『寂しいかい?』





「寂しいよ」










コロコロ転がってた。



気付いた時には帰れなかった。


でも、それでも、僕は先へ先へと転がった。




ぶつかる物に、

時に傷つけられ、

時に助けられ、

手を繋ぎ、

離して、

向かい合って、

背を向けた。




コロコロコロコロ転がって、





たまには夢に故郷を見た。



「あぁ、すごいところに来たかな…」

「でも、もう同じ場所にはいれないよ」

「でも、でも…」





後悔はいつでもついて来た。



しかし、諦める方が怖かった。



『寂しいかい?』




「寂しいよ」






忘れられない言葉が胸を打つ。



ぐしゅぐしゅに泣いて、晴れた胸には、また明日の活力が湧いてくる。









『頑張れるかい?』





「もう頑張ってるよ」







そろそろ転がるのはやめようか。


そろそろこの足で立ち上がろう。



やっと見つけた意味なき事。



それは素敵な世界の破片。



後は自分で少しずつ、作りあげていくだけさ。









『もう一人で行けるのかい?』




「うん、もう大丈夫」






『疲れたら、また帰っておいで』







「もう帰ってこないよ。もう帰ってこれないぐらい遠くへ行くから」









『寂しいかい?』





「寂しくないよ」







『私が寂しいよ』







「ごめんね」







『いいよ、でもいつかまた逢ってね』







「いつか一週して来れたら、また会えるよ」








『私も前に進むから、もう逢えないかもね』

俯き、肩を震わせた。







「なら僕は、すごい速く走って行くよ。いつか〔逢う〕ために」







『ありがとう』














今度は力強く歩きだす。

時に、素早く駆け抜ける。




いつか、君に出会う為。




世界の破片を集めて、また君に追いつくよ。













「ありがとう」
僕は一人だった。



長く、長く一人だった気がする。




その最中、僕は君に出会えた。
僕達は二人になった。




二人になったら、とても生活が楽しくなった。

街に出るのも、家にいるのも、
いつもより何倍も楽しくなった。








そのうち、二人はたくさんになった。



僕らのたくさんは、また更に幸せを運んでくれた。



流れゆく時の中で、たくさんと僕らは、

数ある困難と、数え切れない幸せを感じながら、



気付くと僕らはまた二人になっていた。





長くたくさんと居たせいか、
君と二人きりっていうのは、なんだか少し照れ臭かったが、すぐに昔のように君を愛せるようになっていた。



君を愛せてよかった…

僕は今、幸せだ…




































この日が来てしまった。

君は僕より先に旅立つ。



「ごめんなさい」なんて言わないでおくれ、

僕なら大丈夫、少し旅先で待ってておくれ。僕もすぐそちらに向かうからさ。














僕はまた一人になった。



ただ、あの頃の寂しさはない。

僕は人生を充実して生きたんだ。




そろそろ僕もそっちに行くよ。


長く待たせてすまなかった。


そっちに行ったら、あの頃とかわらず、僕を愛してくれないか。







あぁ…眠い…



おやすみ……
























そして、誰もいなくなった。
夜が来た

夜だ夜

人が求めたがり

恐怖するか

戒めるか

または

一握りの幸せを

ここに

祝うのか

過ちを

犯したか

夢か

海か

全ては

思考の中で満たされた

虚ろう意識を

奮い立たせたか

寂しいか

寂しいか

冷たい夜が

愛情を

ぬくもりを

記憶の中から

救い出す

それでも

乾く意識達は

世界を

表面だけ磨くのか

ああ

ああ

空は跳べず

水では

息が出来ぬ

見たか

見なかったのか














全てを救い出してくれないか