかれるのですが、よく“横綱の品格”という言葉が朝青龍にはついて回りました。素人の私からすると、あのようなガッツポーズや荒々しい取り組み中の行動は、強さの象徴として時に逞しさを感じました。低迷する相撲界の中で、朝青龍が良い風を巻き起こしているとすら感じていました。今回の暴行事件なども含め、もちろん非難されても仕方の無い事件も起こしてきた朝青龍でしたが、彼の相撲界への貢献度は計り知れないと思います。2003年3月に横綱になって以来、3年半もの間一人横綱として相撲界を引っ張ってきました。そのような状況で、朝青龍に対して強く出れない高砂親方のジレンマもあったと思います。

朝青龍は力士の中では決して大きくはないその体格でしたが、天性の瞬発力と俊敏さでダイナミックな相撲を見せてくれました。幕内で残した決まり手は現役最多の41手。これはダントツでトップの数字のようです。土俵の中でも外でも人の関心を掴み続けてきた朝青龍。“好き”も“嫌い”も圧倒的に多かった朝青龍。朝青龍を失った相撲界のダメージは計り知れないと思います。

特に言い訳もなく、潔さすら感じられた朝青龍の引退会見。喜怒哀楽が激しく、良くも悪くも素直な朝青龍関が放った“悔いは無い”という言葉は、稀に見る朝青龍関の強がりだったのかもしれません。引退が決定した後、朝青龍関は国技館のトイレで号泣したようです。(朝青龍オフィシャルブログ

相撲協会のいう“横綱の品格”という観点からは大きく外れてしまっていた朝青龍関かもしれませんが、相撲に対する朝青龍関の愛は純粋そのものでした。相撲への思いは横綱としても十分なものだったと思います。高校生で異国の地から日本の地を踏み、横綱まで上り詰めた努力は並大抵のものではないはずです。白鳳関が朝青龍関の引退に関するコメントで見せた涙は、朝青龍関の相撲に対する想いの強さを物語っていたと思います。

既に格闘技業界関係者は朝青龍の獲得に動いているようですが、個人的にはMMAやK-1で朝青龍を観たいという想いはそこまで強くありません。身体能力などのポテンシャルは十分すぎるものを持っていると思いますが、本人にモチベーションが無いと思います。今回の件は朝青龍関にとって痛すぎる程の薬になっていると思うので、メディアの方もしばらくはそっとしておいてあげて欲しいです。(無理な話かもしれませんが。。)


第68代横綱
朝青龍明徳

生涯戦歴:
669勝173敗76休(67場所)

幕内戦歴 :
596勝153敗76休(55場所)

優勝 :
幕内優勝25回
幕下優勝1回
三段目優勝1回
序二段優勝1回

賞 :
殊勲賞3回
敢闘賞3回