糸鋸 包帯痴女、ストーク死神 -13ページ目

コミケ


糸鋸 包帯痴女、ストーク死神-フィーバー


フィーバーしてきました


BN チャプター5 トゥルーデおばさん

 暗黒街の路地裏、そこに1人の少年が立っていた。
 頬には赤い血のりが付着し黒いパーカー、ジーンズにも目立っては無いが所々シミがついている。


「アハハハハハハッ
メガネをしているからだよ。
めがねをかけているからおれはあなたを殺したくなるんだよ」


 少年はナイフを振りかざし足元で倒れている青年だった肉の塊に突き刺す。


 サク
 サク
 サク


「~~♪ たのしいな~♪

えいっ♪」


 少年は壊れた笑顔のままその行動を繰り返す。
 青年の白いカッターシャツに開いた穴から血が滲み出し赤く赤く染めてゆく。

 彼の名は青海 准(あおみ じゅん)
 鉤辻組に所属する殺人鬼である。
 特にメガネをかけた青年を殺すことを好むと言う変わり者の殺人鬼である。


「あー楽しかった~
次はもっとめがねの似合うお兄さんならいいな~」


 仕事なのか趣味なのかそこはわからないが、作業を終えた准は狂喜の笑みを浮かべポケットから飴を取り出す。
 その飴を口に含んだ直後のことだった。


「あららら~何か血なまぐさい臭いがすると思ったら、やっぱり人殺しか~」


 准の背後から少女の声が聞こえた。
 慌てて准は振り返る。
 見られたことは別に怖くは無い。
 口封じに消せばいいだけの話だ。


 しかし――そこにいたのは・・・・・・


 見たことの無い魔女っ娘だった・・・・・・
 
 見た感じ12歳くらいでピンクツインテールが特徴で胸の先端が見えそうなくらいぱっつんぱっつんな衣装を身にまとったこの街には合わない格好をした少女は目の前にある死体も、それに手をかけた准を恐れる様子もなく屈託の無い笑顔で准を見ている。


「・・・・・・誰?」


 准は目の前の少女に話しかける。
 只者かどうかはわからないが、この街でたった1人、しかも変な格好をして歩いてる女の子がまともなわけが無い。
 そもそも、自分が殺人者ということを知られている。
 警戒するには十分だった。
 そんな准の問いに少女は笑顔で答える。


「通りすがりの魔女っ娘だよ☆」


 少女は笑顔で答えた。
 悪意も何も感じない純粋で無邪気な笑顔である。
 だが、准にはそれが気に入らなかった。
 今まで気持ちよく殺人と言う行為を行っていたのに、いきなり現れた頭のおかしそうな少女が現れたことにより気分が台無しにされたのである。
 
「変な子だね・・・・・・
『こんなとこ』にのほほんと顔を出してただで済むと思ってるの?」


 准は少女にナイフを向け叫ぶ。
 しかし、少女はおびえる様子もなく、笑顔のままである。


「アハハッ
お兄ちゃんもその様子だと人を殺すこと初めてじゃないみたいだね。
殺人鬼の臭いがぷんぷんするよ」


 にこりと微笑む少女。
 その笑顔に准の怒りは頂点に達した。


「うるさい!」


 准は少女に向かって突進する。


「おーキレちゃった。くわばらくわばら」


 少女は軽い足取りで路地裏から逃げ出す。
 
「逃がさないよ」


 准は少女を追う。
 しかし、その直後自分の周りに異変が起こった。


「なに? 霧?」


 自分の周りに突然霧が現れ少女の姿が見えなくなる。
 今まで雨すら降ってない、星空のきれいな晴天だったのにもかかわらず急に霧が現れたのだ。


「そんなに私を追いたかったらついてきなよ、歓迎してあげるよ☆」 
 
 少女の声が霧の中から聞こえる。
 准は声の方向に歩き出した。

 すると――


「いらっしゃい、迷いの霧へようこそ」


 また見たことの無い少年が准の前に現れた。
 金と青のオッドアイが特徴で女の子にも見える整った顔立ち、ウサギの耳のついた帽子を被っている。その姿は不思議の国のアリスに登場するウサギのようであった。 


「また変なのが・・・・・・」


 准は警戒とかず少年に話しかける。


「僕はリオン、この霧から繋がる不思議な世界への案内人だよ」


 リオンと名乗る少年はあきれた顔をして言う。


「君も大変だね、あれに目をつけられるなんて。
 この先に行けば目的地にけるはずだから、がんばってね」


 さっきまで少女がいた場所を指差すリオン。


「じゃあ、僕はここで。 気をつけてね」


 そう言って姿を消すリオン。


「ちょっとま・・・・・・」


 准の制止を聞かず、リオンの姿は見えなくなっていった。


「なんなんだ・・・・・・これじゃあ、おれは不思議の国のアリスじゃないか・・・・・・」


 そのぼやきに答えてくれる人はいなかった。
 立ってるだけでは時間の無駄を悟ったか、准はリオンが指差していた方向へ歩き始める。


「何でおれがこんな目にあわなきゃいけないのかな・・・・・・いつもどおり楽しくメガネをかけた人を殺していただけなのに・・・・・・」


 准の機嫌はかなり悪くなっていた。
 
 こうなったらあのガキバラバラにしてあげる・・・・・・
 手足を切り刻んでメガネかけてどこかに晒してあげるからね・・・・・・


 そんな思いを浮かべ歩き続ける。 

 すると――

 突然霧が晴れ、視界には殺風景な部屋が現れた。
 テーブルにベッド、ゆり椅子に暖炉と飾り気の無い無機質な部屋だった。


「部屋? さっきまで街の路地裏にいたのに何で・・・・・・」


 准は戸惑いの色を隠せない。
 自分がさっきまでいた場所と違う場所に連れられたのだ。
 冷静でいろと言うのが無理な話である。


 ニャー


 足元から聞こえる猫の鳴き声で准は我に返る。
 泣き声の先を見ると黒猫がいた。
 まんまるい目をしたかわいい黒猫である。
 黒猫は准を目が合うとゆりかごに向かって走り出し、そこに座っている老婆のひざに乗り頭をなでられている。


「いらっしゃい、若きメガネ好きの殺人鬼」


 フードをまとった老婆はしわがれた声で准に話しかける。


「魔女っ娘、ウサギの次は本物の魔女か・・・・・・とことん異世界だね・・・・・・」


 准はため息をつきながらぼやく。


「おばあちゃん、ここにピンクの髪をした女の子ががいたら連れて来て。
でないと刻むよ」


「人の部屋にはいっていきなりじゃのう・・・」


「うるさい・・・・・・こっちはいい気分でいたのにあの子のせいで台無しにされたんだよ・・・・・・」


 准はナイフを構えようとするが・・・・・・


「なっ・・・・・・動かない・・・・・・なんで・・・・・・」


 身体が動かなくなっていた。


「すまんのう、話すよりも身体が動きそうに見えたからな。
 ちょっと封じさせてもらったぞ」


 ニヤリと笑みを浮かべる老婆。


「まあ、年寄りの話でも聞いてくれんか。
最近語りたいことが多くてのう フォフォフォフォ」


「・・・・・・」


 いやらしく笑う老婆を睨みつける准。
 だが、今は怒りよりも恐怖のほうが強かった。
 わけのわからない力で自分の身体が動かなくなっているのだ。
 老婆を恐れるのは無理も無い話しである。


「この街は『死』にあふれておる・・・・・・
このままでは冥界の住人が迷惑してしまってのう・・・・・・
ハデスさんも大変じゃ・・・・・・
ああ、君の世界で言うなら閻魔大王かのう。
人殺しがよくないわけじゃあない、殺しすぎるのがよくないのじゃ」


 淡々と語る老婆。
 冗談交じりに語っていても准の心はほぐれない。


「なんだ? おれに殺人をやめなさいって言う気?? 馬鹿言わないでよ!!」


「生者の世界と死者の世界は バランスよく成り立っている。
 天秤のようにな、君の国で言うならやじろべえかのう フォフォフォ」


「ふざけないで! 早くこの変な魔法解いてっ!!
 おれはまだ人を殺すんだ! 邪魔しないでよ!!」


 准は叫び続ける。
 もう、正常な思考は無い。
 殺人欲とここから出たい一心で叫び続けた。
 それを見た老婆は軽くため息をつき、黒猫を置いて准に向かって歩き出す。


「じゃからのう」


 そう言って准の額を軽く突付き老婆はゆり椅子に向け歩き出す。


「必要以上に人を殺されたら困るんじゃよ」


 その瞬間、准の身体に異変が起こった。
 自分の身体から水分が抜けるような感覚・・・・・・
 ナイフを持っていた手を見るとどんどん手が皺枯れていた。
 ようなではない、本当に水分がなくなっているのだ。


「ひぃっ やだ・・・やだ・・・イヤダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


 准は叫ぶ、そうでもしないと自分がなくなる気がしたからだ。
 すると、老婆はフードをとり准のほうを振り向いた。
 その姿に准は戸惑いを隠せない。


「お久しぶり、お兄ちゃん」


 老婆だったのは路地裏であった少女だった。


「どうだったかな? 楽しんでもらえた?」


 笑顔で話しかける少女。
 だが、准はもうしゃべれない。
 意識はあるが話すということが出来ないくらい身体が変化しているのだった。
 殺意むき出しで少女を睨む。


「アハッ、怖い顔だ☆
 安心して、君の身体は私が十分に有効活用してあげるから☆」


 いやだっ・・・・・・

 死にたく無い・・・・・・

 俺はまだ殺したいんだ・・・・・・
 足りないんだ! 満足できないんだ・・・・・・

 メガネのお兄さんをもっと殺した・・・・・・


 そこで准の意識は途切れた。

 完全に准の身体から水分が無くなり、哀れな木材へと姿を変えられたのである。

 

 ニャー


 黒猫が暖炉の前で少女に向かって鳴く。


「あ、暖炉の火がなくなりかける?
 ちょうどよかった☆
 マハ○クマ○リタ~」


 そう言って指を鳴らす少女。
 
 その瞬間――

『准だったもの』がバラバラにされ手ごろな大きさの薪になりテーブルの上に置かれる。


「ちょうどいい具合に薪が手に入ったから、今日は暖に困ることはなさそうだね☆」


 そう言って薪を暖炉にくべる少女。


「やれやれ、どうなるかと思ったら・・・・・・
 殺したの? 少年を」


 どこから現れたのかわからないが、ウサギの少年リオンが姿を現す。


「あ、リオンさん」


「一部始終見させてもらったけど、『トゥルーデ』君は容赦ないね」


 ため息混じりに言うリオン。


「まあ、童話でも私の役割は『悪い子を薪に変える』だしね」


 ニャー


 賛同するようになく黒猫。


「まあ、いいけど。
この行動で君が誰かと敵対しても責任は取らないからね。
そこはわかってるよね」


 そう言って姿を消すリオン

 気にせず、燃える薪を眺めるトゥルーデ。


「アハハッ、クロにゃん暖炉の炎って本当にあったかいよね~
 殺人鬼のお兄ちゃんに感謝になきゃ☆」


 ニャー


 眺める炎は赤く、そしてだんだんと黒く変わりやがては


 細く細く

 細く細く

 消し炭に変わるまで燃えていくのだった。


end

ポールマン

糸鋸 包帯痴女、ストーク死神-SBSH00531.JPG
をお借りすることになりました。
趣味丸出しで作っております。