K-1ワールドGP開幕戦の全カードが昨日発表されました。推薦枠に選出されたファウスト選手やセフォー選手に関して議論を醸していますが、どの試合もプロテクトの意図の見えない好カードを組んだと思います。
バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
チェ・ホンマン(韓国/フリー)
ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X tream team)
澤屋敷純一(日本/チームドラゴン)
エヴェルトン・テイシェイラ(JAPAN GP王者/ブラジル/極真会館)
武蔵(推薦/日本/正道会館)
ルスラン・カラエフ(ASIA GP王者/ロシア/フリー)
ハリッド“ディ・ファウスト”(推薦/ドイツ/ゴールデン・グローリージム)
レミー・ボンヤスキー(オランダ/チーム ボンヤスキー)
ポール・スロウィンスキー(推薦/オーストラリア/チーム ミスターパーフェクト)
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館)
エロール・ジマーマン(ヨーロッパGP王者/オランダ/ゴールデン・グローリージム)
グーカン・サキ(USA GP王者/トルコ/チーム・レベル)
レイ・セフォー(推薦/ニュージーランド/レイ・セフォーアカデミー)
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
ピーター・アーツ(オランダ/チーム アーツ)
近年におけるK-1ワールドグランプリは旧来の名選手に依然頼っている傾向があり、主催者側の旧選手に対する優遇やプロテクトを感じる側面もありました。それ故、K-1ワールドグランプリの開幕戦が迫っても、どこか冷めた目で観戦してしまっていました。しかし、今回の開幕戦カードはK-1を新たな時代へとリニューアルしてゆこうとする、主催者側の強い意志を感じます。1995年~1999年頃以来、久々に高揚感を持ってK-1ワールドグランプリ開幕戦を観ることになりそうです。
このようなカードが組めたのは、主催者側の意思ももちろんあると思いますが、ピーター・アーツ選手の決意も大きく寄与していると思われます。ピーター・アーツ選手は自ら直訴して、セーム・シュルト選手との対戦を希望しました。ピーター・アーツ選手はご存知の通りK-1創世記からK-1の全盛期、そして今も尚K-1を支えるスター選手です。開幕戦で両者が戦うと言うことは、もちろんいずれかの選手が12月の決勝大会に出場できない事を意味します。セーム・シュルト選手は、現在K-1最強のファイターであることは間違いありません。どの選手にとってもシュルト選手と試合をすることはリスクとなります。おそらくアーツ選手が直訴しなければ、開幕戦で主催者がこのカードを組むことはなかったと思います。主催者側としては、旧来からの名選手であるアーツ選手には是非12月の決勝大会に出て欲しかったところだと思います。アーツ選手にしてみても、K-1開設以来1年も欠かすことなく決勝大会に出場しているという記録を持っています。アーツ選手はこのシュルト選手との試合に自身の進退を賭けて臨むと思います。現状シュルト選手が独走していて面白みに欠けているK-1の状況を、何とか自身の手で打破しなくてはならない、シュルト選手のV4だけは止めなくてはという強い決意を感じます。他のファイターに対して、K-1の発展のためには何としてでもシュルト選手を止めなくてはということを訴えているようにも見えます。主催者側もアーツ選手VSシュルト選手が決定したことで、K-1が生まれ変わるためのカードを組みやすくなった部分もあると思います。
開幕戦はどの試合も好試合となりそうですが、アーツ選手VSシュルト選手の試合意外に特に注目している試合が3試合あります。バダ・ハリ選手VSホンマン選手、バンナ選手VS澤屋敷選手、そしてテイシェイラ選手VS武蔵選手です。
ホンマン選手はバダ・ハリ選手にとってそこそこ厳しい相手となりそうです。ここまで体格差のある相手と試合をしたことはないと思います。ホンマンは打たれ強いのでKO勝ちは難しいと思います。バダ・ハリ選手もかなり消耗するのではないでしょうか。最終的にはバダ・ハリ選手がスピードを活かし、アウトボクシング的な戦い方で判定勝ちを収めると思います。しかし、ホンマン選手の体はキックを放った方が怪我をする程頑丈なため、バダ・ハリ選手が試合途中で怪我等のアクシデントに見舞われないかが心配です。また、ここでバダ・ハリ選手が圧勝すれば、アーツ選手がシュルト選手に負けた場合、打倒シュルト選手への期待が一斉に集まる事になると思います。
バンナ選手VS澤屋敷選手は両者にチャンスを与えた試合だと思います。バンナ選手にしてみればリベンジのチャンスです。澤屋敷選手にとっては、一回目のバンナ選手との試合での大金星がK-1での活躍に繋がっているので、勝負勘を取り戻すきっかけを掴みたい所でしょう。バンナ選手は絶対勝つという意気込みで試合に臨んできます。前回のような澤屋敷選手の作戦は通用しないでしょう。ややスランプに陥っている澤屋敷選手にとっては分の悪い試合となりそうです。
テイシェイラ選手VS武蔵選手は、武蔵選手にベテランの意地を見せて欲しいところです。主催者側の恩情で、武蔵選手に推薦枠が与えられていると思います。テイシェイラ選手は極真の世界王者で、その潜在能力の高さには定評があります。しかし、K-1でのキャリアを考慮すると武蔵選手は決して負けてはいけない試合だと思います。武蔵選手にとって、テイシェイラ選手は勝てない相手ではないはずです。KOは難しいかもしれませんが、いわゆる武蔵流と言われる戦い方が出来れば勝てると思います。相手の距離に飛び込まないその戦い方には賛否両論ありますが、ここは是非勝ちを取りにいって欲しいと思っています。
最後に余談ですが、推薦枠の第一候補はマーク・ハント選手だったようです。しかし、あらゆる手段を尽くしても連絡が取れなかったため、主催者側も断念したようです。この時期にしばらく連絡が取れないということは、以前ハント選手も口から溢していたように、もう本格的に総合に転向しK-1で試合をするモチベーションはないのかもしれません。