藤田和之選手が昨日行われた戦極で、トラビス・ビュー選手に1RKO負けを喫しました。


トラビス・ビュー選手が日本ではまだ知名度あまりないということもあり、一部でこの藤田選手の敗戦に関して驚きの声が上がっています。


驚きの声が一部で上がっているのには、藤田選手の負け方が影響している部分も大きいと思いますが、藤田選手の敗戦という結果は、個人的には妥当であったと感じています。


藤田和之


藤田選手は、PRIDE初期の頃に霊長類最強といわれていたマーク・ケアー選手に勝つという快挙を成し遂げたり、ヒョードル選手をパンチでぐらつかすなど数々の伝説を作っているので、実力以上に強い印象を与えている選手ではあります。


しかし、近年の総合格闘技での戦績は決して良いものではありません。オリンピックのメダリストで総合格闘技初参戦の選手等には勝利を挙げていますが、ある程度の強豪には勝てていない状況が続いています。PRIDEのファイナル興業においても、ジェフ・モンソン選手に一本負けを喫しています。


一方のトラビス・ビュー選手は、UFCの前ライトヘビー級王者チャック・リデル選手にも勝利したことがありますし、そのリデル選手に勝ったことのあるジャーディーン選手にも勝っています。また、PRIDEにも出場して勝利を挙げている、M-1王者のローマン・ゼンツォフ選手にも勝っています。


実績を考えると、トラビス・ビュー選手が勝利する確率のほうが高かったと言えると思います。


まだ総合格闘技の創世記の頃は、UFCでの必勝パターンがそうであったように、タックルしてから上のポジションを取り続けるというスタイルでトップ戦線にも食い込めたのですが、近年の総合格闘技の技術の向上により、それだけでは勝つことが出来なくなって来ています。


そして何より必要なものは、総合的なスキルに加え、極めることの出来る絶対的な分野を持っているかということです。この分野であれば、一本orKOで決着をつけられるという技を持っているかということです。


藤田選手にはそれがないように思います。タックルのスキルはかなりのレベルのものを持っていますが、上のポジションになってから、極められる技がありません。打たれ強さという絶対的な武器もありましたが、今までのダメージの蓄積からか、以前に比べて打たれ弱くなっている感も否めません。


藤田選手はプロレスラー出身ということもあり、日本では人気のある選手です。集客も見込める選手ですし、近年の実績に関わらず会場の雰囲気を熱くすることの出来るファイターの一人です。ファンも強い、勝つ藤田選手を観たいという思いが強いと思います。


しかし、今回の敗戦により戦極での今後の藤田選手のマッチメークは慎重にならざるを得ないと思います。吉田選手と同様、藤田選手も戦極重量級のエースとして売り出していく方向であったと思います。しかし、次に負けてしまうと、藤田選手の戦極での扱い方が非常に難しくなってきます。


よって、藤田選手の次戦の相手は格下の相手になることが予想されます。しかし、その後のあからさまな藤田選手プロテクトのマッチメークは避けて欲しいものです。明らかにプロテクトされている藤田選手のマッチメークはファンも望んでいないと思います。