先日ハワイで行われた2008年度のK-1最終予選大会は、急遽参戦したグーカン・サキ選手の優勝で幕を閉じました。

サキ選手は元々下馬評の高い選手で、スロウィンスキー選手やイグナショフ選手にも勝利している、実績のある選手です。前評判通りの圧倒的な強さを見せつけて勝利しました。サキ選手は、体のサイズが小さいことが気になりますが、スピードとアグレッシブさを兼ね備えた非常に強い選手でした。谷川氏も「バダ・ハリと同レベルの選手」という発言をしきりに連呼していたので、お気に入りの選手のようです。

しかし、サキ選手が突出した強さを見せた一方で、他トーナメント参戦選手とのレベルの差も気になりました。モー選手のアクシデントやペタス選手が一回戦敗退となったのが大きいのかもしれませんが、サキ選手が優勝するまでに対戦した相手との試合は、競技を始めて間もない選手とプロ選手が試合をしていると言っても過言ではないような試合でした。その他、キックボクシングの試合と呼べないような試合も目に付きました。ヨーロッパやその他地区に比べ、どうしても選手層が薄くなってしまうのでしょうか。今期の予選大会、そして今までのハワイ大会の中で、最もトーナメントのレベルは低かったという印象を受けました。



他にワンマッチも行われました。注目のバダ・ハリ選手は、ドマジョフ・オスタジック選手と対戦し、開始19秒で見事勝利を収めました。紹介VTRにて、やたらとバダ・ハリ選手を打倒シュルト選手の一番手として
押していました。そこで、今回の対戦は仮想シュルト選手とされていましたが、さすがにオスタジック選手(196cm,104Kg)を仮想シュルト選手とするのは無理矢理過ぎるのではないかと感じました。試合内容としては、バダ・ハリ選手が秒殺KOしたように見えましたが、たまたまバダ・ハリ選手のジャブがオスタジック選手の渾身の左フックへのカウンターになった形でした。


バダ・ハリ選手は打たれ強くはないので、一歩間違えればKO負けになってもおかしくないような展開でした。実際にパンチはもらっていて、グロッキーになっていました。そういった僅差のタイミングで勝利をモノに出来るのが、バダ・ハリ選手のパンチスピードと今の上昇気流でしょうか。


スロウィンスキー選手VSヤヤ選手は、今大会のベストバウトとなりました。ダウンの奪い合いでしたが、スロウィンスキー選手が逆転勝利を収めました。序盤はヤヤ選手のパンチに翻弄されていましたが、徐々に立て直し、最後は気持ちの強さを見せつけて勝利しました。負けはしましたが、ヤヤ選手も今後が非常に楽しみな選手です。




地上波放送はされなかったのですが、ステファン・レコ選手も順当に勝利したようです。




最後にマイティー・モー選手。アクシデント的な部分もありましたが、精彩を欠いた試合内容となってしまいました。やや勝運に見放されているのと、研究されてしまっているのも影響していそうです。そしてホンマン戦や、今回の試合も含めローブローに泣かされがちです。ローブローの少ない、総合格闘技へ転向したいというようなコメントも試合後に残しています。総合格闘技となると、確かに腰の重いモー選手をテイクダウンするのは至難の業かもしれません。本人も総合の経験は多く積んでいるようです。ルールに適合すれば、そこそこの選手になるかも知れません。これは私見ですが、K-1の今までの不可解なジャッジにモー選手も嫌気が差したのかもしれません。今回の試合に関しても、相手にイエローカードや注意が与えられているのにも関わらず、判定2-0 ※30-26、28-28、30-26という結果でした。ドローをつけたジャッジの意図が不可解な判定でした。試合後のインタビューの内容からすると、K-1参戦続行かMMA転向かは五分五分といった印象です。以前、DREAMでミルコ選手戦のオファーがあったということもあるので、モー選手はDREAMを次のリングに考えているかもしれません。