久しぶりに銀座を散歩した。

 
時計は10時半。早朝の銀座ではない。
 
クルマはそれなりに行き交っているが、歩行者の数は圧倒的に少ない。
 
緊急事態宣言後はじめてやってきた。
 
元々人込みが嫌いだから、こんな銀座は悪くない。散策する人の姿を観察することはできない。
 
こんな時でも、観察することができるものがあるのが街の良さだ。
 
今朝は、いつもとは違って、高級ブティックのショーウィンドーを眺め歩くことにした。
 
 
 

 

店は、皆しまっているので、ウインドウショッピングならぬ、ウインドウウォッチング。
 
 

 


 
ふっと「銀座の幽霊」という言葉が頭に浮かんだ。
 
当然、筒井清隆の傑作ショート「給水塔の幽霊」の伝である。
 
まるで街自体が幽霊みたいというか、自分が既に生きていないようなというか、でも不思議にその気分は悪くなかった。
 
 

スポーツと違って、銀座は、無観客試合でもいきいきしてみえる。人類が亡びた後にも
銀座はキラキラしているのかもしれない。
 
 
 
 

初夏というには日陰の気温は少し肌寒いけれど、歩きながら、アーウィン・ショーの傑作夏服を着た女たち(The Grils in their summer dresses)のことが頭にポンと浮かんだ。
 
五番街を二人連れで夫婦が歩いている。妻は、他のキレイな女に目をやる夫にずっと文句を言い続けている。最後の、少々お冠でカフェの席を立って電話をしにいく、妻の後ろ姿に、夫が「何てキレイな足をしたイイ女だろう」とか呟くショートストーリーである。

She got up from the table and walked across the room toward the telephone. Michael watched her walk, thinking, what a pretty girl, what nice legs.
 
 
 

おそらく、この世の終わりや自分の存在の終わりを想像しながら歩くというのは、それが全く見当はずれなことなのは重々承知しつつも、
この世の終わりの一日前のような気分でつかのまの気晴らしをした。
 
 
 
京橋近くのビルの下のお花屋さんが開店の準備をしている姿がやけにまぶしく、やけに愛おしかった。
 
そんな土曜日の一日である。