昨夜は仕事が終わったら
いつもの喫茶店へ行こうと決めていたけれど
夜
着替えて外へ出たら
あまりに風が心地よかったものだから
すぐ家に戻って下駄に履き替えて
周辺を散歩することにした。
夜に吹く風
というのがあるように思う。
夜の匂いも。
どうしてこんなにも
柔らかいのだろうか。
私はここにならきっと
ずっと居られることができる
そう思った。
活字の美しさを
一昨日くらいから再確認している。
紙に
均整に整列された文字を
落ち着いた心で
眼で追いかける
文体のうつくしさに触れる
ああ、これだ
私の目には
文体と
紙の上に整列した文字しか写らないけれど
そこには遠い世界がある
そう、どこまでも遠い世界
これを、視覚にすることも
聴覚にすることも
今はしたくなくて
ただ
そこにあるままのものとして。
私がそれを
自身の中にあるそれを
視覚や聴覚にしてしまったら
その世界が
瞬く間に
霞んでしまう。
その世界はそれで
終わりを迎えてしまうから
今日は雨は降らないけれど
雨読の日となりそうだ。