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人間活動と天然記念物
北限のサルの仲間である下北半島のニホンザルは天然記念物として保護されてきた。でも増えすぎて、人間活動を脅かすようになってくると、今度は駆除、害獣扱いされてしまう。これもやっぱりバランスの崩壊なんだと思う。最初は減少しているサルの個体数を純粋に絶滅から保護する目的で天然記念物に指定したと思う。でも個体数増加により、様々な問題、特に地元住民の人たちに害を及ぼしてきた。こうなるかもしれないことは、天然記念物としてスタートした時点で予想された可能性はあるでしょう。しかし、手を尽くさなかった。天然記念物ゆえに何もできなかった。ニホンカモシカも似たようなケースです。
ここにきて、ようやく限定で捕獲することになった。それらを動物園で飼育するという。いいことだとは思う。でもそれだけではダメでしょうね。これまで動物園で飼育されているニホンザルは西日本系が中心ということで、新たに東系が加われば、血統的にも多様性ができるということでしょう。もちろんちゃんと考えていると思いますが、西日本系のサルと東日本系を一緒にしていいかどうか、つまり交雑させてもいいかどうか遺伝的特性は多様性は失われないかどうか、調査されているとは思いますが、これまでよく言われていることなので、元園館関係者として危惧するところです。おそらく同じ環境で飼育するでしょうから、仲良くなるのは避けられないでしょう。
でも一番翻弄されているのはサルたちです。彼らは人間よりも昔からそこに住んでいて、普通に世代を繰り返してきたわけです。とはいえ、人間とサルのバランスを考えないと平行線のままです。そこで重要な役割が動物園です。サルの良いとこ、悪いとこ、人間の良し悪しを全て把握、展示して、教育施設としてバランスを維持していくことを期待しています。自然保護言いながら、その裏では展示のために、まだまだ大量に自然から生物を搬入しています。でも展示生物を全て繁殖でまかなうのは不可能です。でも理想です。
つまり、動物園、水族館は自然と人間をつなぐシーソーの支点、窓口であって欲しいです。どっちに偏りすぎてもダメだと思います。と言うことを主張すると、時々園館否定論者と言われます。
でも違うんです。「飼わない勇気」も必要だと思うんです。現実は難しいんです。スタッフの死活問題にもなります。当然、それで食べているわけですから。でも見世物中心の時代は終わっています。これから園館での仕事を希望している若い人たちには本当にどうすべきかを考えて欲しいです。