2009年の大晦日に行われたDynamite!!~勇気のチカラ~。
魔裟斗選手の引退試合、石井慧選手のデビュー戦、戦極VSDREAMの対抗戦などがあり2008年のDynamite!よりも期待値の高い大会でしたが、大会全体を通してはやや退屈な試合もあり、試合数の多さが裏目に出たのか、少し締まらない大会となってしまった印象でした。
2008年、2009年と会場観戦しましたが、2008年の方がKO決着も多かったせいか、大会としての流れは良く、会場も盛り上がっていたという感じを受けました。
2009年のDynamite!!では、個人的には戦極VSDREAMの対抗戦が一番楽しみでした。中でも両団体における同ポジション同士の選手の対決となった、小見川選手VS高谷選手、川尻選手VS横田選手、青木選手VS廣田選手です。
小見川選手VS高谷選手は小見川選手が右フックでダウンを奪いKO勝ちを収めました。試合前に契約体重のトラブルもありコンディション面での懸念はありましたが、小見川選手は2009年を通じて本当に強くなったと感じました。戦極ではサンドロ選手とも互角に打ち合い、今回高谷選手との打ち合いも制した小見川選手の打撃のスキルは本物だと思います。
川尻選手VS横田選手は川尻選手が判定勝ちを収めました。試合前はシンプルな戦い方をする川尻選手がいやらしい戦い方をする横田選手に苦戦することを想定していましたが、川尻選手が横田選手に完勝しました。(川尻選手、失礼しました。)最近の川尻選手の中でも、このときの川尻選手からは一番強さを感じました。ただ、あそこまで横田選手を追い込んだのであれば、KOか一本勝ちを見たかったというのが正直な気持ちです。最後に一本、KOが取れないところに青木真也選手との差があるように思います。川尻選手は試合前には横田選手を嫌悪する感情を露にしていましたが、試合終了後は自ら握手を求め、横田選手に歩み寄りました。この部分もまた、この試合の後に問題となる青木真也選手とのパフォーマンスとは対照的なシーンでした。
戦極VSDREAMの最終戦、青木選手VS廣田選手。この試合は青木選手が圧倒的な強さで廣田選手の腕を破壊し、一本勝ちを収めました。2009年は大晦日まで連続KO勝ちの快進撃を続け、勢いのあった戦極王者の廣田選手に圧勝した青木選手の実力は、ライト級の中でも抜きん出ているのかもしれません。ただ、この試合が今大会、そして2009年の格闘技界最大の物議を醸し出しました。
物議を醸した点は下記の2点です。
・青木選手が廣田選手の腕を折ってしまったこと。
・青木選手が試合勝利後に、横たわる廣田選手に向かい舌を出しながら中指を突き立てたこと。
青木選手が廣田選手の腕を折ってしまったことに関しては、個人的には青木選手に非はないと思います。タップしている選手の腕を敢えて折ってしまったのであれば、非常に問題だと思いますが、廣田選手はタップしていませんでした。レフリーの制止、セコンドからのタオル投入も無かったため、青木選手は腕を絞め続けるしかなかったと思います。タップしなかった廣田選手も腕を折られても仕方が無いという覚悟はあったと思います。もちろん全ての格闘家が青木選手のように折るのではなく、極めた状態をキープしつつ試合が何らかの形でストップされるのを待つというスタンスの選手もいると思います。ただ、そこはスタンスの違いなので、決して折ったからといって責められるものではないと思います。リングに上がる選手は、自分も折るかもしれないし、折られるかもしれないという双方の覚悟を持って戦っていると思います。
青木選手が横たわる廣田選手に向かって、舌を出しながら中指を突き出した行為。こちらが今回の物議の中心となっています。この行為に対して大きく二つの意見に分かれています。まず、青木選手のとった行為はスポーツマンシップとかけ離れているものであり、成人した人間の行為としてあまりにも低俗という意見。そして、格闘技においては試合後にお互いを称えあうスポーツマンシップのようなものは不要。あのような敵対心むき出しの行為も格闘技が他のスポーツと一線を画すものの一つであり、全く青木選手の行為は責められるべきものではないという意見です。
個人的にはお互い死力を尽くして戦ったのだから、試合終了後は敬意を表しあっても良いのではと思う部分があります。川尻選手が横田選手に自然と手を差し伸べたシーンは、それを象徴していたと思います。また、敗者にかける言葉は無く、何も声を掛けないのが美徳とする意見もあります。この意見も理に適っていると思いますし、青木選手が試合後に廣田選手に歩み寄らなくとも、特に問題にはならなかったと思います。ただし、青木選手のように舌を出して中指を立ててまで、負けた相手を侮辱する必要があったのかというと非常に疑問です。「何もそこまでしなくとも」と思ってしまったのが正直なところです。一方で、青木選手の行為を支持する人の気持ちも分からなくはありません。格闘技は他のスポーツとは異質なものであり、あのような敵対心剥き出しの行為も一つのスパイスになりうると思う格闘技ファンの人たちもいると思います。結局は青木選手の行為に対しての擁護・批判は、その人の美学によるものなので、どちらが正しい・誤っているということは無いと思います。
青木選手の行為を擁護する人たちにの思想そのものに対して、批判的な意見も飛び交っています。個人的には青木選手の行為を擁護する意見よりも、廣田選手に対して哀れ、自業自得、口ほどにもない、情けないなどと馬鹿にするような発言に対しての方が首を傾げてしまいます。折れてもタップをしなかった廣田選手の意地は立派だったと思います。
今回の青木選手の行為の批判に拍車を掛けているのが、今までの青木選手の目指していた方向性だと思います。青木選手はDREAMのヒールではなく、ヒーローを目指していた選手でした。今までヒーロー役を公言していた人物が、全く対照的な行為をしてしまったところで、特にアンチ青木選手だった人たちの気持ちの火に油を注いだ結果となったと思います。また、ヒール役の選手が演出の為にあのような行為をしたのであればまだ良かったのですが、青木選手から自然と出てきてしまった行為のため、プロ格闘家としてというよりも一人の人間として良く思わない人もいると思います。「大人気ない。」という批判もたくさんありましたが、あのような行為を格好良いと思っているのであれば、青木選手には大人気ない部分もあるのかもしれません。柔道をしながら、早稲田大学、静岡県警へと真面目な道を進んできた青木選手には、不良に対する憧れのようなものがあるのでしょうか。
2009年を通じて日本格闘技界の顔を公言してきた青木選手。それが本人の意図しないかたちで大晦日に実現してしまいました。2009年の格闘技界でここまで物議を醸したことがあったでしょうか。青木選手の行為はまだ話題を呼んでいます。大会前に注目を集めていた魔裟斗選手の引退試合や、石井慧選手のデビュー戦は既に影を潜めてしまっているほどです。格闘技界のヒーローとして2009年のフィナーレを迎えようとしていた選手達の話題を、青木選手が良くも悪くもかっさらっていってしまいました。
ただ今回の事件に青木選手がブレイクするヒントがあるような気がします。ヒール役で売り出していくということです。青木選手のファイトスタイルは万人受けするものではないため、中々ヒーローとしてブレイクするのは難しいかもしれません。ヒール役でブレイクに大成功した格闘家がいます。秋山
成勲選手です。奇しくも秋山選手も数年前の大晦日、桜庭選手との試合で行った反則行為により、世間より大バッシングを受けました。しかし、その後ヒール役としての地位を確立し、格闘技ファンの誰もが彼の行動・言動から目が離せなくなりました。
批判というのは、人々の大きな関心です。一つの興行を支える原動力にすら成り得ます。秋山選手しかり、朝青龍関しかりです。青木選手の本意ではないかもしれませんが、今回の事件をきっかけでヒール役に徹すれば、誰もが気になる選手となれるかもしれません。
現在、青木選手は何を想っているのでしょうか。
「やばい、俺こんなに話題になっている。」と考えていれば、ヒール役としてのポテンシャルは大いにあるのかもしれません。
魔裟斗選手の引退試合、石井慧選手のデビュー戦、戦極VSDREAMの対抗戦などがあり2008年のDynamite!よりも期待値の高い大会でしたが、大会全体を通してはやや退屈な試合もあり、試合数の多さが裏目に出たのか、少し締まらない大会となってしまった印象でした。
2008年、2009年と会場観戦しましたが、2008年の方がKO決着も多かったせいか、大会としての流れは良く、会場も盛り上がっていたという感じを受けました。
2009年のDynamite!!では、個人的には戦極VSDREAMの対抗戦が一番楽しみでした。中でも両団体における同ポジション同士の選手の対決となった、小見川選手VS高谷選手、川尻選手VS横田選手、青木選手VS廣田選手です。
小見川選手VS高谷選手は小見川選手が右フックでダウンを奪いKO勝ちを収めました。試合前に契約体重のトラブルもありコンディション面での懸念はありましたが、小見川選手は2009年を通じて本当に強くなったと感じました。戦極ではサンドロ選手とも互角に打ち合い、今回高谷選手との打ち合いも制した小見川選手の打撃のスキルは本物だと思います。
川尻選手VS横田選手は川尻選手が判定勝ちを収めました。試合前はシンプルな戦い方をする川尻選手がいやらしい戦い方をする横田選手に苦戦することを想定していましたが、川尻選手が横田選手に完勝しました。(川尻選手、失礼しました。)最近の川尻選手の中でも、このときの川尻選手からは一番強さを感じました。ただ、あそこまで横田選手を追い込んだのであれば、KOか一本勝ちを見たかったというのが正直な気持ちです。最後に一本、KOが取れないところに青木真也選手との差があるように思います。川尻選手は試合前には横田選手を嫌悪する感情を露にしていましたが、試合終了後は自ら握手を求め、横田選手に歩み寄りました。この部分もまた、この試合の後に問題となる青木真也選手とのパフォーマンスとは対照的なシーンでした。
戦極VSDREAMの最終戦、青木選手VS廣田選手。この試合は青木選手が圧倒的な強さで廣田選手の腕を破壊し、一本勝ちを収めました。2009年は大晦日まで連続KO勝ちの快進撃を続け、勢いのあった戦極王者の廣田選手に圧勝した青木選手の実力は、ライト級の中でも抜きん出ているのかもしれません。ただ、この試合が今大会、そして2009年の格闘技界最大の物議を醸し出しました。
物議を醸した点は下記の2点です。
・青木選手が廣田選手の腕を折ってしまったこと。
・青木選手が試合勝利後に、横たわる廣田選手に向かい舌を出しながら中指を突き立てたこと。
青木選手が廣田選手の腕を折ってしまったことに関しては、個人的には青木選手に非はないと思います。タップしている選手の腕を敢えて折ってしまったのであれば、非常に問題だと思いますが、廣田選手はタップしていませんでした。レフリーの制止、セコンドからのタオル投入も無かったため、青木選手は腕を絞め続けるしかなかったと思います。タップしなかった廣田選手も腕を折られても仕方が無いという覚悟はあったと思います。もちろん全ての格闘家が青木選手のように折るのではなく、極めた状態をキープしつつ試合が何らかの形でストップされるのを待つというスタンスの選手もいると思います。ただ、そこはスタンスの違いなので、決して折ったからといって責められるものではないと思います。リングに上がる選手は、自分も折るかもしれないし、折られるかもしれないという双方の覚悟を持って戦っていると思います。
青木選手が横たわる廣田選手に向かって、舌を出しながら中指を突き出した行為。こちらが今回の物議の中心となっています。この行為に対して大きく二つの意見に分かれています。まず、青木選手のとった行為はスポーツマンシップとかけ離れているものであり、成人した人間の行為としてあまりにも低俗という意見。そして、格闘技においては試合後にお互いを称えあうスポーツマンシップのようなものは不要。あのような敵対心むき出しの行為も格闘技が他のスポーツと一線を画すものの一つであり、全く青木選手の行為は責められるべきものではないという意見です。
個人的にはお互い死力を尽くして戦ったのだから、試合終了後は敬意を表しあっても良いのではと思う部分があります。川尻選手が横田選手に自然と手を差し伸べたシーンは、それを象徴していたと思います。また、敗者にかける言葉は無く、何も声を掛けないのが美徳とする意見もあります。この意見も理に適っていると思いますし、青木選手が試合後に廣田選手に歩み寄らなくとも、特に問題にはならなかったと思います。ただし、青木選手のように舌を出して中指を立ててまで、負けた相手を侮辱する必要があったのかというと非常に疑問です。「何もそこまでしなくとも」と思ってしまったのが正直なところです。一方で、青木選手の行為を支持する人の気持ちも分からなくはありません。格闘技は他のスポーツとは異質なものであり、あのような敵対心剥き出しの行為も一つのスパイスになりうると思う格闘技ファンの人たちもいると思います。結局は青木選手の行為に対しての擁護・批判は、その人の美学によるものなので、どちらが正しい・誤っているということは無いと思います。
青木選手の行為を擁護する人たちにの思想そのものに対して、批判的な意見も飛び交っています。個人的には青木選手の行為を擁護する意見よりも、廣田選手に対して哀れ、自業自得、口ほどにもない、情けないなどと馬鹿にするような発言に対しての方が首を傾げてしまいます。折れてもタップをしなかった廣田選手の意地は立派だったと思います。
今回の青木選手の行為の批判に拍車を掛けているのが、今までの青木選手の目指していた方向性だと思います。青木選手はDREAMのヒールではなく、ヒーローを目指していた選手でした。今までヒーロー役を公言していた人物が、全く対照的な行為をしてしまったところで、特にアンチ青木選手だった人たちの気持ちの火に油を注いだ結果となったと思います。また、ヒール役の選手が演出の為にあのような行為をしたのであればまだ良かったのですが、青木選手から自然と出てきてしまった行為のため、プロ格闘家としてというよりも一人の人間として良く思わない人もいると思います。「大人気ない。」という批判もたくさんありましたが、あのような行為を格好良いと思っているのであれば、青木選手には大人気ない部分もあるのかもしれません。柔道をしながら、早稲田大学、静岡県警へと真面目な道を進んできた青木選手には、不良に対する憧れのようなものがあるのでしょうか。
2009年を通じて日本格闘技界の顔を公言してきた青木選手。それが本人の意図しないかたちで大晦日に実現してしまいました。2009年の格闘技界でここまで物議を醸したことがあったでしょうか。青木選手の行為はまだ話題を呼んでいます。大会前に注目を集めていた魔裟斗選手の引退試合や、石井慧選手のデビュー戦は既に影を潜めてしまっているほどです。格闘技界のヒーローとして2009年のフィナーレを迎えようとしていた選手達の話題を、青木選手が良くも悪くもかっさらっていってしまいました。
ただ今回の事件に青木選手がブレイクするヒントがあるような気がします。ヒール役で売り出していくということです。青木選手のファイトスタイルは万人受けするものではないため、中々ヒーローとしてブレイクするのは難しいかもしれません。ヒール役でブレイクに大成功した格闘家がいます。秋山
成勲選手です。奇しくも秋山選手も数年前の大晦日、桜庭選手との試合で行った反則行為により、世間より大バッシングを受けました。しかし、その後ヒール役としての地位を確立し、格闘技ファンの誰もが彼の行動・言動から目が離せなくなりました。
批判というのは、人々の大きな関心です。一つの興行を支える原動力にすら成り得ます。秋山選手しかり、朝青龍関しかりです。青木選手の本意ではないかもしれませんが、今回の事件をきっかけでヒール役に徹すれば、誰もが気になる選手となれるかもしれません。
現在、青木選手は何を想っているのでしょうか。
「やばい、俺こんなに話題になっている。」と考えていれば、ヒール役としてのポテンシャルは大いにあるのかもしれません。