先日、さいたまスーパーアリーナにて行われたDREAM7。会場観戦してきましたが、イマイチ盛り上がりに欠ける大会となってしまいました。
フェザー級グランプリには、選手の一般知名度は無いものの、実力のある選手達が参戦しました。DREAMフェザー級グランプリへの出場をビッグチャンスと捕らえ、ハングリー精神を剥き出しにした激しい攻防を期待していました。しかし、蓋を開けてみると、比較的動きの少ない試合が目立ち、大会としても盛り上がりを欠く結果となってしまいました。個人的にも期待の大きかった大会だけに、非常に残念に感じています。結果論ですが、もう少し相性を考慮し、異なるマッチメークが並んでいれば、もう少し激しい攻防が観れたのかもしれません。
1試合目のビビアーノ選手VS大塚選手の試合は、ビビアーノ選手が磐石の強さを見せ、手堅く勝利を収めました。大塚選手も決して弱くは無かったのですが、大会前のキャラ作りによって、観客が期待するハードルが上がってしまったこともあり、観客が満足の行く試合を見せることが出来ませんでした。
2試合目のジョー・ウォーレン選手VSチェイス・ビー・ビー選手は大方の予想を覆し、ウォーレン選手がTKO勝ちを収めました。ウォーレン選手は総合初参戦にして元WEC王者を倒すという快挙を成し遂げました。ウォーレン選手という強豪を発掘出来たのは収穫でしたが、DREAMとして売り出したかったビービー選手が一回戦で敗退してしまいました。この時点で主催者の思惑通りに事が進まない流れは出来てしまっていたのかもしれません。
3試合目の西浦“ウィッキー”聡生選手VSエイブル・カラム選手。独特なファイトスタイルが特徴的で、比較的華のあるウィッキー選手をDREAMとしては売り出したかったのかもしれません。ウィッキー選手には、サブミッションにおいて高い技術を持つカラム選手の関節技からうまく逃れるなど、その柔軟性とセンスの良さが要所要所で垣間見れました。しかし、やはりスキルの部分ではカラム選手が一枚も二枚も上手だったのか、試合を通して中々ウィッキー選手のペースになることはなく、ウィッキー選手は判定負けを喫してしまいました。
4試合目は石田選手VS中村選手のライト級のワンマッチでした。石田選手がキャリアと実績の差を見せ、手堅く勝利を収めました。試合内容は、観ているものにしてみると物足りない部分もあったかもしれませんが、結果に関しては個人的に石田選手の勝利で終わって良かったような気もします。中村選手はライト級のTOPレベルの選手に初めて挑むという試合でしたが、石田選手にしてみれば負ければライト級のTOP戦線から一気に後退することになってしまう試合でした。石田選手にとってのリスクの方が大きい試合で、精神的重圧も石田選手の方が大きかったと思います。石田選手はこの勝利によって、ライト級のTOP戦線に踏み止まりました。中村選手にとっては久々の負け試合となってしまいましたが、今後の飛躍に期待したいと思います。
5試合目は青木真也選手VSデイビッド・ガードナー選手。ウェルター級のワンマッチでした。青木選手はお馴染みの「バカサバイバー」で入場して来ましたが、やはりこの日の大会の流れを象徴するように、普段の入場と比較しても圧倒的に盛り上がりを欠いていました。自身はスタンドのS席にいたのですが、周囲で手拍子すら起こりませんでした。私は今まで青木選手の入場シーンを何度も会場で見ていますが、ここまで盛り上がらなかった青木選手の入場は初めてかもしれません。試合の方は、ご存知の通り、ガードナー選手の“ハロー、ジャパン!!”パフォーマンスの一瞬の隙をつき、青木選手がチョークスリーパーで一本勝ちを収めました。悪い大会の流れの中で、きっちりと一本勝ちした青木選手は流石だと思います。
6試合目は川尻選手VSエバネス選手のライト級ワンマッチでした。契約体重オーバーなどの調整不足が露骨であったエバネス選手に、川尻選手があっさりと一本勝ちを収めました。試合後のマイクパフォーマンスで、川尻選手はJZカルバン選手との対戦を熱望しました。この川尻選手のマイクが今大会を通じて最も盛り上がった瞬間かもしれません。
7試合目で再びフェザー級グランプリのマッチメークに戻り、前田吉朗選手VSミカ・ミラー選手。前田選手はPRIDE武士道出場時の印象から、大舞台に弱いというイメージがあり、少し心配でした。試合は危ないシーンもありましたが、何とか前田選手が判定勝ちを収めました。前田選手は打撃が持ち味だと思うので、ミラー選手のような高身長で長いリーチを持つ選手との組み合わせは、ややミスマッチのように感じました。
8試合目は高谷裕之選手VSキム・ジョンウォン選手。高谷選手はKO勝ちをしたものの、相手は総合格闘技初参戦の選手。ジョンウォン選手も打撃の防御に光るものも見せましたが、我侭を言うと高谷選手には1Rで決めて欲しかったところです。
9試合目はこの日のメインカード、今成選手VS山本篤選手。山本選手に足関節を警戒されすぎたのか、今成選手は一度も“足関十段”の技を見せることなく試合が終了してしまいました。判定は2-1で今成選手。難しい判定でした。山本KID選手は「判定がおかしい。」と言っていたようですが、個人的には判定は妥当であったと思います。山本選手は今成選手の足関節を警戒しすぎたため、(もちろん警戒すべき恐ろしい技ですが)あまり攻め込めず、効果的なダメージを今成選手に与えることは出来ませんでした。反対に今成選手は足関節を含め一本は取れなかったものの、終始一本を取ろうと攻めの姿勢を崩しませんでした。攻め続けた今成選手に対して、山本選手は特に印象的な攻めを展開することは出来なかったので、この判定は致し方ないところだと思います。ただ、山本選手は相変わらずの身体能力の高さから来る強さも見せてくれました。一回戦で姿を消してしまうのは、非常に惜しい選手です。山本選手を下した今成選手には、二回戦では鮮やかな足関節での一本勝ちを見せてもらいたいと思っています。