K-1の台北大会ではアジアGPの他にワンマッチが行われました。その中で注目していたのが3試合。澤屋敷純一選手VSカタリン・モロサヌ選手、レイ・セフォー選手VSザビット・ザメドフ選手、レミー・ボンヤスキー選手VSヴォルク・アターエフ選手の3試合です。

澤屋敷選手にとっては今が苦難の時期です。2試合連続で敗戦が続いている焦りが更なる敗戦を招いてしまいました。試合開始早々、飛び膝蹴りを放つなど、相手のことは落ち着いて十分見れていたと思います。しかし、敗戦続きの焦りからか、ただ勝つことよりも、KO勝ちすることに拘りすぎてしまったようです。モロサヌ選手のように突進してパンチを振り回してくる相手に、打ち合ってカウンターでKO勝ちを狙ったのが裏目に出てしまった試合だと思います。逆に相手のパンチを貰ってKO負けを喫してしまいました。澤屋敷選手は、モロサヌ選手のように突進型の選手が圧力を掛けてきても、真っ直ぐ下がらずに相手を軸に回りながら戦える選手なので、距離を取ってローキック等多用していれば勝てた相手だと思います。そのような戦い方をしていれば、相手の焦りを誘い、カウンターでのKO勝ちのチャンスもあったと思います。澤屋敷選手は何とか連敗という負の連鎖を、KO勝ちによって断ち切りたかったと思うのですが、KO勝ちを狙いすぎてしまったことが敗因となってしまったと思います。

また、セフォー選手VSザメドフ選手は延長戦の末、僅差の判定でザメドフ選手が勝利をモノにしました。セフォー選手も衰えを隠せないのか、新世代の選手に勝てなくなってきています。新世代選手の力量試し役的な選手になりつつあります。ポジティブに捉えると、世代交代が中々進んでいないと言われているK-1でも、徐々に世代交代が進みつつあるということでしょうか。

そして、格闘技ファン待望のアターエフ選手がK-1のリングに初登場しました。しかし、初戦の相手がボンヤスキー選手では相手が悪かったようです。ボンヤスキー選手は最も強さが安定している選手の一人ではないでしょうか。基本的に番狂わせや、格下の相手との試合での取りこぼし等を起こさない選手です。アターエフ選手も1Rは圧力を掛け、体の強さや、一発一発の打撃の威力をみせたものの、キャリアの差は歴然としていました。しかし、K-1初戦でボンヤスキー選手相手にあそこまでやれたのは凄いことなのかもしれません。打たれ強さと、一発の威力があるので、先日ジャパンGPで優勝したティシェイラ選手と試合を組んでみるのも面白いかもしれませんし、十分勝つ可能性もあると思います。また、セフォー選手と試合をしても噛み合うかもしれません。

ボンヤスキー選手ですが、シュルト選手へのリベンジマッチを希望しているようです。ボンヤスキー選手はシュルト選手と戦う際の秘策のようなものがありそうなので期待はしています。しかし、本日の試合を観ると相手の攻撃に対して足を止めてガードを固めてしまう癖があるようです。シュルト選手と試合をする際に同様のことをしてしまうと、掴まれての膝の餌食になってしまいます。シュルト選手との試合が決定するまでに、その癖を克服しなければ圧力と掴まれての膝に屈して再度苦汁を飲むことになるかもしれません。