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伝わる・喜ばれる文章講座

どうすれば人に伝わって喜んでもらえる文章が書けるようになるのか?Webライターが文章のコツを書いていきます。

人と話をしていて、相手の口数が少なかったり、共通の話題がなかったりするとき、会話が続かなくて気まずい雰囲気になることがあります。

こうした状況のことを「話の間がもたない」と表現したことはありませんか?

 

実は、この言い方は間違っています。

どこがどのように間違っているのか説明できるでしょうか?

 

正しくは「間がもてない」と言います。

 

「間がもてない」とは、時間を持て余していることや、話題がなくなって会話が続かないことを表します。

 

文化庁が平成22年度に実施した「国語に関する世論調査」では、「間がもてない」を使うと答えた人が29.3%だったのに対して、「間がもたない」を使うと答えた人が61.3%だったという結果が出ています。

 

本来は誤った言い方を使う人のほうが多数派になりつつあるのですね。

 

なぜ、このような間違いが広まったのでしょうか。

 

そもそも「間」とは、何かと何かのあいだの空白のことです。

「話の間がもてない」と言う場合は、話と話の間の空白が持ちきれないほど多いことを指しているのです。

 

「話の間」は、そもそも何も話していない状態を表していることになります。

「時間を持て余す」という言い方があるように、間が多すぎると「もちきれない」のですね。

 

これに対して「もたない」という言葉には、「持ちこたえられない」「保てない」という意味があります。

会話が途切れて気まずい雰囲気に耐えられなかった、という意味合いで「間がもたない」が使われるようになったと考えられます。

 

しかし、前に触れたとおり「もてない」のは「間」のほうであって、会話そのものではありません。

「間が」という主語とセットになっているわけですから、「もたない」が述語では矛盾してしまいます。

 

ところが、いつの間にか「間」が「会話をするための空間」そのもののように捉えられるようになり、「会話が続かないその場の雰囲気に耐えられない」という意味で「間がもたない」と言われるようになったと推測できます。

 

ちなみに、空いた時間を何かしながらつなぐことや、途切れた会話に別の話題をはさんで時間をつなぐことを「間をもたす」と言います。

 

「間をもたせる」という日本語は正しいので、その反対語として「間がもたない」と言われるようになった可能性も考えられます。

しかし、「間をもたせる」の反対語として使うのであれば「間をもたせられない」になるはずです。

「もたせられない」は言いにくいこともあって、「もたない」を使う人が多くなったのかもしれません。

 

最近では「間がもたない」を掲載する辞書も出てきましたので、ゆくゆくは正式な言葉として定着することもあり得ます。

 

本来は「間がもてない」が正しい言い方です。

このことを知っておいて損はないでしょう。