月曜日から久しぶりに旅に出た。



 

偉そうに



「株で生活してたんですよ!18年前に……」



出てくる言葉は昔の話か、あの株を買ってれば、持ってれば……という虚しい言葉の数々だ。



しかし、現実は容赦なく迫って来る。



月々の支払い、突然の出費。ジョージの夢見るひまわり貯蓄からドンドンお金が無くなっていくのだ。



18年前とか、買ってれば、持ってれば、なんて言ってる場合じゃない!



稼ぎに行かねば…



そう思って外に出た。俺はパチンコで生活費を稼いでたから、今の俺にはパチンコを打つしかない。



しかし、唯一使えていた近くのパチンコ屋から出禁を言い渡されたのだ、去年に。



20年以上パチンコ打って来て初めての出禁だ。



本当に理不尽極まりないよ。店の調整ミスの台だったのに……



海の甘デジだったが、ヘソは狭いのにアホほど回った。丁寧に打てば、千円37回ほどは回ったんじゃないだろうか?


しかし、店員後ろを1メートル範囲でウロウロ威嚇とマイクヒソヒソ辱めプレイをされて、俺はリーチ以外は打ちっぱなしの稼働をするしかなかったのだ。


それでも千円30回超えの回りっぷり、ほぼ等価の店でだ…



俺はどうすればいいのか?



慌てて台を捨てればいいの?



俺は普通に打ってるだけだよ?



あなたたちの調整ミスじゃないのか?



すぐに止めたら良かったのかも知れないが、俺はすぐに止めたら怪しい事をしてたと断定されると重い終日打ち切った。


リーチ以外は打ちっぱなしで、サポート中も打ちっぱなしで、わざと玉を減らして打った。



俺は服を着てるが気持ちは全裸だった。




「さぁ、ありのままのオイラを見て……何もしてないよ……あなたたちの敵じゃないよ………オイラの全てを見ておくれ………」



そんな気持ちを店側に伝えたかった。



しかーし!



次の日に白服のエリアマネージャーと言われる方に肩を叩かれ、別室に呼ばれ、



「お客様、お上手過ぎる!つきましては今度は当店補でのご遊技はお断りさせてもらいます!」



優しい口調だが、どうにもならん圧力を感じた。



父親はこの店では昔からの常連だ。もうトータルで何百万も負けてるだろう。



それも言ってみた。



しかし、答えは「ノー!」



俺は肩を落としながら



「今までありがとうございます、良い店でした……」



そう言って、通い慣れた店をあとにしたのだ。



だから、遠くまで旅打ちに来たのだ。



株で生きれないなら、俺はパチンコ打つしかない。



しかし、久しぶりにパチンコ屋に行ったら本当に嘘みたいなほどに客が少ない。



そして、釘はとてもじゃないが試し打ちもしたくないほどの面構えばかり。



新台で入ってたラッキートリガーとかいう北斗の拳の新しいのを打ってみたら、しばらく一回転辺り5円以上の玉単価で回ってたが、単価5円を切ったので止めた。



甘デジなのに、単発4回しか当たらず57000円も負けた。



俺は悲しくてトイレの個室で泣いた。ほしくてたまらない、アンパンマンのオモチャを買ってもらえない3歳児なみに泣いた。



でも、諦めずにもっと遠くの店まで行ってみたが、日当1万の台すら探せなかった。



さらにもっと遠くにと思ったが、月曜日にどうしても外せない用事があったから家に戻るしかなかった。



最後に打ったエヴァンゲリオンがなんとか単価8円の回りは維持してたから追いかけてみたが、急に回りが落ちて単価5円切ったので止めた。



またトイレで一人で泣いた。懐かしいが号泣謝罪会見した野々村議員のように泣きじゃくった。



「ジョージはもうダメかも……」



また実家に舞い戻り、また相場を見てる。



さくさインターネットちゃん、大変なことになってるやん……



でも、ザマーミロなんて思わない。僕と一緒にまた立ち上がろうね!



そんな気持ちだよ。



俺は本当に終わったのか?



いやだ、終わりたくない!



ここからだ!



そう呟いて見た。



しかし、月曜日からお金を増やそうと思って旅立ったのに、マイナス76000円でまた舞い戻った、この現実。



受け止めなきゃ、受け止めなきゃ、受け止めなきゃ…




ジョージはイカリジョージとなって、また呟いた……