組前進から各個前進に切り替え、全身で息をしながら最後の堆土に身を隠す。堆土から覗く敵陣地とこちらの間に遮る物はない。距離は数十メートル。敵の顔が見える。堆土から4秒以上身体が暴露すると死ぬという。バディが到着するまで単発で援護射撃を繰り返す。
最後の班員が到着したら突撃準備にかかる。100年以上の昔から、この国の陸軍では戦闘の最終の決は銃剣突撃と決まっている。なんとも古くさい戦法だが、最近ではフォークランド紛争でイギリス軍が銃剣突撃による戦果を挙げたという。
班長が無線に向かって怒鳴る。
『指揮所!こちら第一班送れ!』
『こちら指揮所』
『第一班1540より○分間、突撃支援射撃を要請する!』
我々と敵陣地との間に、数分間だけ味方の砲弾が雨のように降ってくる。その間、敵は沈黙し、第一班は味方の砲弾に当たらぬよう姿勢を低くして前進する。
最初の1発と同時に前進を開始してできるだけ間合いを詰め、最後には銃剣で敵を刺突する。
着剣し、突撃準備を終えると、弾着まで数秒間息を整える時間ができる。
『初弾弾着10秒前!』
ぴゅーーーーーーー…
『5…4…3…だんちゃーく…今!』
どっかーん☆『前へー!』こんばんは。
航空学生時代にも戦闘訓練をやったはずなのに記憶がほとんどないムーミンです。
あれは確か熱中症で“戦死”していたんだっけか。暑い夏の日だった。覚えてないわけだ(笑)
そんなムーミンも昨年から今年にかけて予備自衛官補の召集教育訓練に参加しておりました。もちろん戦闘訓練では同じ鉄は踏まないと心に決め、熱中症対策として水分もしっかり補給!
そう…
真冬(1月)の北海道で。
熱中症よりも凍傷を対策した方が良さそうです。
さて、航空学生時代の戦闘訓練は真夏のグラウンドで行い、草や砂とお友達になったわけですが、今回は雪や氷とお友達にならねばなりません。
しかも航空自衛隊の口で『ばーん!』とか言ってる戦闘訓練とはレベルが違います。陸上自衛隊では空砲を使用し、偽爆筒や爆竹なども使用して緊張感も高め。彼らは陸戦のプロ集団、陸上自衛隊!彼らは地物地形天候を選ばず常に最高の練度を発揮することができます。そんな陸上自衛隊で参加した冬季戦闘訓練の一部を紹介します。
1月。大雪に荒れた北海道。
フカフカに積もった雪を、戦闘訓練のために雪上装甲車で成らした地面はどんなものか。
キャタピラーの跡で凸凹していて、匍匐(ほふく)するとアザだらけになり、走ればズボズボと足を取られる。照門や薬室に雪が詰まり、晴天時は照り返しで足元は見えず、皮膚の露出は凍傷の原因になる。不整地と低温で機敏な身体の動きができず、敵に身体を暴露する時間も長くなる。そんな劣悪な戦場となる。
特に凍傷は怖い。これが結構簡単になってしまうものだ。凍傷は手足の指など末端から侵されていくもの。指先が冷えてきたら肩から先を脱力してプロペラのようにブンブンとぶん回す。麦わらのル○ィのように。こうすると胴体の近くを流れる温かい血液を遠心力で指先に送ることができる。
これからの季節、やってみるといいだろう。そのときは近くに人がいない事をチェックしよう。人に当たると危ないし、人に見られると恥ずかしいはずだ。
着衣が乱れて雪面に肌や肌着が触れているだけでも凍傷になる。
匍匐(ほふく)をしていると弾納ポーチが開いてしまったり、服の隙間から雪が進入してくる。ムーミンの場合、かなりの確率で防寒外衣の股間ファスナーが開いてしまったりした。こんな場所が凍傷になったらシャレにならない。
兵士はいかなる場合も自分の“銃”を落としてはならないのだ!
同期『ムーミン!社会の窓全開だぞ!(笑)』
一同爆笑
私『おまえもな』一同大爆笑なんてことも結構あったりする。
そんな雪の中での戦闘訓練も3本くらいやるとヘトヘトになる。私のような汗っかき達は身体から湯気がもうもうと立ち込める。あと10度ほど気温が低ければ身体の周りでダイヤモンドダストが見られたことだろう。
5日間に渡る戦闘訓練浸けの日々を過ごすうち、私達の区隊はメキメキと練度をあげ、班長からは『ビデオに撮って新隊員の教材にしたい』とのコメントをいただき、こっそり見に来ていた中隊長、大隊長も士気と練度の高さにご満悦だったそうだ。
雪や雪に伴う悪天候で、予定の訓練ができないこともあった。それでも雪を制約とは捉えず、特性として捉えることで積雪時にしかできない訓練を行うことができ、その有意義さは夏でも冬でも変わらない。
戦闘訓練を終えて記念撮影
え?戦闘の様子が書かれてないって?
前進や突撃は生々しい上に、現職予備自衛官として保全上よろしくないのでご容赦くださいませー(笑)
※なお、訓練の内容は各地本、各部隊によって詳細が異なります。
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