今じゃ町にあふれてる1000円カットのお店
最近じゃ1000円カットの代表店QBハウスにしか行ってない。
終わる時間も早い。それなのに技術もそれなりに素晴らしいと思う。
髪型に特別なこだわりのない俺にとっては優良店だ。
だが初めてQBハウスに行くときは緊張した。
なぜなら俺には1000円カットのお店と言ううたい文句のお店に悲しきトラウマがあったからだ・・・
あれはもう10年以上前、俺が中学生の時だった。
地方の田舎に住んでた俺の家からまあまあ近くに料金1000円の床屋が出来た。
もちろんQBハウスではないし店の名前は忘れた。1000円をこれみよがしに看板でアピールしてたのは覚えている。
俺は驚いた!なぜなら俺の行きつけの床屋は3000円だったからだ。
そこで俺に悪魔的発想が浮かんでしまった。
1:まず床屋に行くからお金をくれと親に言う。
2:親はもちろん俺に3000円を渡す。
3:俺は1000円カットのお店で髪を切り2000円を儲ける。
テーッテッテレー♪うまい!!!
完璧だ!
余った2000円。中学生の2000円は大人の価値に換算すると2万円といっても過言ではない!
計画を実行するため俺は緊張しながらも母親に言った。
「か、髪切ってくるから、3000円くれよ。」
少しだけ、どもっってしまったが問題ないだろう。
母親は言った。
「あそこに1000円カットの床屋できたらしいからそこで切ってきなさい。」
・・・・・・
\(^o^)/
母親に1000円だけ渡された俺はしぶしぶそこに行くことにした。
そして入店・・・
中はまあこれといって普通だった。
俺についたのは金髪のあんちゃんだった。
そいつは意気揚々と話しかけてきた。
「君いくつ?」
「13です。」
「へー中学生だ~。俺いくつに見える?」
知るかよと心の中で思いながら
「23くらいっすか?」
「えーマジかショックだな俺17歳なんだよね」
あ?マジかよ。てか高校生か?と思ったのもつかの間
「俺高校やめて住み込みで見習いで働いてるんだ。」
と間髪入れずに答えた挙句、あとは高校やめたから頑張んなくちゃとかあーだこーだ色々と勝手に語りだした。
知るかよと心の中で思いながら
「大変すね~」と適当に返した。
てかこいつ髪切るのかよ。大丈夫かぁ?
頼みますよ!こちとら思春期真っ盛りだよ!
親父のジェル髪の毛につけてみたりしてる思春期オシャレ第一歩ふんでますから!!
だが予想外にいきなり顔そりからスタートした。
美容室にしか行った事ない人は知らないかもしれないが床屋は顔そりと言って顔のヒゲや産毛を剃ったりするんです。
あんちゃんが「俺まだ見習いだから顔そりしかできないんだ」と言った。
知るかよと心の中で思いながら、顔をそってもらう事になった。
そして顔そり中も、あんちゃんが何だかんだしゃべってきた。
顔剃られてる俺がしゃべったら危ねえだろうがと思いながら、適当に返してると、ふと急に全くしゃべらなくなった。
急にどした?と思ったがまあ仕事に集中しだしたのかと気にするのもやめた。
なぜか耳の裏に少し痛みが走る。
そして顔そりも終わり次は髪の毛。
あんちゃんにバトンタッチしたのは、どこにでもいるおっさんだった。
そのおっさんは慣れた手つきでスピーディに俺の髪の毛を切っていった。
そして出来た髪型は・・・
画像の通り、往年のサモハンキンポーばりの坊ちゃん刈りだった。
思春期真っ盛りの俺にとって絶望的な髪型だった・・・
ふざけんな何で坊ちゃん刈りになるんだよおかしいだろ!!と思いながら
ふと横で切られてる同じ中学生くらいの客の髪も坊ちゃん刈りにされていた。
何だおい!ここは1000円払って坊ちゃん刈りにされるお店ですか?
とはチキンの俺はもちろん言えずただただ悲しみに満ち溢れていた・・
帰ろうとした時、あの金髪のあんちゃんが遠くからずっと心配そうに俺を見ている。
さっきからずっとだ。
同情してんのか?同情するなら髪返せと思いながら帰宅した。
帰宅中風が吹き耳の裏に痛みが走った。
さっきからやっぱり痛い何だろうと思い手で触ると
指に少し赤いもの・・・
血じゃねーかおい!!!
ここで俺は思い返した・・・
顔そり・・・急にしゃべらなくなったあいつ・・・その後も心配そうに見つめるあいつ・・・
あの野郎切りやがったな!!!
そんで俺に言われないかとビクビクしてたわけだ。
戻って文句言おうか?ただでさえこんな髪型にされてイライラしてるし。
でもなぁ・・・17で高校やめたし住み込みで頑張るって言ってたしなぁ・・・
もしそれでクビになったりとかしたらなぁ・・・
ふっ
サモハンキンポーの髪型をした中学生はクールに去っていった・・・
次の日学校に行った耳の裏に絆創膏をつけた坊ちゃん刈りの中学生はクラスの笑いものになりましたとさ。
~めでたしめでたし~
PS そこのお店はすぐになくなりました。







