N口先生は、高校で英語を教えてくれた。
英単語やフレーズの覚え方は非常に参考になった。
ノートを目一杯に使い、単語ごとに枠で囲んだりするという極めて単純なやり方だ。
英作文の添削も素晴らしく、いろいろとお世話になった。
それから、イギリス人みたいな顔立ちが印象的だった。
先生自身も、よく間違われると言っていた。
紛れもない日本人なのだが。
目鼻立ちが、僕の崇拝するMr.ビーンに似ているなぁと、こっそり思っていた。
3年間使ったハンガーみたいに曲がった口と特徴的な喋り方も、僕の記憶にハッキリと残っている。
ところで、先生のとある話を最近ふと思い出したので書かせてもらう。(この記事を書くきっかけとなった)
先生「自分探しの旅なんて意味ないからね。旅先のどこかに自分がいるわけじゃないんだから。留年したり卒業後にふらついたりして時間使わないで、すぐに就職した方が幸せになれるんだよ。」
僕は、その通りだと思った。
自分は自分の中にあるんだから、そのままで良いと。
しかし今、僕はそう思わない。
自分探しの旅をする意味は大いにある!
旅自体に意味があるのではなく、自分自身と真摯に向き合い、自分を見つめ直すことに意味がある。
特に、これまでの人生に休憩所がなかった人にとっては。
もちろん、一年二年の長旅をしても、自分を理解しきれないかもしれない。(先生はこうなることを心配していたのかもとも思う)
先に言ったように、旅である必要は全くなく、自分と自分が二人きりでいる時間があれば良い。
僕は昨年の12月から休学し、約3ヶ月間で自分と自分が完全に重なった。
休学しようと決意したのは、当時心の奥に隠れていた自分の必死の叫び、つまり本能的なものだったのだろう。(村上春樹『海辺のカフカ』に出てくるカラスと呼ばれる少年と同じものだと思う)
旅に出てからゴールに達するまでの3ヶ月間は、僕の生涯で最も濃いものであるはずだ。
あっと言う間であったし、長いものでもあった。
村上春樹さんの『海辺のカフカ』は、僕が旅をする直前によんだ小説だ。
それは無意識に僕を送り出していたのかもしれない。
旅から帰ってきた今、もう一度じっくりと読んでみたい。
N口先生もカフカも、僕の人生には欠かせないものであった。
ありがとう。
そして、これからもよろしく。
ではすのう。
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