遠い世界から落ちていく
暗闇が支配する奈落へ
果てしなく音もなく
静かに風の荒ぶる息遣いだけ
何もない空間に響く

底を知らない
いまだに落ちていく感覚から
先はまだまだ長いのだと
うっすら笑っているように見える

心までも堕ちていく
翼を亡くした鳥のように
飛び方を忘れた鳥のように
抗うことなくさ迷うことなく
真っ逆さまに底へ向かって

苦しむことも泣くこともない
何もかも切り捨てられ
生きる術さえ絶ち切られ
澱みの中へ沈む

這いずること足掻くこともない
闇に溶け込む今となっては
光は邪な照らし

次第に遠退く意識の中で垣間見る
手招きして待っている存在がいたことを
無意識に手を差し出したことを

掴まれた魂
手放されることはない

輪廻から外れた死だけが
安息の万劫の眠りを与える

再び廻ることはない死を与える