(特活)アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)は、アジアの現地NGOとの幅広いネットワークを基盤に、アジアの貧困削減の実現に向け活動する国際協力NGOです。(→http://www.acc21.org)
自然農業、マイクロファイナンス、カンボジア子ども支援、人材育成事業などの活動を通じ、市民・民衆・NGO等を基礎とした市民社会の協働ネットワークを構築していきます。このブログでは、ACC21のスタッフによる現地NGOの視察レポートや、アジアの最新ニュースを配信していきます。
先住民族ママンワが安心して生きていくために 【フィリピン】
ミンダナオ島北東部、スリガオ・デル・ノルテ州に住む先住民族ママンワは採集狩猟を糧とした遊牧民だったが、森林伐採や開発、内戦により山を追われ、低地に下りてきた。
本年ACTで支援しているバランガイ・マイニットに住むママンワのグループは26世帯。2年ほど前から小学校の裏地に住み始めたが、小学校の校舎増築の計画があり追い出される可能性がある。水は近くの井戸水を利用しているが、衛生状態が悪く、病気になる子どもも多くいるという。識字率も低く、公用語であるタガログ語や英語は苦手であり、雇用の機会も少ない。日雇い労働や薬草を販売して、お金がある時はお米を買うことができると語っていた。

先住民族ママンワの人々が住んでいる小学校の裏地。

ママンワの代表的な家。素材は木や竹であり、屋根は椰子の葉を利用している。入口が高くしてあり、狭いのが特徴。
現地で活動しているSUNGCODの代表によると、この地域には鉱山開発事業の可能性があるという。スリガオ市は観光業が盛んであり、開発も進んでおりミンダナオ島では、日本企業による鉱山開発やゴルフコース建設などの話も聞いた。しかしママンワの人々は、開発されても住民には利益が共有されていないと口を揃える。
今回の支援では、定住地を確保し住居環境の整備を進めていく。ママンワの人々はその伝統に従い、新しく移る土地の精霊に祈りを捧げていた。遊牧民が定住するのか疑問だったが、同じ先住民族ママンワを対象に同様の支援をした別の地域を見学すると、住まいが確立されたことで共同農園を始め、低地の人々とも平和
な関係が作られてきているそうだ。現地のNGOでは、今回の支援先のママンワの人々にも、住居環境の整備後農業支援を行っていきたいと、抱負を語っていた。

新しく写る土地の精霊に、「私たちを見守って下さい」と祈りを捧げるママンワの祈祷師

現地NGOが7年前に定住支援を行った別のママンワの集落の家庭菜園。

ママンワの人々は声が大きく、明るく、よく笑う。
■報告:西島恵(写真中央)
アジア初の先住民族教育センター 【フィリピン】
パムラアン先住民族教育センターは、南東フィリピン大学(公立)と共同で行っている。短大、4年制の大学卒業の資格が取得できる先住民族に特化した教育を行っている。
このような先住民族に特化した教育センターはアジアで初めてである。ミンダナオ島ダバオ市の中心から車で約30分のところにあり、ミンダナオ島、ルソン島、など様々な島から来た先住民族の学生が、今年は92名(女子52名、男子40名)が学び、共同生活をしている。学生たちがあちこちで働いたり、勉強したりしていて、穏やかだが、活気に満ちた雰囲気があった。

(パムラアン先住民族教育センターの入口。センターのデザインは、先住民族の人々のスタイルに即したものとなっている。)
フィリピンには110の先住民族がおり、人口はあわせて推計1200万人である。先住民族はフィリピン社会で最も恵まれない層をなし、貧困、栄養不良、搾取、差別、天然資源の収奪、人権侵害に苦しみ、基本的社会サービスの利用機会が極度に不足している。教育をはじめとする基本的サービスを受ける権利はあるものの、教育は自分たちの文化に配慮されたものではなく、先住民族の生活に即したものではない。とくに高等教育ではそれが顕著に表れる。それでも大学教育を受けたいと思う人は、しかたなく既存の公立ないし私立の大学に入学するが、そこではまったく新しい文化と「現代的な教育」に直面し、その過程で、自らの文化とアイデンティティを失い、他の学生から差別される体験をするのである。
本事業では、資金不足の先住民族の青少年に彼らにふさわしい教育機会を提供し、地域社会に役立つ仕事をするのに必要な技能とリーダーシップ性を身につけるよう養う。あわせて、彼らが将来、先住民族社会の発展へ向けた包括的活動を考え出すような訓練も行う。
センターの学生たちの話に戻ると、ACTが支援する3年生は、全員が文化人類学の専攻で、英語などの授業は南東フィリピン大学で受けるが、それ以外は、先住民族のための授業を受けている。
先住民族のための授業では、その歴史や権利、文化、さらに社会開発の手法も学び、夏休みなどを利用して3週間の実習を行う。前回は、人口などの基本データの収集を行ったとのことで、学生は「話しかけても対応してくれない人などがいて大変だった」、「実際にどれほど多くの人が村を離れ、マニラに出稼ぎに行っているかを肌で感じた」と言っていた。

(東ダバオ州出身、マンダヤ民族のレオビック君による自己紹介。1人1人自信を持って、出身部族や将来の夢などを話してくれた。)
様々な地域と背景をもった学生たちは喧嘩をすることもある。喧嘩の原因は、多くがお互いの偏見であること。様々な地域、民族からきているので、皆違う言葉と習慣を持っているため、些細なきっかけでその違いが表れる。しかし、喧嘩は主に自分たちで収束させているとのこと。日々の生活の中から、違いとともに共生していくすべを学んでいた。
将来は、自分たちだけが収入を得るのではなく、親や家族、地域のために働きたいと言う。きらきらと輝く目からは、自信が育っていることを感じた。

(ACTが支援する3年生たち。)
■報告:西島恵(写真中央)
このような先住民族に特化した教育センターはアジアで初めてである。ミンダナオ島ダバオ市の中心から車で約30分のところにあり、ミンダナオ島、ルソン島、など様々な島から来た先住民族の学生が、今年は92名(女子52名、男子40名)が学び、共同生活をしている。学生たちがあちこちで働いたり、勉強したりしていて、穏やかだが、活気に満ちた雰囲気があった。

(パムラアン先住民族教育センターの入口。センターのデザインは、先住民族の人々のスタイルに即したものとなっている。)
フィリピンには110の先住民族がおり、人口はあわせて推計1200万人である。先住民族はフィリピン社会で最も恵まれない層をなし、貧困、栄養不良、搾取、差別、天然資源の収奪、人権侵害に苦しみ、基本的社会サービスの利用機会が極度に不足している。教育をはじめとする基本的サービスを受ける権利はあるものの、教育は自分たちの文化に配慮されたものではなく、先住民族の生活に即したものではない。とくに高等教育ではそれが顕著に表れる。それでも大学教育を受けたいと思う人は、しかたなく既存の公立ないし私立の大学に入学するが、そこではまったく新しい文化と「現代的な教育」に直面し、その過程で、自らの文化とアイデンティティを失い、他の学生から差別される体験をするのである。
本事業では、資金不足の先住民族の青少年に彼らにふさわしい教育機会を提供し、地域社会に役立つ仕事をするのに必要な技能とリーダーシップ性を身につけるよう養う。あわせて、彼らが将来、先住民族社会の発展へ向けた包括的活動を考え出すような訓練も行う。
センターの学生たちの話に戻ると、ACTが支援する3年生は、全員が文化人類学の専攻で、英語などの授業は南東フィリピン大学で受けるが、それ以外は、先住民族のための授業を受けている。
先住民族のための授業では、その歴史や権利、文化、さらに社会開発の手法も学び、夏休みなどを利用して3週間の実習を行う。前回は、人口などの基本データの収集を行ったとのことで、学生は「話しかけても対応してくれない人などがいて大変だった」、「実際にどれほど多くの人が村を離れ、マニラに出稼ぎに行っているかを肌で感じた」と言っていた。

(東ダバオ州出身、マンダヤ民族のレオビック君による自己紹介。1人1人自信を持って、出身部族や将来の夢などを話してくれた。)
様々な地域と背景をもった学生たちは喧嘩をすることもある。喧嘩の原因は、多くがお互いの偏見であること。様々な地域、民族からきているので、皆違う言葉と習慣を持っているため、些細なきっかけでその違いが表れる。しかし、喧嘩は主に自分たちで収束させているとのこと。日々の生活の中から、違いとともに共生していくすべを学んでいた。
将来は、自分たちだけが収入を得るのではなく、親や家族、地域のために働きたいと言う。きらきらと輝く目からは、自信が育っていることを感じた。

(ACTが支援する3年生たち。)
■報告:西島恵(写真中央)
「自助努力」のモデルケース【スリランカ】
スリランカでは「ムドラリ」と呼ばれる「仲買人」や「高利貸し」は、利子は高いが金を貸し、種苗や肥料を売り、どんなに遠隔地でも農産物を買いつけに来るので、農民の敵でありながら彼らの生活になくてはならない存在でもある。
現地NGOのAIMは北西部州クルネガラ県において、この不公平な力関係と悪循環を断ち、農民が適正価格で農産物を売り生計をたてられるよう、農民の組織化と村落ベースのグループ貯蓄・融資活動に20年近く取り組んでいる。私はそこで、過去12年間、自分たちの力だけで資本強化し、融資システムを作り上げてきた女性グループ(メンバー数8人)と出会った。
彼女たちは自宅から15kmも離れている農地まで、数年前まで毎日徒歩で通っていた。さらに4年ほど前からゾウが畑に来て農作物を食い荒らし始め、夫が徹夜で番をし、妻も朝4時に起床して畑に向かう。自宅には電気・水道設備がなく、疲れて帰宅してもさらに2km歩いて水浴び場に毎夜通っている。そこまでしてなぜそこに住み続けるのかと尋ねると、「子どもの教育のため」と口を揃えた。

(自宅から15km離れた農地に毎日通う農民たち。うしろの山から時々ゾウが下りてくるという。今夜も夫たちは寝ずの番をする)
「女性は男性よりも安い賃金で日雇い農作業をし、ムドラリから月利10%で借金していました。私たちは夫に頼らず、ココナツ殻の炭焼きやホウキづくり、村市場を開くなどして自力で資金を集め、グループ・ファンドを作りました。」当初の融資額は250ルピー(約205円、半年間、月利5%)、原資として各自月25ルピー(20円)を集め、毎月200ルピーずつファンドに積み立てていった。現在の利率は2%、融資限度額は5万ルピー(約4万1千円)で、融資残高は約24万ルピー(約20万円)まで増えた。メンバーの半数が土地を借り、残りは土地なしだったが、現在はそれぞれ1エーカー以上の農地を所有している。
リスクが高い農業セクターへのマイクロファイナンスは実は非常に難しく、外部からの財政支援なしにファンドを増強してきたというのは非常に驚きであった。彼女たちの状況を考えれば、ゼロから20万円までにするのにどれほど気の遠くなる時間と労力を使ったか、想像に難くない。
しかもこのグループが特殊なのではなく、同様のグループが県内合わせて58あり、貯蓄総額は約550万ルピー(約451万円)、融資総額は約470万ルピー(約384万円)だというのだから、彼女たちのモチベーションがどのように長い間保たれてきたか、AIMのファシリテーション力についても高い関心をもっている。
このプロジェクトでは今後3年間、同県内の35村、合計850世帯に対象を拡大していく。

(過去に組織化された15のコミュニティ・ベース組織(計58グループ)のうち、3グループのメンバーに集まってもらった。自分たちで決めたというユニフォームを着て)

(12年前は日雇い農業労働者で、ムドラリへの販売額から運搬費を差し引かれていた。現在は、自分たちで運搬車両を借り上げ、政府直営市場で直売している。3エーカーを所有し、メンバー2人で共同管理するまでになった)
■報告:鈴木真里(事務局長)
現地NGOのAIMは北西部州クルネガラ県において、この不公平な力関係と悪循環を断ち、農民が適正価格で農産物を売り生計をたてられるよう、農民の組織化と村落ベースのグループ貯蓄・融資活動に20年近く取り組んでいる。私はそこで、過去12年間、自分たちの力だけで資本強化し、融資システムを作り上げてきた女性グループ(メンバー数8人)と出会った。
彼女たちは自宅から15kmも離れている農地まで、数年前まで毎日徒歩で通っていた。さらに4年ほど前からゾウが畑に来て農作物を食い荒らし始め、夫が徹夜で番をし、妻も朝4時に起床して畑に向かう。自宅には電気・水道設備がなく、疲れて帰宅してもさらに2km歩いて水浴び場に毎夜通っている。そこまでしてなぜそこに住み続けるのかと尋ねると、「子どもの教育のため」と口を揃えた。

(自宅から15km離れた農地に毎日通う農民たち。うしろの山から時々ゾウが下りてくるという。今夜も夫たちは寝ずの番をする)
「女性は男性よりも安い賃金で日雇い農作業をし、ムドラリから月利10%で借金していました。私たちは夫に頼らず、ココナツ殻の炭焼きやホウキづくり、村市場を開くなどして自力で資金を集め、グループ・ファンドを作りました。」当初の融資額は250ルピー(約205円、半年間、月利5%)、原資として各自月25ルピー(20円)を集め、毎月200ルピーずつファンドに積み立てていった。現在の利率は2%、融資限度額は5万ルピー(約4万1千円)で、融資残高は約24万ルピー(約20万円)まで増えた。メンバーの半数が土地を借り、残りは土地なしだったが、現在はそれぞれ1エーカー以上の農地を所有している。
リスクが高い農業セクターへのマイクロファイナンスは実は非常に難しく、外部からの財政支援なしにファンドを増強してきたというのは非常に驚きであった。彼女たちの状況を考えれば、ゼロから20万円までにするのにどれほど気の遠くなる時間と労力を使ったか、想像に難くない。
しかもこのグループが特殊なのではなく、同様のグループが県内合わせて58あり、貯蓄総額は約550万ルピー(約451万円)、融資総額は約470万ルピー(約384万円)だというのだから、彼女たちのモチベーションがどのように長い間保たれてきたか、AIMのファシリテーション力についても高い関心をもっている。
このプロジェクトでは今後3年間、同県内の35村、合計850世帯に対象を拡大していく。

(過去に組織化された15のコミュニティ・ベース組織(計58グループ)のうち、3グループのメンバーに集まってもらった。自分たちで決めたというユニフォームを着て)

(12年前は日雇い農業労働者で、ムドラリへの販売額から運搬費を差し引かれていた。現在は、自分たちで運搬車両を借り上げ、政府直営市場で直売している。3エーカーを所有し、メンバー2人で共同管理するまでになった)
■報告:鈴木真里(事務局長)
